都政改革アドバイザリー会議(第3回)議事録

令和元年7月11日(木曜日)
都庁第一本庁舎7階大会議室


15時03分開会

 1.開会
○野間総務局次長 それでは、ただいまより第3回都政改革アドバイザリー会議を開催いたします。
 本日は、大変御多忙のところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 会議の事務局を担当しております、総務局の野間でございます。議事に入るまでの間、進行役を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 まず初めに、会議の公開について御説明を申し上げます。本日の会議は東京都のホームページ上で、インターネット中継により配信されてございます。また、会議資料につきましては本日、議事概要については後日、ホームページ上に公開いたします。
 なお、会議はタブレットを使用して進行してまいります。会議中にタブレット端末に不具合が発生した場合は、職員までお声をかけていただければと思います。
 お手元には次第、それから都政改革アドバイザリー会議委員会名簿、委員名簿、都政改革アドバイザリー会議座席表、2020改革プラン(平成30年度改定版)をお配りしてございます。その他の資料はタブレット端末で御覧いただくことになりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
 また、本日の会議出席者につきましては、座席表の配付をもって代えさせていただきたいと思います。本日はキャシー・松井委員より欠席の御連絡を頂戴してございます。
 それでは、この後の議事進行につきましては、松本座長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本座長 松本晃です。座長を務めています。
 この会議は、小池知事の強いリーダーシップで始まりました。会社とか組織を改革するには、どうしても強いリーダーシップが必要です。この会議は、小池知事が自らの強い決意と実行力をもって始められたので、ますますいい会議にしていきたいと思います。
 それでは、最初に、小池知事から一言お願いいたします。

2.知事挨拶
○小池都知事 本日も皆様お忙しいところ、お足を運んでいただき、誠にありがとうございます。今日お集まりいただきましたのは、令和の時代になって初めての会議となります。
 都政改革アドバイザリー会議、まさしく都政を改革していくと、表題のとおりでございまして、これは、とどまっているとどんどん置いていかれてしまう。そして、マグロのように動いていないと、どんどん後ろに置いていかれてしまう。「赤の女王」というこの小説の中に出てくる女王が、そのようなことも語っています。
 今の時代は本当に、アーティスティックスイミングではありませんけれども、上は華麗に、水面から下はむちゃくちゃ足をかき回してとどまっていると。時にはそこからジャンプもするという、そういう精神が必要だと思います。とはいえ、精神論だけではだめで、どうやってそれを都民のために、まさしく都民ファーストの観点に立って、都政がどのように筋肉質になり、と思っていたら、松本座長がその業界ではなくなったので、でも引き続き体脂肪率は、谷田さんではないけれども、筋肉質な、そして健康な都政にしていきたいと強く思っております。
 2020改革プランを設けておりますが、この皆様方からの御意見をこのプランのバージョンアップに活かしてまいりたいということから進めたところでございます。
 都政改革に着手をしてから約3年が経ちました。自律改革ということで、職員自らが変わっていこう、変えるのだというその改革マインドをもって進めてほしいということで行ってまいりました。ある意味、一定の成果も上がってきた、改革マインドも浸透してきたと言える部分があろうかと思います。
 一方で、昨日も、ネットで、この日本の人口が43万人減少していると、43万人というと何区かな、どこになりますかね。

○遠藤総務局長 中野よりちょっと多いぐらいですかね。


○小池都知事 まあ、中野区にしましょうか、それでは。中野区が一つ、すっと消えている。毎年こういう流れになっていくという日本全国の大きな流れでありますが、こうした人口というのは、やはり国の一番基本になるところで、都政を考えるのにおいても、やはり人口というのは、どう確保して、そしてまた満足度を上げるか、量の部分と質の部分と、両方必要になってくるかと思います。
 一方で、今、大きな課題とすれば、やはりIoT、ICT、AIというのは日進月歩で進んでいて、これまで職員が何日もかけて行っていた仕事が一瞬にしてできてしまうような、中身にもよりますけれども、そういう例が、行政の分野でもあちこちでもう既に活用されているということであります。
 今日は特に、岩本さんにはこの後お話も伺うわけでありますけれども、こんなことも見据え、このIT化ということも大きな柱の一つにしながら、この都政改革をしっかり進めていく必要があろうかと思っております。
 2020改革、それから政策評価の取組状況の報告、そして今後の都政改革の進め方ということで御議論いただく時間とさせていただきます。岩本委員、後ほどよろしくお願いいたします。
 皆様方からの幅広い御意見を賜りまして、大いなる刺激を与えていただきますよう、よろしくお願い申し上げまして、冒頭の御挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

3.議題
○松本座長 小池知事、ありがとうございました。
 それでは、お手元の議事次第に従って本日の議題に入ります。座長の役目の一つは、前回も申しましたがタイムキーピング、要するにタイムマネジメントもお仕事ですので、できる限り皆さんの意見をいただき、かつ、できる限り簡潔にお願いして、時間内にまとめていきたいと思います。
 本日の議題は、知事からお話もありましたように、一つ目は2020改革の取組状況について、二つ目は政策評価の取組について、三つ目は今後の都政改革の進め方の3点です。3番目の今後の都政改革の進め方についての議題に、より多くの時間を使いたいと思っております。
 まず、一つ目の2020改革の取組状況について、事務局より説明をお願いいたします。

○豊田都政改革担当部長 はい。それでは、事務局から御説明いたします。よろしくお願いいたします。
 まず、2020改革プラン、平成30年度バージョンアップにつきまして、資料の1-1によりまして御説明をいたします。
 2020改革プランにつきましては、昨年度のアドバイザリー会議での議論等を踏まえまして、本年3月に改定版を策定させていただいたところでございます。内容についてはこちらにポイントを記載してございます。
 なお、昨年度アドバイザリー会議で特に多くの御意見をいただきました、3つのレスですとか働き方改革につきましては、こちらのバージョンアップの後も、進捗状況等も含めまして、この資料の後の資料で詳細に御説明したいと思いますので、こちらのバージョンアップのまとめの資料については、簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず、しごと改革についてですが、こちらにありますように、例えばペーパーレスの目標設定では、アドバイザリー会議の御意見も踏まえまして、中間目標を新たに設定するなど、3つのレスにつきまして、可能な限り目標を設定しながら取組をしてまいりました。また、行政手続等における都民サービスの向上を目指すデジタルしごと改革、こちらについても新たに着手をすることにしてございます。
 次のページを御覧ください。見える化改革でございますが、全事業のユニット、2017年度に15ユニット、2018年度には43ユニットの合計58ユニットの点検・評価を実施してまいりました。今後は、その下の仕組み改革のところに記載しておりますけれども、政策評価という仕組みを実施してまいりまして、局事業の自律的な見直しにつなげてまいりたいと考えております。なお、政策評価につきましては、この後の議題の2で詳細に御説明をいたします。
 また、仕組み改革の中に記載しております監理団体改革につきましては、都と団体との協力関係をより強化するため、団体基準等の見直しを実施するなど、都庁グループ全体の機能強化を図っていくこととしてございます。
 続きまして、都庁におけるしごと改革につきまして、資料1-2によりまして御説明をいたします。
 まず、3つのレスの取組でございます。初めに、はんこレスでございます。はんこレスについては、昨年度末、2018年度末の時点で電子決定率30%を目標にしておりましたが、実績としては38.2%という結果になりました。
 次のページを御覧ください。今年度は昨年度に引き続きまして、課長決定事案の電子決定を徹底するとともに、対象範囲を局長や部長の決定事案にも拡大してまいります。また、グラフにございますとおり、書面決定とする理由として、割合の大きい契約・支出関係の起案文書につきまして、電子化を推進するなどの取組をやってまいります。
 ページの下にございますが、今後は電子決定率の向上に向けまして、更なる意識改革を図るとともに、電子決定による迅速な意思決定等の事務処理上のメリットを更に周知していくなど、取組を継続的に進めてまいります。
 次のページを御覧ください。ペーパーレスでございます。
 2020年度までの3年間で達成すべき全庁的な目標としまして、コピー用紙の使用量の20%削減、ペーパーレス会議実施率90%の達成に向けまして取組を進めております。昨年度、2018年度の取組結果でございますが、コピー用紙の使用量につきましては、2016年度対比で10%削減という全庁の目標に対しまして、実績は11%削減という結果になりました。また、ペーパーレス会議実施率の昨年度の実績は48%となっております。
 次のページでございます。今年度の取組でございますが、特にコピー用紙の使用量が多い業務を特定、把握しまして、電子化や業務自体の効率化など、それぞれの業務内容に応じた改善策を検討してまいります。また、局長への説明など、幹部説明につきましては、今年度から原則ペーパーレス化をするなど、より具体的な取組を進めてまいります。今後は昨年度のコピー用紙使用量の削減目標の達成という状況を受けまして、より高い削減目標の設定など、2020年度の削減目標につきましても、設定の見直しも含めて前向きに検討を更に進めてまいりたいと思います。
 次のページでございます。キャッシュレスでございます。支出については、2020年度までの原則キャッシュレス化、収入についても、今年度までに利用者が多い主要施設のキャッシュレス決済導入の完了を目標にして取組を進めてまいりました。
 次のページです。収入につきましては、利用件数年間10万件以上の上野動物園や葛西臨海水族園、こちらの5施設につきまして、今年度中のキャッシュレス決済の導入に取り組んでおります。これによりまして、利用件数が多い、いわゆる主要な都立施設につきまして、キャッシュレス決済の導入が完了することになります。また、新たな決済手段の導入としまして、上野動物園では、今後、決済事業者を選定しまして、QRコード決済の実証実験を進めてまいります。また、水道料金の請求書払いについて、スマートフォン決済、こちらも先日の7月1日から開始をしたところでございます。今後は、試行実施しておりますブランドデビットカードによるキャッシュレス決済の課題の抽出ですとか検証、また、実証実験を実施するQRコード決済の導入の拡大などについて検討をしてまいります。
 以上が3つのレスの取組でございます。
 続きまして、都庁の働き方改革の取組について御説明いたします。昨年度の会議でも御報告のとおり、都では女性職員の活躍推進の取組としまして、行政系の管理職に占める女性職員の割合を、令和2年度、2020年度には20%、2025年度には25%という目標に向けて取り組んでおります。
 現在、女性職員の割合は管理職層で19.8%となっておりまして、こちらの数値自体は国家公務員ですとか民間などと比べても高い割合となっておりますけれども、目標達成に向けては、引き続き取組を推進する必要がございます。
 次のページを御覧ください。続きまして、管理職選考の受験者・合格者に占める女性の職員の割合でございます。中段の表にありますけれども、今年度から管理職選考につきまして、育休中でも受験可能となるよう、受験資格の拡大をいたしました。右のグラフにありますとおり、今年度の女性職員の受験者比率については14.2%となっておりまして、受験者数は増加傾向となってございます。今後は、下段の課題・取組の方向性にありますとおり、キャリア形成支援などの様々な取組が引き続き必要であると考えております。
 続きまして、男性職員の育児休業取得率でございます。今年度には15%に向上させることを目標としておりますけれども、現状は7.0%にとどまってございます。現状では、左の表にありますように、出産支援休暇や育児参加休暇、こういった休暇の取得率は非常に高い状況になっておりますので、今後は職員の育児休業取得に関する実態調査を実施しまして、男性職員における育児休業等の取得促進に活用していく予定でございます。
 続いて、超過勤務の縮減に係る取組状況でございます。右の表にございますように、平均超勤時間についてはこれまで減少傾向にありましたが、昨年度は増加の結果となりました。これは、緊急的あるいは臨時的な対応が必要な業務が増えたことによりまして増加したと見られますけれども、今後は、労基法改正に伴う超過勤務命令の上限時間の設定や、本格実施となる勤務間のインターバルの取組など、残業ゼロに向けた取組を着実に進めまして、テレワークなどの活用によって柔軟な働き方を推進してまいります。
 続きまして、年次有給休暇の取得促進になります。働き方改革の一環としまして、「トライ20!クリア15!」をスローガンにしまして、年休の取得目標の設定や休暇取得状況の見える化など、年休の更なる取得促進に取り組んでございます。表にありますように、年休の取得実績については堅調に増加しておりますけれども、今後も引き続き、メリハリのある働き方の実践に向けた取組を進めてまいります。
 最後に、ライフ・ワーク・バランス推進月間における最重点取組について御説明します。交通混雑の緩和に向けた取組の一環としまして、東京2020大会の前年となる今年の夏については、7月から9月までをライフ・ワーク・バランス推進月間としまして、都庁自らが率先して、都庁完全オフピークの実施、出勤者の徹底抑制、全員がテレワークを実施、こちらの三つの取組を積極的に進めてまいります。
 しごと改革の御説明は以上となります。事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。

○松本座長 ありがとうございました。
 ただいまの報告に関して、この3つのレスの取組は、よくやっておられるのではないかと思います。少し遅れているのは男性の育児休暇取得、残業超過勤務です。もう少し頑張ってほしいのは有給休暇の消化だと思います。
 今から、数分ですが、委員の方から御意見、いや違うという御異論も含めまして、提案がございましたら是非ともお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
 河野さん、いかがですか。

○河野委員 ありがとうございます。1回目、2回目のときに、よくこのはんこレス、ペーパーレス、キャッシュレスのレスのところが、目標をどうやって進捗していくのですかというお話、具体的に目標を持ってというのがあったと思うのですけれど、今回、数字を見ていますと、順調に進捗しているのかなと思いますし、何よりもその後の働き方改革のところで、確かに御指摘があったみたいに、男性育休のところがまだちょっと7%で弱いというのはあったと思うのですけれども、以前よりも目標の数値とかという見える化がすごく進んでいるなという形で、私としては、以前議論させていただいたものが形になっているなという形で、とても嬉しく思っているところです。

○松本座長 ありがとうございます。岩本委員、お願いします。

○岩本委員 座長が仰ったように、3つのレスは非常にいいと思うのですけれど、私どももかなり前から同じことを実施してきたことの反省を踏まえて、申し上げます。例えば、上司にレクチャーをする時とか、できるだけペーパーレスで実施するということは、とてもいいことなのですけれど、一時的に逆にペーパーが増えたりしたということがあるのですよね。これ、変な議論ですけれど、あり得るのですよ。ですから、そういうことがあったとしても、方向は間違っていないので、是非進めてほしいと思いますし、はんこレスの話も実施してほしいと思います。
 民間は、ひょっとしたらもっと遅れているところもあるかもしれません。私も社外取締役などにいくつか就任していて、今、総会を回っておりますけれど、議事録にはんこを押すのですね。我が社は議事録も全部、電子署名で運用しておりますが。ですから、是非進めていただければ、都の方が進んでいると民間企業に対しても胸を張れるかもしれません。物怖じせずに進めていただけたらいいと思います。

○松本座長 ありがとうございます。
 議長の特権で、知事に一つ質問いたしますが、知事は国会に長くおられて、日本の国会は特にペーパーレスが進んでいない。結果的には結局そのために職員の方がやたら長時間・不規則にお仕事をされておられます。国会を離れられて、今、東京都の議会は、それなりに進んでいるのでしょうか。

○小池都知事 都政の方では、はんこレス、キャッシュレス、ペーパーレスと、この3つのレスで目標、数的、量的な目標を持ちながら進めているところです。一方で、都議会のは、こちらはもう都議会の世界になるわけですけれども、しかし、つい前の議会から、本会議場のペーパーレスというか、タブレットが導入をされて、各委員会はまだという状況であります。
 それから、国会のときは、もう膨大な、とにかく予算書からして、もうけたたましく紙は使います。また、1枚でもちゃんと届いていなければ、聞いていない攻撃が始まって、役所の方はそれで、もう徹底して配るという、危機管理的にも必ず配るということで、なかなかこれが変わっていない。
 ただ、世代も大きく変わって、もうもはやスマホは当たり前というような時代になってきていますので、都議会も、それから国会も、ちょうど潮目の変わりどきではないかと思います。そのときに、都庁でこの3つのレスをしっかり進めることが一つのモデルケースになれればと思っておりますし、それによって都の職員の、まあ、残業時間はちょっとまだ長いところがあります。議会対策だったり、色んな理由はあるのですけれども、後、オリ・パラ局なども、もう時間との戦いみたいなところがあったりしますけれども。しかし、結局この残業などで、このIoT、ICTを活用することで、より省力化し、それからAIに至っては、もう判断までしてくれてしまったりするということになると、余計、都民にとって何がいいだろうかという、そこの一番肝の部分は職員が、また我々が判断をするという、一番大事なところが残っていくので、クリエイティブな時間を持てるような、そういう方向性に変わっていくだろうと。それを目標に、モデルとなるべく、都庁として、この都政改革をより進めていきたいと思っています。
 国会は、なかなか、そうは言っても難しいと思いますね。はい。頑張って欲しいと思っています。

○松本座長 ありがとうございます。是非とも国よりもスピーディにやっていただければと思います。
 次の議題に移ります。2つ目の議題は、政策評価分科会の取組状況について。
 まず、事務局から御説明をお願いいたします。

○勝見都政改革担当部長 それでは、今年度から開始しました政策評価の取組につきまして、資料2により、まず事務局から御説明いたします。
 1ページ、政策評価分科会についてです。1、設置目的、2、所掌事項と、昨年11月の会議で御説明した案によりまして、政策評価分科会を設置し、3、構成等でございますが、構成員として、石田委員、西村委員、水町委員に御就任いただきました。専門調査員には、御覧の4名の方に御就任いただいています。分科会の経過及び結果は、都政改革アドバイザリー会議に報告することとしています。
 2ページでは、政策評価のポイントを整理してございます。囲みの部分ですが、目的としては、成果を重視した効果的・効率的な都政運営の推進と、都民への説明責任の徹底の2点としてございます。「施策」レベルを評価の対象とし、この施策ごとに、成果(アウトカム)に着目した、可能な限り定量的な指標と目標値を設定し、指標の実績などをもとに分析・評価していくこととしております。
 3ページは、今年度の取組フローでございます。図で各局の取組の流れをステップ1から4に整理してございます。まずステップ1、評価実施ユニットと評価実施施策の選定でございますが、ステップ1の下の丸印にございますが、今年度は「見える化改革」の事業ユニット、事業ユニットは、都庁の各局の主要事業につきまして、都民の視点から見て一定の完結性のある事業の固まりとしてくくったものでございますが、この事業ユニットの中から、各局1ユニットを選定しまして、政策評価に取り組みます。続くステップ2の成果指標・目標の設定と、ステップ3、施策の自己評価の段階で、分科会から御意見・御助言をいただき、ステップ4、評価結果を今後の施策の企画・立案に反映という流れで進めてまいります。
 4ページでは、局や局相当の組織、合わせて21になりますが、各局それぞれが今回政策評価に取り組む事業ユニット名と評価実施施策を一覧にしてございます。
 5ページは、今年度の取組スケジュールでございます。スケジュールの最上段、会議という欄に都政改革本部会議、都政改革アドバイザリー会議の開催予定を記載してございます。アドバイザリー会議は、黒い三角で、本日の会議を7月の欄の真ん中に記載してございます。
 その下の今年度の取組の欄が、先ほどステップ1から4に分けて御説明した今年度の取組のスケジュールでございます。各局、4月から、政策体系の整理、成果指標、目標の設定を行いまして、5月には、副知事をトップとする都政改革本部推進部会で議論しました。6月24日には、第1回分科会を開催し、御議論いただいたところでございます。今後、分科会によるヒアリング、各局との意見交換を行った上で、各局の成果指標の設定等について御意見・御助言をいただくこととしております。
 スケジュール、下の段は、来年度に向けた取組でございます。今年度の政策評価の取組と並行して、制度のブラッシュアップを検討してまいります。こうした取組状況につきましては、第3四半期にアドバイザリー会議で御報告させていただきたいと考えております。
 6ページは、6月24日に開催した第1回分科会の状況でございます。構成員、専門調査員、全ての方に御出席いただき、分科会会長には石田委員に御就任いただきました。初回ということで、石田会長からのお話を受け、皆様それぞれから問題意識など御発言がありました。資料の意見交換のところでは、当日の数々の御意見の中から、ごく一部、主立ったものを記載しています。成果指標、目標の設定に関しまして、アウトカムによる定量的な指標を検討することが重要であり、ヒアリングでは、各局での検討内容等もよく聞き、意見交換をしたい、また、制度につきまして、評価結果が施策の改善にフィードバックされるなど、都政にとって有効であり、職員の意欲向上にもつながるようにしていくべきといった御意見がありました。
 こちらの開催状況に関しましては、分科会会長の石田委員、構成員の西村委員、水町委員に御発言をお願いしたいと存じます。
 事務局からは以上でございます。よろしくお願いいたします。

○松本座長 ありがとうございました。説明をいただきました。
 では、3人の委員から発言をいただきたいと思います。石田会長、西村委員、水町委員の、順番でお願いしたいと思います。
 では最初、石田会長からお願いします。

○石田委員 会長の職を仰せつかりまして、責任の重さを痛感しているところであります。ただ、今回は西村先生、水町先生にも入っていただいておりますし、それから専門調査員の4名の方は、皆さん、それぞれ大変実務経験、それから深い知見をお持ちの方なので、大変心強く思っているところであります。
 1回目の会議も、皆様方から大変貴重な問題意識等を受けまして、今後、より良い制度設計に、あるいは制度を見直していくときに、良い提言をして、こちらの親会議の方で良い報告ができるように努めてまいりたいと思っております。
 資料の方にもありますが、一つの新しい制度を入れるということなので、どんどん新しい制度を入れると、どんどん仕事量が増えてしまいますので、今までも、もう東京都さんは十分にPDCAを回していらっしゃると思いますので、一つ新しい制度を入れるのであれば、必ず重複する制度をできる限りなくして、更に東京都を強く、しなやかに機能できるように、そういった提言がしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本座長 ありがとうございます。
 では、引き続き、西村委員、お願いいたします。

○西村委員 西村でございます。
 私も今、評価の分科会に入れていただいて、具体的に評価書の案みたいなものを拝見させていただいている段階です。
 見ていて、色々思うのは、なかなか、部局ごとに、都民の方からどう見えるかというところをもう少し意識していただきたいなというところを感じておるところです。事業の進行管理みたいな形になるのではなくて、やはりこの事業、この施策によって、こういう効果があるのですよというのが見えるようにやっていただくことが、一つは重要なのかなと思っています。そういう意味では、プログラムのくくり方ですとか、見せ方というところが、まだまだ工夫の余地があるのではないかなというふうに思っております。
 もう一点、やっぱり申し上げておきたいのは、やはり単に評価して、評価して終わりというだけでは、絶対これは良くないということです。やはり必ずフィードバックにつながるような形で、事業がより良くなっていく、都政がバージョンアップしていくというきっかけになる評価制度にしていっていただくことがまず肝要かなと思っておりますし、その上では、評価してやりっ放しではなくて、重要な改善点がもしあった場合には、結構、粘り強くフォローアップしていく、場合によっては、前年指摘されたこの点はどうなっていますかというのをきちんと追跡していくような、これは全部やっていたら大変なことになりますが、重要な案件については、そういった仕組み、仕掛けを何か入れていく必要があるのかなとも思っておりますが、今の段階ではそのようなところでございます。

○松本座長 ありがとうございます。
 引き続き、水町委員、お願いします。

○水町委員 今の、現状の政策評価の評価書を拝見しますと、やっぱり都の職員の方は非常に真面目でいらっしゃいますので、すごく精緻に、細かく全部数字がびっしり入っているというような資料になっているのですね。そうすると、中々作るのが、一件一件の評価書を作成するのに、非常に膨大な時間がかかる。その割には、都民目線で見ると結構難しいので、なかなか都民から見ると分かりづらいというところもあるのが、ちょっと課題かなと感じております。
 あとは政策評価とか、あとは公務に対する評価といいますと、一般的には、とかくやっぱり批判を、公権力に対する批判というのは非常に重要なのですけれども、批判の方がやっぱり大きい声になりがちなのですけれども、やっぱり公務としていいことをやった、こんなにいい成果が出たよとか、こんなに都民にいいことがあった、こんなに頑張ったということは、きちんと評価されるような、いい取組も評価されて、もちろん、だめな取組は、だめでしたねということが分かるような、そんな評価になれればなというふうに思っています。
 以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
 それでは、数分の間、意見交換をしたいと思います。まず、御意見がある方がおられましたらお願いいたします。
 では、私から、この評価委員の方に、皆さんが現時点で気がつかれている問題点は一体何でしょうか。
 石田委員、お願いします。

○石田委員 今回、ペーパーレス推進ということですが、紙に両面で打ち出しますと、これだけの量のものが評価書案として上がってきています。これを見させていただくと、先ほど私が、もう既に東京都さんはきちんと各部局の現状の課題、それから何が重点策なのかを分かっていらっしゃってPDCAを成果を重視した観点から回していらっしゃると思いますというふうにお伝えしました。それがここでは見えません。なので、それが分かるようにしていきたい。それも、こんなに分厚いものは誰も見ませんので、せめてA4判2枚で、現状の課題と、この部局は一番何に重きを置いているのか、それで過去一番やってきたものは何なのか、それがエビデンスに基づいてちゃんと効果を果たしているのか、果たしていないのなら、じゃあ、次に何をどうするのかということが、せめてA4判2枚で分かるようにして、あとは予算額が結局は重み付けだと思うのですね。動機付けなので、せめて三つぐらい、予算額が一番大きなものを、やっぱりそれもA4判2枚の中でどんと出すというような形にすれば、多分、この評価書の分量はもっと少なくなるし、都民にも分かっていただけると思うので、そういうものにしていっていただきたいなというふうに思っているところです。
 以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
 3人の委員の方には、厳しい辛い意見を期待していたのですが、最初の話にはなかったので、まず石田委員に振りました。次に西村委員、お願いします。

○西村委員 辛口のという御要望なもので。
 先ほどともちょっと重複するのですけれども、どうしてもやっぱり評価書に出てくる数字がアウトプット志向になってしまっていて、何を何%進捗させますというのは、これはこれで重要だとは思うんですけれども、そのことによってどういうプラスの効果があるのかないのか、どういう跳ね返りがあるのかないのかという、あるいは、更にそこから何がアウトカムで上がってこないとするならば、何がボトルネックなのかというのを考えていく仕掛けにちょっとまだなっていないかなというふうには思います。ただ、事業の性質によっては、なかなかそれは把握できないよというのもあるのかも分からんとは思うのですけれども、可能な範囲で、やはりどういうアウトカムが上がってくるのか、ボトルネックがあるとすればどうなのかというところまでつなげていかないと、事業改善にはつながっていきませんので、個々の事業が、非常に膨大に東京都はお持ちですので、大変とは思うんですけれども、是非、その辺の案配をよく考えながらやっていただきたいなというふうに思っております。
 以上でございます。

○松本座長 ありがとうございます。
 最後に水町委員、辛口でお願いします。

○水町委員 そうですね、政策評価に類似するような仕組みが何個かあると。例えば予算査定で毎年やっているわけですし、あとは行政計画をつくっていて、もう目標値が決まっていると。そうすると、予算からコピペして、行政計画からコピペをして、政策評価に張りつけていくというような、そういう似たような作業が既に走っていて、それとまた似たような、ただ、目的は違って、予算とか政策評価というのは目的が違うのですけども、作業自体は結構似ていて、やっぱりやる側の公務員の方にとってみると、何度も同じ作業をさせられている感というのが出てしまうと、本当は、より良い政策、より都民にいいような政策をやっていくための評価なのに、もう何かコピペみたいな、大変だな、面倒くさいなという作業になってしまうと、評価の意義が削がれてしまいますので、重複作業というのはできる限りなくして、本当に公務員にとって反省と励みになるような、そういう制度になっていければなというふうには思っています。

○松本座長 ありがとうございます。
 良い組織、良い改革のために、更に厳しく御指導いただければと思います。
 最後に、知事から一言お願いいたします。

○小池都知事 往々にして、資料や、先ほどの石田先生が見せていただいた、紙のページ数によって、より枚数が多い方が、より仕事をしたという、何か達成感があったりするのですが、結果をいかに出すかということが全てだと思いますので、それをどうやって優先順位をつけていくかとか、そういったことをより徹底していきたいと、こう思っています。
 限られた時間の中で、限られた人員で、そして最も高い効果を出していくということは、これはもう民間企業の方々はもう当然の話だと思いますので、そこは民間の企業の様々な好事例を学ばせていただいて、そしてそれを、パブリックなので、行政というのは、どうしても、ただ圧縮すればいいというものだけでもありませんけれども、でも、やはり色々な好事例については、より多く学ばせていただきたいと思っています。
 また、今日、委員の先生方には、よりびしっと現状などについてのお話、この後の岩本さんのプレゼンには大変期待をいたしておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 色々御意見、本当にありがとうございます。

○松本座長 小池知事、ありがとうございました。
 私、今から10年前に、カルビーの大改革を行いました。詳細は割愛しますが、基本的なコンセプトは、簡素化・透明化・分権化。この三つが大きな柱でした。したがって、そういう基本的なコンセプトがいいのではないかと私は思います。是非とも委員の方、よろしくお願いいたします。
 それでは、続きまして、今日の最大の議題ですが、今後の都政改革の進め方について、まず資料の説明を事務局からお願いいたします。

○豊田都政改革担当部長 それでは、今後の都政改革の進め方につきまして、御報告をいたします。
 まず、都政改革の概要と成果でございます。
 これまで都政改革では、「2020改革」の基本理念をもとにしまして、御説明してきましたような、「しごと改革」による3つのレスの推進ですとか、「見える化改革」によるユニットの点検・評価、「仕組み改革」による情報公開の強化、都庁グループ全体の生産性向上や組織の機能強化に取り組んでまいりました。また、自主的・自律的な改革を推進することによりまして、各局・各職員への改革マインドの浸透を図ってまいりました。こういった改革の取組によりまして、都民ファーストの都政を推進していくための基盤の強化に取り組んできたところでございます。
 続きまして、都政改革の今後の課題と本日の論点でございます。
 こういった状況の中で、都政を取り巻く環境に目を向けますと、冒頭、知事からお話がございましたように、人口の減少ですとか、様々な状況の変化がございます。また、AIやIoTなど、科学技術の発展など社会の変化のスピードは更に加速してございます。
 このような中、東京都では、2030年の東京の将来像と、それに向けました具体的な政策目標を設定する新たな長期計画の策定に向けまして動き出しているところでございます。
 これらの状況を踏まえますと、都政改革につきましても、都庁の生産性向上や組織機能の強化など、これまでの改革をベースにした上で、今後については、技術発展などの長期的な視点を踏まえまして、都民や企業の利便性や生産性を向上させる、改革の更なる推進を目指していく必要があると考えてございます。
 そのため、本日は、一番下に書かせてございますように、都民や企業が効果を実感できる都政改革、また、その改革を支える基盤であります都庁の生産性向上や組織機能の強化、この2点につきまして、テーマとさせていただきまして、委員の皆様に御議論いただきたいと考えております。
 この二つのテーマにつきまして、現在、東京都で検討を重ねている取組事例を一つずつ紹介させていただきます。
 まず、テーマ1の都民や企業が効果を実感できる都政改革の取組例でございます。
 東京都では、本年3月の改革プランのバージョンアップで、行政手続等のデジタル化の加速による都民・事業者の利便性の更なる向上に向けまして、「デジタルしごと改革」に着手しております。一番下に書いてございますように、国におきましては、本年5月、デジタル手続法が成立したところでございます。
 東京都では、これまでも行政手続のオンライン化に取り組んできております。例えば申請手続をする際に、都庁に来庁せずに、オンライン申請できるなどの都民の利便性向上を図ってきました。都の行政手続の数は、約2,800ございます。その中には、申請が全くないものも多くあるわけでございまして、これからどのような手続から優先してオンライン化していくのか、そういった仕分けを行う必要もございますが、現時点、平成30年度末時点では、オンライン化した手続は約230程度となっております。今回のプランのバージョンアップでは、このオンライン化に加えまして、ワンスオンリーの実現に向けた取組を新たに追加しております。具体的には、デジタル化による情報共有を図りまして、都民が同じデータを二度提出しないで、一度で済む、こういった利便性向上を目指してまいります。現在、各局への状況調査を実施しておりまして、今後、具体的なモデル実施を行ってまいります。
 今申し上げたような「デジタルしごと改革」の内容のほかにも、民間企業等でも盛んに導入が検討されておりますAIですとかRPAなど、こういった進化が著しいICTにつきまして、積極的に都庁の業務に活用・検討することを検討してまいりまして、都民や企業の方の利便性向上に繋げていきたいと考えております。
 続いて、テーマの二つ目の取組例でございます。
 都庁内の生産性向上や組織機能の強化でございますが、東京都では、先月の都政改革本部会議におきましても、都庁組織のあり方検討について報告し、組織再編の実施に向けた検討を開始したところでございます。
 先ほど申し上げているとおり、都政を取り巻く環境は大きく変化しておりまして、それに伴い、今後も政策課題が変容していくことが予想されております。一方で、組織の最上位に位置づけられる局につきましては、オリンピック・パラリンピック関係を除きまして、約15年間、大きく変わっておりません。そのため、今後の政策課題等を見据えながら、どのような組織とするのがふさわしいのか、局の組織につきましては、条例で定めなければならないことなどを踏まえつつ、様々な観点から検討が必要であると考えてございます。
 今後のスケジュールについては、こちらにありますとおり、今年度内に組織の方向性を公表した上で、2020年度に組織の具体的な再編案を検討しまして、2021年度を目途に、組織の再編の実施を予定してございます。
 検討に当たりましては、中長期的な視点に立ちまして、様々な意見を拝聴しながら、生産性の高い都庁組織を目指してまいります。
 以上のとおり、二つほど事例を挙げさせていただきましたけれども、本日は、都民や企業の利便性や効率的などが向上する都政改革、そして、その改革を支える都庁の生産性向上や組織機能の強化、こちらの2点につきまして、委員の皆様の貴重な御意見をいただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○松本座長 ありがとうございました。
 今出てまいりました、デジタル、ICT、IoT、AIなどの領域で、この方を超える人は、日本では、私はあまり知りません。岩本委員から、今日は10分程度でプレゼンテーションをお願いしたいと思います。
 では、岩本委員、よろしくお願いします。

○岩本委員 ありがとうございます。10分という大変短い時間ですので、細かな話は全部できません。したがって、これからの議論になるような一つの視点というか課題提供と、こういう意味で進めたいと思います。次のスライドお願いします。
 都政は、冒頭、都知事からもありましたけれども、非常に多くの課題があるのは言うまでもないのですね。次のスライドをお願いします。人口減少もそうです、高齢化もそうです、大変色々課題があることは、これはもう、私が申し上げなくても分かっているとおりですし、総務省さんからの色々な報告書なんかも出ているのは、皆さんご存じのとおりであります。それを前提にして都政を考えるときに、最初、ちょっと、国レベルの大きい話、私が実際に見てきたお話があります。次のスライドお願いします。
 これは、ご存じの方も多いと思うのですけれど、中国の北京の南、100キロくらいのところに、雄安新区というものを習近平首相は造ろうとしています。ご存じのとおり、中国は改革開放40周年ですけれども、1980年代に鄧小平が改革で、深?を作りました。江沢民のときには、上海の浦東、浦東(ほとう)開発区を造った。習近平さんは、それに続いて、北京を非常に最高の市にしようとしていて、ここに、もちろん新幹線も通りますから、北京まで30分以内で来られところですけれど、今、非常に大きな川や沼のある地域ですね。
 ここに、本来、人が住みやすい街を造ろうということで、高層の鉄筋コンクリートのものは一切ありません。多分、低層階で、高くても10階ぐらいまででしょう。丘を造ったり、緑を造ったり、公園を造ったり、そういう中で人が住み、かつ仕事をし、教育を受けられる。では、都市型のインフラはどうするのかというと、全部地下に埋めます。鉄道、それからガス、水道、電気、下水道、それから電力線や、通信ケーブルなどですね。こういうものを造ろうとしていて、いつできるのと聞いたら、中国にしては珍しく、第1期は2035年、全部できるのは、恐らく今世紀の中ごろまで、非常に壮大な計画です。私と数人で見に行きましたが、これは相当な技術が要るので、日本も相当応援しないとできないのじゃないかという話をしています。
 次のページを見てみますと、もう既に本来の開発区ではありませんけど、こういったものがもう全部動いています。多くの人が来ますから、ホテルなども造りますけれど、工場で1カ月造ってきて、ブロックをバーンと積み上げて造り上げます。顔認証で全部入れるような、とても素敵なホテルができています。もちろん、無人ロボットなどもあるわけですけれど、これも10年で潰すと言っているのですね。もしかしたら、10年後にまた新しくリニューアルするかもしれません。
 これは、もちろん都だけでできることではありませんから、本来的には、国としてやらなきゃいけない部分はあると思うのですけど、都の長期的なビジョンのようなものは、どこかにはきちんとないとまずいかなということで、御紹介をしました。次のスライドをお願いします。
 ひとつのキーワードですけれど、ちょっとテクノロジーの話をします。どのように発展してきたかということです。次のスライドお願いします。
 これは、アルビン・トフラーという人です。ご存じの人もいると思います。2016年に亡くなりましたけれども、1980年に「The Third Wave」という本を書いて、ベストセラーになりました。私も、これを本当に食い入るように読みました。次のスライドお願いします。
彼が言っているのは、三つの変革が来て、今はサードウェーブが来ている最中だと。80年代に言った話ですが、それは情報通信革命であると。彼は、情報通信革命という言葉は使っていませんが、”Post-industrial society”、「脱工業化社会」という概念ですね。このようなサードウェーブが今来ているわけです。次のスライドをお願いします。
 このサードウェーブも、更に三つの波に分けられると言っているのが、スティーブ・ケースという、これはアメリカオンラインの共同創始者であります。今、我々は、第二の波にいます。ここにGAFAが入るかもしれません。インターネットショッピングも入るかもしれません。そしてさらにその先の第三の波が、もう来ると言っています。これは、あらゆるものがインターネットにつながり、AIが活躍するという世界なのです。ここに、これから我々は生きていかなきゃいけないので、都政の改革も、これを意識した上で作らないといけないというのが、私のコメントであります。次のスライドお願いします。
 次に、Society5.0、皆様ご存じのとおりですね。2016年の第5期科学技術基本計画で出された、とても素晴らしいコンセプトです。こういう全てを冠したコンセプトは、多分、日本しか出していません。Society1.0・2.0・3.0と続き、今が4.0ですね。ここまではアルビン・トフラーのサードウェーブに近い概念です。その先に、日本国としては、Society5.0という、まさにスマート社会を作ろうと言っています。こうした概念は日本しか、私はないと思います。次のスライドをお願いします。
 こういうことを考える際、サードウェーブもそうですし、Society5.0でもそうですけれど、実現可能にするものは何かという話をします。次のスライドをお願いします。
 私も、20年以上前から言っていますけれど、実はCPU、ストレージ、ネットワークという三大要素技術が、エクスポネンシャルグロース、すなわち指数関数的に伸びていて、この流れは未だに止まっていません。エクスポネンシャルグロースというのは、実は、バイオレンスであります。これはものすごく怖いことでありまして、初めのうちは、よく変化は分からないのですね。この変化を見た瞬間に、昨日と今日とで全く違う世界が来る。違った世界が来るということは、プレイヤーが変わる、サービスを受ける人たちが変わってしまうということになります。これが今、まだ続いているので、今までのようなスピード感でものを考えると、とんでもないことになってしまうということを申し上げています。次のスライドをお願いします。
 シンギュラリティという言葉を聞いたことがある方がいると思います。これはレイ・カーツワイルという人が書いた本です。「The Singularity is Near」、これは2005年に書かれた本です。2007年に出版された日本語版はすばらしいタイトルで、「ポストヒューマン誕生」です。英語版には副題として、「When Humans Transcend Biology」と書かれています。ここに意味があるのです。シンギュラリティは、実は多くの人にかなり間違えて捉えられています。レイ・カーツワイルが言っていることとして、2045年になるとコンピュータ、言い換えればAIが、全地球上の人類の脳を超えるということは間違いではありません。ですが、技術的特異点というのですけれど、オックスフォードのオズボーン氏などは、AIは人間から職を奪うと言っています。弁護士、公認会計士、銀行の窓口の人たち、ひょっとしたら、都庁で働く人たち、そこまでは言いませんが、もしかしたら、ホワイトカラーの半分以上の仕事はなくなるというようなセンセーショナルなコメントを出しているので、なんとなくAI・バーサス・ヒューマンという捉え方があるのです。しかし、レイ・カーツワイルは、そんなことを言っていません。AIと一緒になって、人類がいわゆる従来型の生物学的存在を超えたときに、シンギュラリティが来るという、こういうことを言っているのです。つまり、AIとのコラボレーションなのですね。
 彼と私がお会いしたのは2年か3年前くらいです。次のスライドをお願いします。
 もう一つ注意しなければいけないことをお話します。今、いわゆるデジタルネイティブという言葉がありますが、もう既にネオ・デジタルネイティブ世代に入ってきます。この人たちというのは、つまり2000年以降に生まれている人ですから、今、19歳以下ですけれど、あと20年ぐらい経ったら、もう人口の45%、半分ぐらいは、もうネオ・デジタルネイティブの人たちが占めてくる。ということは、都民も、そういう人口構造になってくるということです。つまり、そのような都民や、ここで活動する企業の真のニーズが何かを見極めることが、都政改革の第一歩だというふうに私は思うので、こういう人口構造の変化も見なければいけないと申し上げています。次のスライドをお願いします。
 こういう意味で、本当に都民と企業の真のニーズ、環境は変わります。社会構造が変わります。だからこそ、変化の中で都民と企業の真のニーズをどう掴むかというのが、都の最大の仕事になるように思います。次のスライドをお願いします。
 GE(ゼネラル・エレクトロニック)さんの例をご紹介します。GEのCEOをウェルチ氏からイメルト氏が引き継いでから、彼はIndustrial Internetという素晴らしい概念を生み出しました。GEは色々な事業を展開していますが、飛行機のエンジンを製造して航空会社に売るのがそれまでの主な事業でした。そこでイメルト氏が言ったのは、航空会社はエンジン自体を買うことが目的ではなく、エンジンの推力を買いたいのであるということです。航空会社はメンテナンスなど全部含めてサポートしてほしい。では、それを我々が提供しましょうとGEのイメルト氏がやったのが、いわゆるサービス化なのですね。これがIndustrial Internetです。次のスライドをお願いします。
リアルタイムにエンジンの状態をモニタリングして、例えば、あまり大きい飛行場ではなくても、エンジンの状態が悪いことを感知すれば、そこに先回りしてエンジニアが行って、必要な整備をして戻ってくるということもできます。また、このような飛び方をすれば、最もジェットエンジンの燃料を使わずに済むといった解析をして提供する。こういうふうにビジネスモデルを変えたのですね。ただ、アメリカのビジネスは厳しいので、素晴らしい取組だと私は思ったのですが、その後イメルト氏はCEOの座を降りざるを得なくなりました。次のスライドをお願いします。
 これを真似したわけではないのですが、ドイツのIndustrie4.0という概念があります。これも素晴らしい概念ですが、基本的には、製造業に特化しているのですね。Industrial Internetも、Industrie4.0も、どちらかというと製造業にかなり特化しています。ですから、先ほど申し上げた日本のSociety5.0というのは、それを超越したもっと大きな概念なので、素晴らしいと私は申し上げています。次のスライドをお願いします。
 ここからが実は本題です。こういうふうに都民や、都にいる真の企業のニーズを正しく受けとめたときに、どのように統制をするかということを考える際、チェンジマネジメントの問題というのが一番重要です。
 実は、1990年の頭に、ビジネスプロセス・リエンジニアリングというものが流行りました。これはアメリカで流行ったのですね。日本でも、どんどん入ってきて取り組みました。ただ、多くの企業は、必ずしもそれがうまくいかない。なぜか。そこには、このチェンジマネジメントの問題があったのです。そこにいる人たちが、組織を変えることに本当に納得して動かなければいけないのですが、そこで多くの人はつまずくのですね。ビジネスプロセス・リエンジニアリングを言い出したMIT(マサチューセッツ工科大学)のハマー氏などが考えたところでは、チェンジマネジメントの問題というのは、いくらいいことを提唱しても、真の意味で、その組織がついていかないと回らないということです。松本座長が先導したカルビーは、松本座長が言ったとおり動いたので、素晴らしい成功を上げたのは、皆さんご存じのとおりですね。次のスライドをお願いします。
 それで、組織の問題を考えます。これはちょっと、私たちの例を紹介しますが、普通は、ピラミッド型でインダストリーカットの組織構造をもつ民間企業が多いです。多分、先ほどのどの組織を見ましても、そうなっていると思うのです。私たちは、もともとプロジェクト型なので、プロジェクトができるたびに組織をつくって、終われば解散するということをやって来ましたが、それでも、やっぱりインダストリーカットからの枠組みから逃れることはできませんでした。次のスライドをお願いします。
 それで、NTTから分社したのが1988年ですけれども、未だに公共・金融・法人という分野はありますが、ここへ来てものすごく新しい、IoTとか、AIとか、色々テクノロジーが出てきていますので、一つの分野の組織では、もうやっていられなくなり、この横軸のマトリックス的な組織を作っていきました。こういうマトリックス組織にしていった場合、先ほどお話したチェンジマネジメントがうまくいかないと、それぞれが反発をしたり、自分のところでやるからいいという内向きな姿勢になったりという問題が起こるわけです。次のスライドをお願いします。
 実は我々は、もう一つ大きな変化として、15年前からグローバルに出ていきました。グローバルに出ていっても同じ問題が起こるわけですね。次のスライドをお願いします。
 今、もう一つの問題は、社員です。社員にもこのチェンジマネジメントの問題が出てきます。意識改革のためには、彼らに、本当にそれが必要であると思ってもらわないといけない。そのためにどうするかという話をします。次のスライドをお願いします。
 一般的な企業は、大体このような企業理念体系を持っています。一番上にその企業は、何で生まれたのか、社会に何のために存在をするのかという企業理念。一般的には、これは、不変であります。その下に、環境がどんどん変わっていきますので、10年スパンのビジョンというものを作ります。ビジョンは大変重要です。それを更に3年スパンくらいに落とさないとものが回らないので、中期計画を作成します。最近は、変化が激し過ぎて、民間企業では中期計画は立てないというところも、かなり出始めてきました。しかし、1年単位の年度計画は、作成しないといけません。ステークホルダーに対して、株主総会で報告しなければいけません。大体このような理念・概念を持っています。次のスライドをお願いします。
 先ほど申し上げたように、私どもは、もう既にグローバルで53カ国の地域、223の都市で事業を展開しており、従業員数は12万3,000人で、日本人が3万7,000人ぐらいですから、8万人以上が海外の人材です。こういう人たちに、ビジョンのハイエラルキー構造を本当に理解してもらわないといけないわけです。そのためにチェンジマネジメントとして工夫したことがありますので、二つ紹介して終わります。次のスライドをお願いします。
 一つは、Values Weekというものを作りました。当社では、一番上に企業理念がありますが、その企業理念を実現するためにビジョンを作ります。そのビジョンを社員に浸透させるために、我が社が取り組んでいるのがValues Weekです。当社では共通の価値観として、「Clients First」「Foresight」「Teamwork」の三つをまとめてスリー・バリューとしていますが、これを世界中の社員が、我が社の創立である5月23日を含む1週間をValues Weekとしてみんなで考えてもらうという取組です。別にアウトプットを報告してもらうことはないのですが、みんなで、これは、当社にとってどういうことなのか、自国にとって、あるいは、当社のお客さんにとって、どういう意味なのだろうということを議論してもらう、そういうことですね。
 それからもう一つ。これはちょっと、瓢箪から駒みたいに出て、私が作っちゃったのですけど、”NTT DATA One Song”というものを作りました。これは歌詞を7カ国語で募集しました。詩を作れなくてもいいのですから、好きな言葉だけでもいいと。例えば「Trust」トラストとか、何でもいいと言って集めたところ、大体1万語ぐらい集まりました。私たちは、ビッグデータアナリティクスの技術を持っていますので、それを活用して詩にして、次は曲を募集しました。さすがに曲になると、40曲ぐらいしか集まりませんでしたが、プロの力も借りまして、”NTT DATA One Song”という歌を完成させました。何かある度に、役員クラス、トップが集まったときにもそうですけれど、最後にこれを歌って終わる。歌を歌って終わると、共通意識が出ます。私、共通意識ができるのは、ソフトボール大会か歌だと、いつも言っているのですが、これは私の勝手な想像でありますけれど、何かそういうことをやることによって、チェンジマネジメント、つまり社員が、同じ方向を向いて、一つになってやるということができるのではないかなと思いました。
 以上で終わります。ありがとうございました。

○松本座長 岩本委員、大変ありがとうございました。8時間の講義を10分ちょっとでやっていただきました。大変申し訳ありませんでした。
 今から意見交換にはいりますが、少し時間がビハインドしていますので、御協力をお願いします。今日は、キャシー・松井委員が欠席ですが、松井さんから、事前にメッセージをいただいています。事務局から御紹介させていただきます。
 事務局、よろしくお願いします。

○豊田都政改革担当部長 松井委員から事務局の資料についての御意見をいただいておりますので、御紹介いたします。
 まず、基本的な都政の都政改革の進め方として、都民や企業の方の利便性を、考えてながら進めていくことについては、非常にこういった形の方向性はいいのではないかという御意見がございました。その上で、二つ御意見がありました。一つは、こういった改革を進めるに当たって、どういった基準で改革が成功したかをはかれるのか。そういった基準というものが大事ではないかということで、タイムラインを含めて、この指標を設定するということが望ましいのではないかと、そういう御意見がございました。
 もう一点は、デジタル化についてですが、東京都と海外の大都市なども比較しまして、その都のデジタル化が遅れている状況について、どういったところが非効率なのかということを比較していくことなんかができると、これからもっと、進められるのではないかと、そういう御意見がございました。
 以上でございます。

○松本座長 ありがとうございます。同意いたします。良い意見をいただきました。
 それでは、残り20分ぐらいしかございませんが、皆さんから色んな意見をいただいて、意見交換をしたいと思います。テーマは二つありましたので、まず一つ目の「都民や企業の利便性や効率性などが向上する都政改革とは」というテーマに関して、議論していきたいと思います。
 まず、谷田委員から、お願いいたします。

○谷田委員 岩本委員のプレゼンテーションの中で、あらゆるものがインターネットでつながるというところがありましたが、弊社は測定機器を作っていますので、まずはその関連でお話をさせていただきます。(資料1-2のキャッシュレスのくだりで、水道料金のスマートフォン決済を開始したとありますが、)水道メーターの規格を変更して、インターネットを介して皆さんがアクセスできるようにすれば、水道メーターの値を見て勝手にスマートフォンで支払うこともできる。そうすると、チェックする人も要らない。そういう世界がもう既に選べる状態にあります。私の場合ですと、まだしばらくは誰かに支払いに行きたいなと思うかもしれませんけど、勝手に自分たちのスマートフォンで払ってください、誰もチェックに行きませんという仕組みは、もう作れるのではないかなと思います。多分、こういうのを読むのが第三の波で、あらゆるものがつながっているというイメージの一例であり、こういう形もつくれるといいのではないかなというふうに思いました。
 あと、もう2つあって、先ほどご説明のあった行政手続きのオンライン化とワンスオンリー実現に向けた取り組みに関して言うと、これは、プライベートの話なのですが、私、先日引っ越しをしたのです。住所が変わったので免許証を書き換えに行ったのですが(※編集部注:正しくは免許証の書き換えではなく住民票の住所変更)、それで引っ越しに係わるすべての手続きが終わってほしい。それだけで終われば、それこそワンストップなので、是非それを実現してほしいと思います。今度また引っ越しする機会があると思いますが、どこか1つ手続きをすれば、それが全部データでつながってすべての手続きが終わっていましたとなっていれば、もう別に評価は要らないです。私が言います。すごく楽ですと。(そういった仕組みがまだできていないので、)今、色んな役所を回っています。
 あともう1つは、大きく分けるとお客様ファーストの話、利益を上げる話、売り上げを上げる話がありますが、3つのレスでコストを下げて利益を上げる話はあっても、売り上げを上げる話がないので、収入を増やす方の話も一度議論してほしいなと思っております。
 以上です。すみません、ありがとうございます。

○松本座長 ありがとうございます。
 他の委員の方から、御意見をお願いいたします。
 河野委員、どうぞ。

○河野委員 私の方は、ちょっと事例を、今色々とお話しいただいたと思うんですけど、追加で、出てきたキーワードで、弊社がやっていることで、こういうことを共有したいなと思ったので、せっかくなので、ちょっと共有したいなと思うのですけど。
 例えば、キャッシュレスとか、顔認証というのが、今日、キーワードで出てきました。弊社も、リアルのところで、野球とか、サッカーとか、色々とそういうチームを持っていたりするので、スタジアムで、完全キャッシュレスってやってみたりとか、あと、顔認証で入場をやってみたりというのを結構やっています。これ、一企業なので、ちょっと思い切ったことができるというのはもちろんあると思うのですけども、どのぐらいの反発が来るんだろうと思って、今シーズン始めたところ、正直申し上げて、ほぼ反発はなく、むしろ、結構、このデジタル世代じゃなかったとしても、やることの楽しみというのをちゃんとお伝えすると、何かやってみたかったのだけど、やるきっかけがなかったのであって、それが一回できるということで、その後も継続しているというのがあったので、少し先を読んでトライするということは、やっぱり重要かなと思いました。
 更に、ビジネスとしてどうなのかなというところなのですけど、キャッシュレス化したときに、結果として、いわゆるそこで売っている物販の売り上げが、かなり売り上げが伸びました、正直。なので、そこでの事業がすごく伸長しました。
 更に、レジを締めるじゃないですか、リアルなので。そのときのデータは、もうデータ化されているので、集計が要らない。なので、そのお店とかも、レジを締めると、本当、数十分後には全員さっさと帰れると。これも結局、働き方改革になるし、データの見える化も進むしというところで、結構いいことずくめだなと思っていて、やっぱり、何か懸念をして、色んな人がいるのでというのはもちろん重要だとは思うのですけど、やっぱり先を見据えてやっていくと。ほかの国とかは、やっぱりそこが進んでいるのではないかなというのが、先ほど松井さんからあった、ちょっとデジタル化が日本は遅れているのではないかなというコメントにつながるかなと思うので、是非、ちょっと先を読んだアクションを一緒に取り組ませていただけるといいかなという気はしました。

○松本座長 ほかに、御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ。西村委員。

○西村委員 すみません。デジタルしごと改革については是非進めていただきたいなと、本当に思っております。行政学の立場から言うと、国の方で色んな規制なり、ルールなり作るんで、国が動いてくれないと、なかなか都の独断だけで動けないという場面は多くあるのだろうとは思うんですけれども、逆に、そのデジタル化が進んでいくと、国と自治体が、基礎自治体ですね、市町村が直でつながる可能性も出てくると。そうすると、では、都道府県の役割って何なのだというのが、多分問い直されてくる、今後、数十年になるのかなというふうに思っています。
 ただ、私は実は、都道府県には存在価値が十分にあると思っていまして、何年か前か、都内で大規模な化学薬品の火災ですね、水をかけると逆に燃えちゃうみたいな。こんなものどうやって消すのだろうと思ったら、さすが、東京都さんは消火剤を持っていて、これで鎮火させたというニュースを見て、やはり都道府県の役割ってあるなと。これを市町村レベルで常備しろと言われても、恐らく厳しいのだろうと。これは東京都だからできたというところが、多分にあると思っていまして、つまり、そのデジタルしごと改革みたいなところで、今後人口も、労働力も減っていく中で、仕事を厳選していかざるを得ないと。ITに任せられることは任せつつ、是非、都道府県には広域事務と、連絡調整と、補完とこの三つ事務があるわけですが、今後はやはり、その広域的なところと、あと、是非、市町村は、都庁以上に今、人員が厳しくなってきておりますので、やはり、その補完事務ですね、特に小規模町村に対しては、何といいますか、都庁の方で手を差し伸べていただくことで、都内の人たちが、安全・快適に暮らせると。
 それで、都が、実は電子化、デジタル化が進んでいきますと、日本の人口の10分の1がその恩恵に浴するという、非常に重要なモデルケースにもなるのかなというふうに思いますので、国が動かないと、なかなか進められない部分はあるとはいいながら、是非、都の方でも旗を振っていただいて、むしろ国をリードするぐらいの形でやっていただけるといいのかなというふうに考えております。
 以上でございます。

○松本座長 ありがとうございます。
 ほかに、御意見はございませんでしょうか。
 どうぞ、石田委員。

○石田委員 岩本さんのプレゼン、大変勉強になりました。ありがとうございました。特に最後のバリューズウィークと”NTT DATA One Song”、やはり、社員、あるいは職員全員が心を一つにして、一つの価値をもち続けていくということは大事だと思うのですね。やはり同じ方向をむいて、そこで、是非、東京都政、小池都知事にお願いなんですが、やはりその、地方の、地方でなくてもいいのですけど、自治体の職員の方とお話をすると、変えることはすごく大変なのですと仰るんですね。変えるためには、議員さんにも説明しなきゃいけないし、変えることには、すごく労力が要るから、結局変えるのに疲れてしまうから、変えない方が楽だから変えないという。それを是非逆にしていただきたい。最初、冒頭、動いていないと、体が腐るみたいな話がありましたけども、変えるときは特に、その説明は必要ですけれども、説明は要るんだけれども、変えない方が説明をすごいしなきゃいけないような仕組みというか意識にすれば、「何で変えないんだ」と。いつも職員は「変えなきゃいけない、変えなきゃいけない」というマインドなのと、「変えない方が楽だな」というマインドと全然違うと思いますので、そういうところは一つ入れていただけたらありがたいなと思いました。

○松本座長 ありがとうございます。
 ほかに、いかがでしょうか。
どうぞ、水町委員。

○水町委員 デジタルしごと改革「ワンスオンリー」については、私も精力的に取り組んでいる分野ですので、都として取り組んでくださるとのこと、非常に嬉しく、素晴らしいことだと思っています。
 その点なんですけれども、3点お話ししたいことがあって、まず一点目なんですけれども、このデジタル改革というのは、東京都こそが非常に重要な役割を担えるというふうに思っています。
 というのも、霞が関、国の方でもデジタルファースト、デジタル手続、デジタルガバメントというのはやっているんですけれども、霞が関ですと、個人の方と直接触れ合うような手続が余りなくて、国税、ハローワーク、年金、特許等、それぐらいで、企業とのやりとりは許認可も少ないということで、余り、実際個人にメリットが出るような行政手続が少ない。結局デジタルガバメント実現のためには自治体がデジタル化してくれないと、住民にとってメリットは出てこないのですけれども、基礎自治体さんもやる気があるところはデジタルガバメントをやっていらっしゃいますけれども、全国2,000ある地方公共団体が東京都の動きというのは必ず見ています。だから、これは都こそがほかの地方公共団体を牽引していく重要な役割を担っているというふうに思います。
 2点目なんですけれども、デジタルガバメントの場合は、対象手続をどうやって、対象の何をデジタル化するかという対象を選んでいくということが非常に重要だと感じています。
 この資料にも、都の行政手続は2,800存在していると書いてありますけれども、国でもこういうのを検討しているんですけれども、役所がやりがちなのは、この手続を全部洗い出すと。それぞれ目標値を設定して、進捗確認していくというのをやっていたんですけれども、そうするとまず洗い出す作業が膨大。その割には余り、生涯で一度しか使わない、下手したら一度も使わない手続をデジタル化しても、コスト倒れになってしまうのですね。それよりも、やっぱりインパクトのある分野を優先して選ぶということが重要で、役所は結構複雑な行政フローを検討しましょうとか、全部、今、例えば国だと相続ワンストップとかやっているんですけども、関係者が多過ぎて、全てを一から最後までデジタル化というのはなかなか難しい。そういう難しいことよりも、多分国民側にメリットがあるというのは、混んでいるところから解放してもらう。
例えば都庁に来る国民としてはパスポートの更新、免許証の更新。並んでいて、30分、1時間待つのが嫌だから、予約で早くできるようにしたいとか、家で簡単な処理はやって、都庁では短い時間でいいとか。そういうのとか、あとはシャンシャンを早く見たいとか、そういう、あとは博物館とか美術館とか、人気のイベントに並ばないとか、そういう何か余り難しいということよりは生活に密着したような、そういうのから取り組んだ方がいいかなというふうに思いました。
 あと、最後3点目ですけれども、岩本委員のプレゼンテーションにもございましたとおり、やはりこのSociety5.0との関わり合いというのも非常に重要だと思うんですね。
 情報政策はもう今、多数展開されていて、Society5.0という、もう都の方で検討されていると思いますけれども、それ以外にも例えばオープンデータであるとか、情報公開制度であるとか、都の方でかなり積極的に推進していらっしゃる。あと、AI、RPAもやっていらっしゃるということで、そういう情報政策全体の中でデジタル改革を進めていくという、別々にやっていくとなかなか効果が発揮できないところもありますので、局をまたいでいるのかもしれませんけれども、横断的にやっていくということが重要だと思います。
 以上です。

○松本座長 ありがとうございます。
 時間の関係上、二つ目のテーマに移ります。
 テーマは、改革を支える基盤である都庁の生産性向上や組織機能の強化に向けてです。このテーマに関して、御意見をいただきたいと思いますが、委員の方、御意見がございましたらどうぞ。
 では、岩本委員お願いします。

○岩本委員 今の2番目のテーマもそうですが、私、プレゼンの中でもう一つ細かく言いたかったことがあります。都の改革もそうですけれど、都民や企業が何を本当に欲しているかということを、皆さん方が一生懸命考えているのはよく私も知っています。でも、その中に、「そんなことは絶対できないよね」と初めから外してしまっている、あるいは網をかけてしまっているものがあると思うのです。都民は1,000万くらいいるのでしょう。赤ちゃんとかを除けばもう少し少ないのかもしれませんが、一人ひとりの顔を見て意見を求めることができますか。「そんなことできません」と皆さんは言うと思うのです。
でも、例えば私たちの決済のインフラですと、ある決済のシステムは、1カ月に8億件のトランザクションを処理しています。30日運用するとしたら、1日3,000万件くらい処理しています。3,000万って、都民の数よりはかなり多いのではないでしょうか。
つまり、こんなことができるといいなと思いながら、できないと諦めていることもいっぱいあるはずなのです。今まではそうでした。でも、デジタルの時代が来たときに、ちょっと考えるとそういうことが可能になるかもしれない。できないと諦めている枠を外すのです。都民もそうですけれど、私は日本商工会議所のIoT活用専門委員会というのをやっているので、中小企業を絶対に豊かにしないと日本は豊かにならないと思っていて、東京都には素晴らしい中小企業が山のようにあります。それで、もちろん廃業になるとか、後継者問題などとかもあるわけですが、そういうことに本当に手を差し伸べてあげて、頑張れるようなことをする。
あるいは、中小企業は、深?などは凄いですが、深?が伸びているのは、小さな中小企業同士でものすごいエコシステムを作っているからです。そういうことができたらいいわけですよね。
今までは、どうやってやるの?で止まってしまっていたのでしょうけれど、本当にIoTや、AIを使うと、可能になる部分があるかもしれない。そういうことを諦めずに、チャレンジして欲しいなと思います。
チェンジマネジメントの最大の抵抗勢力というのは、組織の中の人の心の問題なのですよね。みんな分かっているのですよ、都知事が言っているからやろうと、みんな思っているのです。でも、どこかでやはり抵抗感があって、一緒になれないという状況もあるかもしれません。
チェンジマネジメントを言い出した人は8つの段階があると言っています。
一番最初は危機意識を徹底的に植えつけろということです。このままだったら自分も潰れるとか、会社だったら倒産してしまうということになれば、何とかしようと皆さん思いますよね。そうしたら、次に少人数でいいからチームを作れと、そのチームに、その組織の中で優秀な人を入れるのです。3つ目はビジョンを作れ。事業をどちらにもっていくのかという方向を示すのですね。そうしたら、それをみんなに知らしめる。
そうしたら次は、まずは小さくて成果があるものから始める。次にそれを全体に広げていく。そうして最後は、企業の中の文化にしてしまう。
それが非常に難しいことはわかっているのですが、色々なお話を聞いていると、本当に職員の方は皆さん、一生懸命やっていると感じます。それをもう一つ何か押してあげる薬を出すと、ものすごい、まさに働き方改革として生き生きとしながらやれることができるのではないかなと思って期待しています。

○松本座長 ありがとうございます。
ほかに委員の方から御意見はございますか。
水町委員、御意見はございますか。
ほかに、いかがですか。残された時間は余りないのですが、何か、是非とも最後に言い忘れた、あるいはこれだけは言っておきたいことがあればお願いいたします。
 今日は私のタイムマネジメントが余り上手ではありませんでしたが、最後に小池知事のお話をいただきたいのですが、改革って一体何なのでしょうか。もちろんは正しい定義はないのですが、私は改革とはもともと顧客、ここで言うと都民、企業、そういう人たちが、気がついておる問題を解決してあげるのが改革だと思います。これぐらいは、誰でもできると思います。もちろん易しいとは言いませんが。
本当にやらないといけないことは、顧客が気がついていない問題を解決すること。私の定義ではこれがイノベーションだというのだと、思うわけです。したがって、それが物であろうがことであろうが、何であろうが、気がついていないことを解決すると、それが究極の改革、もしくはイノベーションではないかと思います。
あっという間に90分が終わろうとしていますが、都民のリーダーであって、本当に強いリーダーシップを発揮していただいている小池知事から最後のラップアップのお話をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○小池都知事 ありがとうございます。
今の座長のお話も、本当に参考になりました。ありがとうございます。
岩本さんのプレゼンテーション、第三の波、あそこから大きく変わって、日本にはもっと未来学者という人がいてほしいなと改めて思ったところです。
そして、是非、東京の歌をつくるのは誰がいいか。ユーミンかなとか、さだまさしは長崎だしなと思ったり、本当に色々ありがとうございました。
また、谷田さんから御自分が引っ越されて、それの届け出の話は、もうそれはね、本当仰るとおりで、先日私もカードのキャッシュレスの手続をしようと思ったら、カード会社に昔つくったのですね。そこの住所が、登録の住所か何かが違うと言われて、そこからえらい作業でね。女性の場合なんかは、それこそ結婚したらその後の作業が、全く過去は否定されて、新しい人間にならないとやっていけないのですね、この国はね。色々これまでの経過があったことだと思いますが、それがまさしく都民の利便性の話と、そして都庁で働く職員の仕事、生産性の話と同じなのですね。
今、フィンランドとかエストニアには、もう日本から来ないでくれと。次から次へと視察ばっかり来て、仕事にならないからとか色々言われていますけれども、都民のニーズ、そして都民も諦めているようなニーズ、そういったものを掘り起こし、基本的にはもう大分掘り起こされているかと思いますが、時代の変化を共有しながら、意識も共有しながらということで、進めていく必要があると思いました。
やっぱりICT、IoT、AIというのは、都政改革の大きな、もうツールというにはパラダイムの変化になるので、ここをいかにして駆使していくかということであり、そのときに大事なことは、都民にとって何が重要かということ、それは不変だというふうに思っております。
今日の時間、すみません。私も1分過ぎてしまいましたけれども、皆様方に感謝を申し上げて、私からの御礼の言葉に代えさせていただきます。ありがとうございます。

○松本座長 小池知事、ありがとうございました。
 本日は拙い座長で大変失礼いたしました。
しかし、皆さんから建設的な、いい意見をいただきましたので、是非とも、これを生かしていって、本当の都政改革につながるようにみんなで頑張っていきたいと思います。
 それでは、最後に事務局から連絡事項をお願いいたします。

○野間総務局次長 それでは、事務局から御連絡をいたします。
 本日の議事録につきましては、また改めて御確認をさせていただきたいと存じます。
 次回の開催時期につきましては、11月ごろを予定してございますが、詳細は追って御連絡をさせていただきたいと思います。
 本日は長時間にわたり、活発な御議論をありがとうございました。

○小池都知事 ありがとうございました。


16時32分開会


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