都政改革本部会議(第2回)議事録

平成28年9月29日(木曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

午前10時00分開会

○司会(榎本) ただいまより、第2回都政改革本部会議を開催いたします。
 第1回に引き続き、本日も多くのプレスの方に来ていただいておりますが、本日の会議の様子は、前回と同様に最初から最後まで公開しますとともに、インターネット中継も行ってまいります。
 続きまして、本日の配布資料の確認をさせていただきます。机上に置かせていただいていますが、順に、会議次第、座席表、特別顧問等の一覧、各局の自律改革に関する資料、情報公開調査チームの資料、内部統制プロジェクトチームの資料、オリンピック・パラリンピック調査チームの調査報告書及び各局からの報告資料でございます。
 何か不足等があるようでしたら、事務局までお声かけください。  なお、本日の会議出席者につきましては、座席表の配布をもって代えさせていただきます。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 まず、知事よりご挨拶をいただきたいと存じます。
 知事、よろしくお願いいたします。

○小池知事 皆さん、おはようございます。
 昨日は、都議会で初めて所信表明演説をさせていただきました。その際にも、この都政改革本部会議の存在について、その役割についても説明させていただいたところでございます。「都民ファースト」という言葉、そしてまた、「都民」という言葉を四十何回繰り返したと誰かが数えてくれましたけれども、まさしく「都民ファースト」の基盤となるものがこの都政改革本部会議でございます。
 今月初めにスタートして、間もなく1か月ということでございます。わずか1か月間ではありますけれども、各調査チームの皆様方には本当に精力的に取り組んでいただいて、感謝を申し上げたく存じます。
 そして、前回のこの会議におきましては、都政改革本部で取り組むテーマを三つ挙げております。まず、自らを変えていきましょうという「自律改革」。それから、「情報公開」、「オリンピック・パラリンピック」、この三つを掲げたところでございます。
 「自律改革」については、各局それぞれ所掌事務を改めて自主点検をしていただきました。そして、課題の抽出、当面取り組んでいくことなどについて、職員の声も広くお聞きいただいたと考えております。そして、局全体でどのようにすれば見直しができるだろうかということなどをご議論いただいていると思いますが、今日は是非、各局の自律改革の進ちょく状況、取組状況について聞かせていただきたいということが1点目としてあります。
 2点目は「情報公開」ですが、「都民ファースト」の観点で仕事を進めていく上で欠かせないのが都政の透明化、見える化でございます。どのような見直しを行っていくのか、具体的な取組についてのご報告、よろしくお願い申し上げます。
 それから、9月9日付けで新たに「内部統制プロジェクトチーム」を設置したところでございます。より適正で効率的な行政運営を行うために、都庁におけるこれからの内部統制、ガバナンスのあり方について検討を行っていくということでございまして、この後、内部統制の概念、プロジェクトチームの進め方についてご報告をいただくことといたします。  それから、今日は、一番時間を割く部分ですけれども、オリンピック・パラリンピックに関して、第一次調査報告を調査チームから上げていただくことになっております。本当に短期間に、極めて客観的に、科学的に分析をしていただいたものでございまして、その精力的な調査・分析、関係者へのヒアリングに対しては、感謝申し上げるところでございます。
 これも一つの情報公開でございます。それによって、「都民ファースト」、「アスリート・ファースト」、そして、必要なレガシーをワイズ・スペンディング(税金の有効活用)で整備していくという、この東京2020に向けたベースになるものだと思っております。この報告を受けて、総合的に判断を進めてまいりたいと考えているところでございます。
 本日は時間も短うございます。では、早速よろしくお願いいたします。
 以上です。

○事務局(榎本) 知事、ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に入りたいと思います。
 1点目の議題は、「各局の自律改革について」です。
 各局の取組状況や今後の進め方について、事務局より報告をさせていただきます。

○事務局(小笠原) それでは、私から、各局の自律改革の取組状況について報告させていただきます。
 資料1の表紙の裏面に1ページ目がありますので、そのページをご覧ください。「自律改革とは」についての説明は省略させていただきまして、取組の状況を最初に報告させていただきます。
 今回、各局でそれぞれ自主的な点検・検討を行っていただいた結果、そしてまた、途中の段階では、特別顧問にも入っていただきまして、意見交換会なども実施しているところですが、そうした結果、320項目が提出されております。
 内容につきまして、「業務・事務」、「政策・施策・事業」、「内部管理」という切り口で整理したところ、「業務・事務」についての取組が188項目と全体の約6割を占めております。事務の効率化や業務改善に関する提案が多くを占めている状況です。検討の過程では、各局でそれぞれ検討の体制を構築していただきまして、議論していただいております。この1か月間で検討体制を整えていただいたということが言えると思います。
 今後のスケジュールですが、まず、この1か月間の取組では、業務改善の取組を中心に行っていただいたわけですが、今後は、一段高いステップの取組として、「政策・施策・事業」についての自主点検や評価等ステップアップしていきたいと考えております。その上で、12月に検討状況を報告させていただきます。
 2ページをご覧ください。今回提出された320項目について、「業務・事務」、「政策・施策・事業」、「内部管理」の横軸に加えまして、縦軸として都政改革の3原則、「都民ファースト」、「情報公開」、「税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)」を入れて整理したものです。
 先ほどお伝えしたとおり、全体的には業務改善のメニューが多くなっております。また、後ほどの議題でも取り上げますが、各局において情報公開を積極的に進めていただいております。今後の課題としては、2ページの表の真ん中の列の下のマトリックスが少ないことが表でわかるかと思いますが、「政策・施策・事業」の分野でワイズ・スペンディングの取組として、局事業の点検・評価を行っていただいて、具体的メニューをここで充実させていきたいと考えております。
 それでは、各局から出された項目のうち幾つかの取組を紹介させていただきます。
 3ページ目をご覧ください。まず、自律改革の取組体制についてのものです。多くの局で局ごとに改革本部を設置していただいておりまして、事業等の点検・見直しと進行管理を進める体制を立ち上げていただいております。特に現場を抱えている局では、現場職員の声を聞きながら進めていただくようにお願いしています。また、下の段ですが、同様に多くの局で若手職員の活用として、若手職員で構成するPT(プロジェクトチーム)を立ち上げていただいたり、あるいは、若手と幹部との懇談を設定し、若手の意見を業務改善や施策の提言に活かす、そうした仕組みを構築していただいているところです。
 4ページ目をご覧ください。「政策形成過程の見える化」では、今後の都政の政策展開を示すための新たなプランを策定するに当たりまして、プラン策定会議の開催やパブリックコメントの実施等により、見える化を推進してまいります。また、予算編成につきましても、現状は各局からの予算要求の状況と知事による査定後の状況の2段階で公表を行っておりますが、今後は、財務局による調整の状況も新たに公表することとしまして、3段階で公表してまいります。また、下の段ですが、職員の意見を広く集めるための「自律改革ポータルサイト」を設置するという提案もいただいております。
 5ページ目をご覧ください。「文書の在り方改革」ですが、「都民ファースト」の視点から、分かりやすい文書の在り方改革を実施してまいります。全庁的な意識啓発、「都民ファースト」にふさわしくない事例の集約、その改善例を広く庁内に周知してまいります。最後になりますが、「オープンデータ化の推進」です。Web上の公開データを、二次利用が可能な形で公開するオープンデータ化を進めてまいりたいと考えております。
 繰り返しになりますが、この1か月間で、各局の皆様に体制を構築していただいたところですので、引き続きこの取組を根付かせ、また、内容を深めてまいりたいと考えております。
 私からは以上です。

○事務局(榎本) 続きまして、本日の議題の2つ目、「情報公開調査チームの検討状況について」です。
 公益通報制度、審議会等の情報公開、公文書開示制度、広聴、広報について、関係局から報告いたします。
 総務局、生活文化局の順に報告をお願いします。

○栗岡総務局人事部長 お手元の資料2の1ページをご覧ください。
 公益通報制度について申し上げます。「1 制度概要」、○印の二つ目です。都におきましては、公益通報者保護法に基づきまして平成18年4月より実施していますが、保護法に規定された法律違反を対象として、職員からの内部通報を、各局や全庁窓口で受けております。
 「2 現状分析と課題」です。今回改めて全県の調査をさせていただきました。その結果、4点の課題が浮き彫りになっております。1点目は、対象についてです。都は保護法対象の事項に限定していますが、39の道府県においては広く法律違反全般を対象にしております。2点目は、窓口についてです。都においては内部の職員が受けていますが、32の府県では弁護士等外部の窓口で対応しております。3点目は、都は職員からの通報のみですが、外部窓口を有する3県については、県民からの通報も受けております。4点目は、通報への対応状況についてです。通常、通報者本人に対して結果をお知らせしていますが、28の府県においては、件数や処理状況についてもホームページ等で公表しております。
 「3 取組内容」です。今後の取組の内容についてですが、下のフロー図をご覧ください。まず、通報対象については、法令違反全般に拡大したいと考えております。また、職員からの通報に加えて都民からの通報も受けていきたいと考えております。窓口についても、弁護士を窓口とする外部窓口を設置させていただきたいと考えています。さらに、全体の状況につきまして、年間の処理状況についてもホームページ等で公表してまいりたいと考えております。
 あわせて、※印ですが、職員が抱いている問題意識や提案等について、幅広い意見を知事に直接伝えることができる制度として、新たに「職員目安箱」を設置してまいります。
 公益通報制度については以上です。
 2ページをご覧ください。審議会等の情報公開について申し上げます。
 まず、「1 制度概要」です。地方自治法に基づく審議会やこれに類する懇談会につきましては、現在、運営要綱や取扱通知で情報公開について規定しております。要綱上、会議・議事録は基本的に原則公開となっておりまして、取扱通知については、議事録は全文又は要旨を公開すると規定しております。
 「2 現状分析と課題」です。平成28年春に全庁の附属機関等について調査を実施しておりまして、会議・議事録ともに非公開は3割となっております。今回改めてこれについて他府県の調査を実施したところ、3~4ポイント程度、都のほうが非公開率が高いという結果になりました。また、議事録についても要旨の公開にとどまっているものが3割に達しております。
 二つ目の○印ですが、会議に関する概要や公開の状況、開催の予定等について一覧で見ることができないため、一つ一つホームページを開いていかなければいけないということで、非常にアクセシビリティが悪いと、都民の方から見て非常にわかりにくい形になっているということで、この点について問題としております。
 今後の取組の方法ですが、今回改めて事務局で9月に調査を行い、自己点検を実施していただきました。その結果、会議の公開を拡大することにいたしております。会議の非公開の割合について記載してありますが、33.9%から、点検後は25%に減少しております。議事録の非公開の割合についても、29.6%が非公開でしたが、現在は18.4%まで改善しております。あわせて、10月からは、取扱通知の中で、これまでは要旨でも了としていましたが、議事録は「原則全文公開」へと見直すよう規定を変えたいと思っております。あわせて、ホームページ等も、会議の開催予定や公開の状況が一覧でわかるような形に変更したいと考えております。
 引き続き、毎年度チェックリストを使って、各局に調査をかけて、毎年改善していきたいと考えております。
 以上です。

○樋渡生活文化局広報広聴部長 続きまして、公文書開示制度、広聴、広報、特にホームページのあり方の3点について、現状分析を行い、今後の取組について検討を行いましたので報告いたします。
 3ページをご覧ください。まず、公文書開示制度についてです。都では、東京都情報公開条例について公文書開示制度を定めており、都民から開示請求があったときは、非開示情報が記載されている場合を除き開示しなければならないという「原則開示義務」を定めています。
 次に「2 現状分析と課題」です。まず、非開示部分、いわゆる「黒塗り」が多いということです。昨年度の例では、一部開示や全面非開示が全体の2割となっております。こうした非開示情報の中には、個人情報など、その性質上非開示とすることが妥当なもののほか、意思決定過程の情報や行政運営情報など、行政の判断で非開示としているものが一部開示・非開示全体の約3割を占めており、都の情報開示が不十分と言われる理由となっております。
 そこで、こうした課題を踏まえまして、「3 取組内容」ですが、まず、公文書開示請求においては、非開示は例外であるという条例の趣旨に立ち返り、これまでの行政の判断で非開示としていた部分につきましても、各局において、より厳格に判断することとし、直ちに取り組みます。そのために、各局ごとに開示請求の対象となった公文書名を定期的にホームページで公表し、特に、非開示とした場合はその理由を具体的に明示することとし、10月分から公表することとします。また、開示請求が複数回あるなど多くの都民が求める公文書については、開示請求の手続きによらず、各局が積極的に公表することといたします。
 4ページをご覧ください。広聴についてです。
 「1 制度概要」ですが、都民の皆様から東京都に寄せられる意見・苦情・要望等は、生活文化局の都民の声総合窓口及び各局の「都民の声」窓口において受け付け、各案件の所管局で対応しております。
 「2 現状分析と課題」ですが、昨年度、都庁には、総合窓口・各局窓口を合わせまして18万8,000件の「都民の声」が寄せられ、これまでほぼ同様の規模で推移しております。しかし、このような「都民の声」に都がどのように対応したのか、都民に十分明らかになっていない状況にあります。また、寄せられました都民の声を知事に適切に伝えるルールが定まっておらず、所管局が個々に必要性を判断しております。
 こうした課題を踏まえまして、「3 取組内容」ですが、まず、寄せられた「都民の声」や対応事例をより多く公表するため、各局ホームページで分類、件数及び対応事例を、10月分から毎月公表するとともに、各局の対応事例の公表件数を拡充してまいります。さらに、都政の重要案件に関する「都民の声」を確実に、迅速に知事に届けるためのルールを新たに構築し、速やかに各局に周知徹底してまいります。
 5ページをご覧ください。広報、特にホームページのあり方についてです。「1 制度概要」ですが、都の公式ホームページは、都庁総合ホームページと各局等ホームページとがあり、総ページ数は合わせて46万ページ、アクセス数は年間40億件近くにも上っております。
 「2 現状分析と課題」ですが、都としても、これまでも情報提供に取り組んできましたが、情報公開が先行する他の都市と比べ、いまだに提供情報の内容や量に差があります。もう1点は、ホームページの機能やデザインに統一感がないことや、一部のサイトではスマートフォン対応がなされていないなど、都民の利便性の観点から改善が必要なことです。
 こうした状況を踏まえての「3 取組内容」ですが、都民が求める都政情報の内容と量の一層の拡大、都民目線での使いやすさ、使い勝手の良さを徹底してまいります。具体的には、まず、都民が必要な情報に迅速にアクセスできるよう、都庁総合ホームページからワンクリックで入れる情報公開ポータルサイトを10月に設置します。これに合わせ、各局において自主的に積極的な情報提供の内容と量の拡大に取り組みます。これを促すため、都政改革本部において、各局の情報提供の状況について定期的に調査をし、ホームページで公表してまいります。これらにつきましても、10月から取り組んでまいります。
 次に、都民目線でホームページの使い勝手や内容について、都民の意見をリサーチし、10月中に検討の上、11月から実施します。このリサーチ結果をもとに、都のホームページ全体においてメニュー配置やヘッダーのデザイン、スマートフォン対応など、利便性を向上していきます。これらにつきましては、準備が整い次第、各局において速やかに実施していくこととします。
 以上申し上げました、公文書開示、広聴、広報の3点の取組を確実に行うことにより、「都民ファースト」の視点に立ち、都政の透明化を確保してまいります。
 以上です。

○事務局(榎本) 続きまして、本日の議題の3つ目、「内部統制プロジェクトチームの設置について」でございます。
 プロジェクトチームの目的や進め方などについて、事務局より報告させていただきます。

○事務局(池上) それでは、事務局から説明します。
 資料3をご覧ください。「内部統制」とは聞き慣れない言葉ですが、組織運営上、業務の有効性や効率性、コンプライアンスの確保などのために、組織内の全ての者によって遂行されるプロセスです。民間では既に、上場会社は事業年度ごとに内部統制報告書の提出が義務づけられております。また、地方公共団体においても、総務省が研究会を開催し、報告書を公表しており、内部統制の充実が求められているところです。
 資料の1ページをご覧ください。本プロジェクトは、都庁における「内部統制」の仕組みを強化し、「都民ファースト」、「情報公開」、「税金の有効活用(ワイズ・スペンディング)」という都政改革の3原則を推進することを目的としております。具体的な検討テーマとしては、資料中ほどの「制度所管局等」の下に記載してありますとおり、「契約・入札」、「事業評価」、「補助金の使途」、「監理団体の指導・監督」、「公務員倫理」、「各局の意思決定プロセス」を予定しております。これらにつきまして、管理部門の都庁各局と特別顧問等のチームにより、都庁におけるこれからの内部統制のあり方について改善策を検討してまいります。こうした内部統制機能と、これを補完する外部統制によって都庁の自律改革を進めてまいりたいと考えております。
 2ページをご覧ください。外部統制としては、制度的な話ですが、地方自治法では、監査委員監査及び外部監査が規定されております。外部監査は、監査機能の独立性と専門性を一層向上させることを目的とし、公認会計士、弁護士等がチェックを行うものです。都においては、地方自治法に基づく包括外部監査を実施しております。
 3ページをご覧ください。本来、内部統制とは、適正で効率的な事務を行う主体が各事業局にあるわけですが、そちらが自ら自律改革を通じて管理していかなければいけないものです。ただ、各事業局が自己管理できない場合もあるため、事業の枠を越えた全庁的な視点に立った内部統制の仕組みが必要となっております。
 都庁の内部統制制度の例としては、資料の下段の表に掲げたものが考えられます。法的位置づけ等とあわせてまとめましたので、ご参考にしていただければと思います。
 なお、公益通報など情報公開に関するものも内部統制の重要なテーマですが、情報公開調査チームが取り扱うこととしております。
 また、机上に、参考資料として総務省の研究会等が公表した報告書をお付けしておりますので、後ほどお目通しいただければと存じます。
 説明は以上です。

○事務局(榎本) それでは、ここで、議題(1)から議題(3)に関して、ご意見、ご質問等がございましたらお受けしたいと思います。
 ご意見、ご質問等がございましたら、挙手をお願いします。

○上山特別顧問 ちょっとよろしいですか。

○事務局(榎本) 上山顧問、お願いします。

○上山特別顧問 内部統制ですが、非常によく整理されてきたと思います。3ページの下の表に「監理団体の指導・監督」と記載してあります。ここは恐らく、指導団体、その他出資法人も含めた、もう少し幅広いものを見ているということだと思いますが、総務局長、いかがでしょうか。

○多羅尾総務局長 申し訳ございません。先生がおっしゃるとおり、ここで言う「監理団体」とは「出資等団体」という意味で、狭義の監理団体ではありません。

○事務局(榎本) 他にいかがでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 それでは、他にないようでしたら、次の議題に移ります。
 本日の議題の四つ目、「オリンピック・パラリンピックについて」です。
 はじめに、上山特別顧問から、調査チームによる調査報告の概要をご説明いただきます。
 上山顧問、よろしくお願いいたします。

○上山特別顧問 お手元の資料として、抜粋版と本編の二つがありますが、主に抜粋版に沿ってお話をします。最初、私から全体的なお話をして、三つの恒久施設について、特別参与と特別調査員から話をします。
 今回の調査は、実質4週間しかなく、非常に厳しいスケジュールでしたが、オリンピック・パラリンピック準備局の皆さんにかなりお手伝いいただきまして、さらに、組織委員会などにもインタビューをさせていただき、大体の課題の整理ができたと思っております。
 お手元の資料の文章ページを説明すると時間がかかるので、主に図を中心にお話しします。
 5ページの「全体の推進体制」をご覧ください。オリンピック・パラリンピックの推進体制は、皆さんご承知のとおりですが、今回改めて整理しました。この図にありますとおり、都庁においてはオリンピック・パラリンピック準備局があり、組織委員会があります。ここは東京都が97.5%を出えんして設立されています。オリンピック・パラリンピックの運営主体は組織委員会です。都の役割は、組織委員会に出えんし、それをサポートすることです。また、組織委員会が資金不足に陥ると、それは都が負担すると都市協定でIOCなどと約束している関係にあります。
 国の役割ですが、今回、整理をしてみて私はやや驚きました。大会運営そのものに関してはかなり国が協力することになっていますが、施設建設等については特段の義務が都市協定に書かれているわけではないという位置づけになっております。
 ほかに出てくる関係者としてIOCがあります。IOCは国際的な民間団体ですが、実は、そこが究極の主催者です。IOCの指示を受けて、組織委員会が日本における大会を取り仕切る構造になっています。
 過去の大会を見ると、組織委員会は民間からお金を集めて大会を運営するわけですが、その資金は全体の2割から4割で、大部分は公的資金が投入されています。オリンピック・パラリンピックは公的な色彩が強いイベントですが、運営主体は民間であるというユニークな組織であることがわかります。
 最もわかりやすいのは競技施設についてですので、それをご紹介します。6ページをご覧ください。施設には、恒久施設と仮設施設があります。仮設施設は大会が終わると解体されます。恒久施設は、既存施設を利用する場合と、新規に整備する場合の二つがあります。東京都は、開催都市であることもあり、かなりの既存施設を提供し、かつ、足りないものは新規に整備しますが、これが七つあります。この七つの施設のあり方が後ほど焦点になってまいります。さらに、仮設施設があり、これをどのように整備するかがまだはっきりと決まっていないのが現状です。
 東京都のほかに、競技施設の提供者としては国、他自治体、一部民間、こういういろいろな組織が施設を持ち寄ってみんなで開催するのがオリンピック・パラリンピックです。
 以上、おさらいですが、関係者が非常に多いことを整理させていただきました。
 今回の調査ですが、原点は、知事が選挙中にもおっしゃっていた、一体いくらかかるのか、全体がどうなっているのかよくわからない、こういう問題意識に我々も立って調査を行いました。2兆、3兆という言葉もありましたが、そうしたワイズ・スペンディングの観点から、我々は主に今回の調査を実施しました。
 11ページをご覧ください。そもそも、開催について国民の皆さんはどう思っているのかということを各種調査で見ました。非常に関心が高く、全体として85%の方が、費用は検証してほしいと答えています。その背景には、「いくらかかるのかに関する情報が逐次改訂され、しかも、数字がどんどん増えている、これはどうなのか」という疑問があるのだろうと思います。
 立候補ファイルで出てきた数字は7,340億円です。オリンピックの場合、基礎的な建物の費用などしか計上されていないので増えるのは当たり前です。しかし、その後、例えば2014年10月には1兆円プラスアルファになるだろうということで1兆円の大台に乗り、その後一度見直しがされています。これは舛添前知事が、東京都の分については見直そうということで、約半分に圧縮されています。IOCでも、開催都市の辞退などが相次ぎ、オリンピックのあり方を見直そうということで「アジェンダ2020」が出された。レガシーを大事にしよう、既存施設が使える場合はなるべくそれを使おうという方針も出され、一回見直しはされました。しかし、それにもかかわらず、2015年7月、組織委員会の森会長は、最終的に2兆円を超すかもしれないという予測を発言されました。さらに、その数か月後、舛添前知事が、このままでは3兆円になるだろうと発言された。こういうことを聞くと、大丈夫なのか、一体何兆円になるのかという懸念が出てくるのは当たり前だと思います。
 開催都市としての東京が、かかった費用の最終的な責任を持たなければいけないと都市協定に書いてありますので、出た赤字はすべからく都庁の負担になってしまう。こういう危機感を持って私たちは調査を行いました。
 13ページをご覧ください。一体いくらかかるのかということですが、公表されている数字はまだ限られたものです。4年先のことですし、まだわからない、誰が分担するのか決まっていないものもかなりありまして、作業は難航しましたが、結果から申し上げると、現在の進め方のままでは3兆円を超えます。これが我々の結論です。
 図の左のほうからその内訳を見ていくと、既に確定しているものは黒く塗られた部分です。新国立競技場、選手村、都が整備する恒久施設、この黒く塗られた部分は設計も大体できていて、国立競技場は既にあのようなことで動いています。
 さらに、仮設及びオーバーレイと言われるものがありますが、これは、大会期間中に既存施設の上に載せる、放送や警備ゲートなどの設備です。この「仮設」は、さらに細かく分かれますが、建物自体を解体する。あるいは、既存建物の上に大きな設備を載せる、追加的な設備費用です。しかし、実はこれも内訳がまだ出ていません。積み上げがされていないのですが、推計で2,800億円ぐらいあるだろうと考えられ、これは組織委員会が分担することになっています。
 以上が施設などのハード部分ですが、それにプラスして、過去の大会を見ると、実は、オリンピック・パラリンピックは運営経費に非常にお金がかかります。1万人以上の選手が海外から集まるわけですし、警備も並大抵のものではなく、輸送、エネルギー、ありとあらゆるいろいろなコストがかかってしまう。ソフトの運営経費がかなりかかります。
 2012年のロンドン大会が先進国での最新の事例ですので、いろいろな専門家も、ロンドン大会から推計するのがよいのではないかということで数字を出したりされていますが、私たちもロンドン大会を基本に置いて試算しています。そうすると、それでも、恐らく2兆円は超えるだろうと思われます。東京はロンドンよりも大きな街です。また、ロンドン大会では既存の施設をかなり使っています。しかし、東京は新しい施設もかなり整備しますし、東京の夏の暑さはロンドンをはるかに上回ります。夜間の照明もロンドンよりも必要になります。また、テロの脅威は昔と現在では全然違います。さらに、地震というプラスアルファの要素も考えると、ロンドンと同じでおさまるとはなかなか考えにくいわけです。
 これでもう2兆円を超えていますが、さらに、現在の大会全体の運営の仕組み(ガバナンス)を見ると、普通以上にお金がかかります。かなり高度な機材を発注したり、公共調達の際に入札の仕組みが合理的ではないなど、いろいろなことが既に起き始めていて、今後もそれが起きる可能性がかなり高い。そういう部分を乗せていくと、現在のところ、3兆円を超えるということが私どもの客観的な予測です。
 この大きな額をどうするのかということですが、金額はともかく、大きな成果、レガシーが得られれば問題ないだろうと思います。しかしながら、レガシーがすばらしくても、できるだけワイズ・スペンディングで行うのは当たり前ですので、今回はコストの話を中心に見ていきます。
 東京都の恒久施設部分の2,241億円については、東京都の中だけでかなり精査もできる。IOCなどとの協議は当然必要ですが、都民のお金であるということで、今回、優先的に、このうちの特に大きなもの三つについて検討しました。また、設計が具体的に始まっていない仮設オーバーレイの部分は、他県の分があり、都内以外にもかなり施設がありますが、これは一義的には組織委員会が分担することになっています。しかし、組織委員会は収入がわずか5,000億円しかありません。しかも、大会が終わると解散してしまうという臨時的な組織です。そこが2,800億円全部賄えるとも思えないし、組織委員会が赤字を出すと、それは全て都民の税金で負担することになりますので、これは見過ごすことができない。ということで、今回はこの2,800億円の部分にまで踏み込んで、もちろん組織委員会のご協力を得て、中身をどうすれば管理できるのかと検討しました。
 残りの点線部分の運営経費は、大会期間中のことですので、まだ細かい計画はできていません。しかし、これもガバナンスのあり方を今からコントロールしないと、機材の注文や具体的な準備が始まってしまう。これはガバナンスのあり方として今から問題提起して、勝手に膨れ上がるような事態が少しでも抑えられるよう工夫すべきと考えています。
 14ページ以降は、具体的にそれをどうするのかのお話をさせていただきます。
 14ページをご覧ください。都の恒久施設の部分については後でお話ししますが、2,800億円の仮設部分についてどうするのかという提案をさせていただきます。
 この図は、縦軸に施設、上に載る設備ということで、下から上にものが載っていく形で費用を分解しています。施設所有者は国であったり、東京都、他自治体、一部民間もあります。立候補ファイルベースでは、全部で約2,800億円と我々は試算しましたが、これは全額を組織委員会が負担することになっています。しかし、現実にはそれは不可能です。では、誰が負担するのかはまだ決まっていません。春には決めようということに一旦はなったようですが、その後、リオの様子を見てから、あるいは、東京都知事選もあって、この作業がまだ始まっていない状況です。
 15ページをご覧ください。私どもの提案は、これは組織委員会の負担だろうと押しつけていても話が前に進まないということで、開催都市である東京都が、東京都内の仮設部分については全額負担してはどうかと考えました。そして、国の施設、他自治体、民間の分については、それぞれでできるだけ出していただく。しかしながら、財政力が弱い自治体なども当然ありますので、それについては国から補助金を出していただくべきではないかと考えました。これはもちろん調査チームの一つの試案でしかありませんし、数字も推計です。しかし、このような指摘を誰かが早急に行わないと、仮設施設の準備も始まらないし、誰が整備するのかということがそもそも決まらないと、試算、見積りすら始まらない状況に現在陥っている。早急に手を打たないと前に進まないと思います。
 なぜこういうことになってしまうのかということですが、実は、先ほどから「ガバナンス」と言っている話に直結します。16ページをご覧ください。普通、何かの事業を行う場合は、左側に「経営の常識」と記載してありますが、社長がいて、自治体の場合は首長がいて、財務担当が必ずいて、CFO(Chief Financial Officer:最高財務責任者)が資金の調達と査定をきちんと行う。事業部は良い仕事をしたいためにできるだけお金が欲しいということで、そこで交渉する。しかし、全体の予算を考えるとこれだけしかないということで、財務部がノーと言う。そういう折衝の中から研ぎ澄まされた計画になり、むだなお金は使わなくて済む。ワイズ・スペンディングを行う際の基本的な仕組みは、左側の構造です。海外のオリンピックの過去の例を見ると、大体こういう仕組みができています。
 しかし、今回の準備体制は、驚いたことに、社長がいない、財務部長がいない構造になっている。全体を取り仕切る存在として「調整会議」というものがありますが、これは合議制で議長がいない。大臣や森会長、知事が出席して、時折開かれていますが、頻度も非常に少ない。お忙しい方ばかりですので、議題も、目の前にあることをどうするかということが中心になっています。
 全体をこう変えていこう、こうしようということを先取りしてビジョンを出す役割を持った方がそもそも存在しない状況になっています。また、お金の管理ですが、そもそも一体いくらかかるのかということを誰も計算していない。組織委員会は、自分が出すお金についてはいろいろ計算されていますが、年末には試算を出しますというコメントもあり、実際、IOCに年末には出さなければいけないのですが、これまでのところは、森会長がときどき非公式で、2兆円などと発言されますが、内訳は全く情報開示されず、積み上げもどれだけされているのかよくわからない状況になっています。
 何となく全体を代弁してレガシープランを出したりされていますが、結局、どういう形で、どれだけお金がかかるのかということを試算しない。トータルの金額が明示されないので、その上限を意識して各機関が準備する体制になっていません。総額予算がない中で、皆さんがベストエフォート(最大限の努力)でできるだけ立派な施設を整備したい、あるいは、遺漏なき態勢で輸送したいと、毎日がんばって準備をされているわけですが、バジェットコントロール(予算管理)がない状態ですので、舛添前知事が3兆円とおっしゃったことも納得できます。
 客観的にはそのようなことですが、都民の負担を考えると、これでは際限なく各組織が良い仕事をすればするほど請求書か全部東京都に回ってくる構造になっている。これは何とかしなければいけない。ということで、ガバナンス体制を緊急に設けていただくことが最も重要だと思います。そして、東京都は東京都で、自分の恒久施設についてはもう一度、アジェンダ2020の精神に立ち返って再検討してみる作業が必要だと思います。
 以上、コストの話をしましたが、もう一つ重要な問題として、3兆円と聞いて、国民の皆さんが疑問を感じる理由は、17ページだと思います。オリンピックで日本が変わっていく、東京が変わっていくという期待感があまり具体的に描けていないのではないでしょうか。レガシーブックが出されていますが、実は、都庁と組織委員会が別々に出しています。また、政府のレガシープランは各省庁別にばらばらで、それが組織委員会の冊子の中に省庁名とともに入っている。こういう状況でしかありません。いわば各論の寄せ集めというと失礼な言い方ですが、非常に総花的かつ抽象的なものが今のレガシープランです。ここは、海外の先進都市のオリンピックの例などにならい、ロンドンなどは非常にすばらしいレガシープランを出して、東部の再開発を完成させました。今からでも、「広義のレガシー」というものを追求するべきだと思います。
 今回の報告書の表紙に、「“1964again”を超えて」という副題をつけたのはまさにそういう意味でありまして、立派な施設を整備して海外の皆さんをおもてなしして、それでよかったねというのが1964年の当時の東京オリンピックで、それは大成功したと思います。ハードのインフラも、新幹線などいろいろなものが残りました。しかし今回それと同じことを目指してはいけないと思います。同じようなことをしているからみんながわくわくしないのではないかと、我々は評価しました。
 次に、東京都の施設整備についてです。22ページをご覧ください。まず隗より始めよということで、東京都が自分で設置する施設についてワイズ・スペンディングになっているかどうか、今回点検を始めました。東京都が設置する施設は16個あります。そのうち金額の大きなものは、図の右上をご覧いただくとおわかりのとおり、海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの三つが金額が大きい。しかも、工事の進ちょくの欄をご覧いただきますと、基本設計が終わり、実施設計を進めている最中です。「海の森」については一部工事が始まっている状況ですので、ワイズ・スペンディングという意味ではかなり急ぐということで、今回は急きょこの三つにフォーカスして分析しました。
 分析の視点ですが、23ページをご覧ください。都の恒久施設としての評価ですので、レガシープランが非常に重要になります。大会開催期間中、便利に使えることは必然ですが、それだけではなく、以後何十年もその施設は莫大な維持費をかけながら存続し続けるわけです。ですので、今回は、ここに記載してある大きく三つの視点から検証しました。一つは、世界級の大会で再び予定が本当にあるのかどうか。国内大会でどのくらい使えるのか。通常の一般利用は見込めるのか、そもそもそれを目的にしてよいのか、そうしたことを検証しました。
 また、大きな施設となると、実は競合施設がほかにもあります。アリーナなどは巨大な施設がたくさんあって、みんな2020年を機に拡張する状況ですので、競争に負ける可能性もあります。そのようなことで、もし、このレガシープランが妥当ではない場合には、都内で仮設で設置して解体する、あるいは、他県の既存施設を使う、あるいは、国が恒久施設として新設する。こういう答えが論理的には出てきます。
 仮に新規で恒久施設を東京都が整備する必要があったとしても、次に出てくる課題は、立地が妥当なのかどうか。これは、選手村に近いかどうかが重要ですが、一方では、湾岸地域は駅から遠いところが多い。そうなると、都民の後利用がなかなか見込めない。こういう矛盾した状況になります。
 また、規模が適正かどうか。これもオリンピックのことだけを考えると、2万席という膨大な座席数が確かに必要かもしれない。しかし、オリンピック終了後のことを考えると、それはどうなのか。さらに、オリンピックのためには、ウォームアップコートなど追加のいろいろな施設が必要ですが、大会が終わるとそれは使わなくなります。そうすると、巨大な空間を恒久で整備する必要がなく、恒久施設としては小ぢんまりとしたものにして、大会開催期間中の部分は横に建て増しで仮設で設置して、後で解体したらいいではないかという考え方が出てきます。
 それから、設計は妥当なのかどうか。デザインも大事ですが、一方で、過剰なデザイン、過剰なコストが発生しないかどうか。
 そして、最後に、コストダウンの余地はないのか。私たちのチームは、入札関係については見ていません。これは「内部統制チーム」が別途チェックしているので、入札方法の見直しなども含めてコストダウンの余地はないのか。こういうことを考える必要があると思います。
 先ほど、「国の恒久施設」という考え方を一つ出しましたが、今回のオリンピックでは、国は新たな恒久施設は一つも整備しないことになっています。しかし、我々が今回精査した結果、競技人口が少ない施設、東京が立地にふさわしくない施設については、もしかしたら、国の恒久施設として整備すべきではないかと、今さら非常に感じました。
 24ページをご覧ください。これは施設の性格をあらわしているもので、下が汎用性の高いもの。体育館やグラウンドなど、いろいろなスポーツで利用できるし、一般市民や子供たちも使える。上に進むほど特殊な設備が必要になるスポーツです。競技人口も上になるほど少なくなり、例えばカヌーのスラロームなどは全国で400人の選手、ボートも1万人の選手、このような状況です。建設費を1人当たりで割ると突出した数字が一部の競技については出てしまいます。もちろん、オリンピックですからいろいろな競技があって当然ですし、だからこそオリンピックですが、自治体は住民の税金を使って事業を行うわけですから、国全体として、こういうものに関しては、全国の中から最適な場所を選んでオリンピック用の競技施設を用意していただく、これが本来の筋ではないかと考えました。
 次に、都の恒久施設について、ケーススタディ的になりますが、順番にお話しします。
 まず「海の森水上競技場」について、安川参与からお願いします。

○安川特別参与 「海の森水上競技場」は、海の森公園付近に整備される水上競技で、ボートとカヌーのスプリントが開催される予定になっています。都内においては、2,000m×8レーンという国際規格を満たす広大な水域、また、陸域の条件を満たすのは、恐らくここしかないかと言われています。しかし、海上の水路を利活用して競技場にすることから、海からの横風、満潮・干潮の水位の問題、波の変動、そうしたものが競技にどのような影響を与えるのか、ボートの揚陸施設があったり、橋がかかっていたり、それらを改善することが必要となっています。その結果、様々な設備の改修・整備が必要となっております。
 28ページに「競技場整備費の変遷」が載っております。まず、立候補ファイル時は69億円、これが何倍にも膨れ上がっているという報道が一部されていますが、立候補ファイル時は、競技施設についてはその時点で最低限見積もれるものを挙げています。その後、新たに、周辺設備の整備、観客席、建物が加わり、また、競技施設においても、国際競技団体やIOCとの競技の間で仕様が変更されていくことから、構造的に、ある程度上がっていくことはやむを得ないと考えております。
 しかし、先ほど申し上げましたように、海上の水路を活用するという観点から、特に閉切堤、こうした臨時の海上設備が必要となっており、これが約400億円ということで非常に大きなコストになっています。また、建設コストや工事中のセキュリティ、消費税が上がる分、最大見積もって1,000億円を超えることになりましたが、あまりに過大であるということから、前都知事の時代に再度様々な検討が都のオリンピック・パラリンピック事務局でもされており、現時点で491億円となりました。大きなものは、閉切堤の距離を大きく見直して、1,000mから200mに削減するという観点から削減を行い、現時点は491億円となっております。ただし、これからレガシーとして残していくに当たって、どのくらいの年間費用がかかるかというランニングコストの点はこれからの調査になっています。
 また、都立の恒久施設として、まさにレガシーとしての重要性ですが、先ほど上山顧問から幾つかの観点があったかと思いますが、現行計画では、今後、国際大会は誘致していきたいと考えられています。国内大会も、全国大会79大会のうち30大会を開催するということで、全国大会のうちの4割をここで開催したいという野心的な計画が挙げられております。また、今後の存在価値も、利用者として31万人、スポーツ・レクリエーションという形でほかのスポーツを楽しむ場として4万人が見込まれていますが、具体的な収支計画は確認していません。
 調査チームとしては、レガシーという形で残すわけですが、一部のボート競技者の間では、海上で競技を行うことに対して根強い反対意見が聞かれていますし、首都圏のボートチームやカヌーチームは、現時点でここをメインの拠点に移すという意向は確認できていません。また、今後レガシーとしてどう活用されていくかの利用計画・収支計画の詳細検討は施設ができてからと伺っております。
 もう一つレガシーについての見解として、都とボート協会は、必要な設備はこれまでもボート協会、国際ボート連盟との協議を通じて様々な積極的な議論、詳細な議論をされて措置が講じられていますので、大会開催に関しては問題がないだろうということで、IOC、IF(国際競技連盟)も、今の段階では「海の森」がベストであろうということは言われています。レガシーとしても、国内の大会をたくさん見込んで31万人の利用を見込んでいます。しかし、アスリートチームとしては、やはり海での国際大会について疑義がある、また、アクセスが悪い。荒川などのように近くに広域の水域がないので練習については確保できるのかと。一旦、外に出ると海ですので、2,000m×8レーンの外での、いわゆる通常の練習ができるのかなど、様々な疑念は、アスリートチームの一部の方のヒアリングを通してですが、聞かれております。
 それでは、改めて分散開催を検討した場合、他の候補はないのかということを31ページ、32ページ目で参考資料として挙げております。例えば、2,000m×8レーンという広域な水域を必要としますが、候補としては、宮城の長沼が挙げられます。戸田の彩湖は掘削等の工事が必要ですが、水域としてはあると言われています。また、長良川は既に大会が実施されている実績もあります。こうしたところが検討可能な河川としてあるのではないかと言われていますが、宮城の場合は分村が必要となっていますし、今後、実際に開催することになったときの用地の買収など課題があります。戸田についても、今後、掘削工事が実際に可能なのか、費用負担はどこが担うのかといったことが課題になります。長良川については、水流があるため、過去の国際大会の実施経験からFISAが一部懸念を表明していると聞いております。
 コスト試算についてです。現在の会場のコスト試算は、実は、過去において都のオリンピック・パラリンピック準備局でも、幅広く「海の森」以外の候補地を検討しようということで、都の試算がされています。都の試算としては300億円から500億円かかることになっていますが、その多くが仮設設備費用で、その半分の大きく占める部分が観客席やカメラレーン設置のための仮桟橋工事です。長沼も戸田も、そういった意味では大きな貯水池というか湖ですので、カメラレーンや、横に走る道の整備が必要となり、これが140億円と試算の大部分を占めていますが、こうした場所も、IOCやIF(国際競技連盟)との交渉によって了解が得られればコスト削減の余地があるのではないかと考えております。
 ですので、現時点で「海の森水上競技場」のコストダウンの可能性を見つつ、また、今後レガシーとしてどの程度の収入が見込めるのかということも確認しながら、代替の候補地を確認することが妥当ではないかと、「海の森水上競技場」については考えております。

○町田特別参与 次に、「オリンピックアクアティクスセンター」の報告を行います。
 34ページをお開きください。抜粋になっておりますので、口頭で補足しながら説明します。
 オリンピックアクアティクスセンターは、ご承知のように、競泳、飛込、シンクロのための新設施設となっています。近隣の辰巳水泳場は、水球競技の会場として使われることになっていますが、その後の用途計画については後で説明しますが、水泳以外のものを現在検討していると聞いております。
 まず、IF/NF(国内競技連盟)、IOC、FINA(国際水泳連盟)等による大会時の施設要件が記載してあります。プールのレーン数、ドライランドが必要であることなど細かな規定がたくさん指定されていますが、最も大きな制約要件が、競泳の1万2,000席は用意してくださいというものです。
 この視点から、右側にありますように、関東の三大プール施設、横浜国際プール、千葉県国際水泳場、東京辰巳国際水泳場を見たところ、特に横浜と千葉は仮設の増設が無理ですので、あっても辰巳ではないかと思われます。ただし、現在、辰巳国際水泳場は仮設を入れても6,000席ですので、とてもこの要件には合わないことから新設のオリンピックアクアティクスセンターが検討され、ここに絞って検討が行われてきたという経緯を伺いました。
 もちろん、新施設は要件に合わせて整備しますので、評価としては全部の項目に丸印がつきますが、左側の既存施設を改修してみてはどうだろうかということで、辰巳国際水泳場であれば少し×印がついていますが、ここを少し広げる、改修するという発想はなかったということですので、この辺はワイズ・スペンディングの観点からもう少し検討があってもいいのではないかと、チームでは思っているところです。
 2番目に、1万2,000席という要請に対して、2万席を前提に設計をしたということですが、この前提がよくわからなくて、どこで2万席になったのか、2万席に決まったという過去の記録がありませんでしたので、今さらにさかのぼって局の方にも調べていただいていますが、ここが一つの謎であると言えると思います。
 資料に記載がありませんが、オリンピックアクアティクスセンターは、オリンピック大会時の席数が2万席となっているものを、大会終了後は減築を行います。屋根を下げて建物自体の規模を縮小して席数を減らすことが行われます。これに伴い、2万席が通常状態で5,000席に変わります。さらに、仮設によって、国際大会などの誘致の際は1万席から1万5,000席まで増やす。このように、席数を柔軟に変更するようなコンセプトで掲げられたものがこのアクアティクスセンターです。
 1ページ飛ばして36ページをご覧ください。2万席や5,000席という目標が良いのかどうかです。左側に辰巳国際水泳場の現状の観客数が載っています。基本的には、国内大会、都レベルの大会、いろいろな民間大会などで週末のレーンは埋まっていますが、その場合でも観客数は2,700人くらいです。また、国際水泳連盟からも、大会後に5,000席残るという経験はないけれども、大丈夫だろうか、コストは高くないだろうかと言われていますので、まずこの5,000席の根拠をしっかり考えて、再考が必要ではなかろうかということが考えられます。
 また、実際に世界大会の誘致も、2023年までは決まってしまっているので、誘致するとなると2025年以降のことになります。こちらも、2万席は多くないかという指摘が、これまでの討議の中でも、6,000席ではどうだろうか、1万席では大きすぎないだろうかという話も出てきていますので、仮に五輪開催時は2万席でいいとしても、その後、1万5,000席のキャパシティではやはり少し多めではなかろうかということが疑問として上がってまいります。
 ちなみに、ロンドン大会では、大会時に1万7,500席、その後、2,500席に減っており、どちらも現在の東京の計画よりも小さめです。それでも経営は非常に苦戦しています。コストとしては300億円から600億円。ここも減築という対応をとっていますが、非常に苦戦して赤字であると聞いていますので、まずこの目標をどうするかということが再検討ポイントかと考えております。
 1ページ戻って35ページをご覧ください。全体コストがどうなっているかを説明しております。立候補時と比較して683億円に増えていますが、その内訳を見ると、左側の「設計・調査費」、「減築がない場合」、「減築部分建設費」の3本が現在見えてきている数字です。このうち、減築部分に108億円かかります。実際にこれは落札されて、ここの3本分までは470億円で契約されていますが、減築するのでこの後さらに工事が発生して74億円。合わせて180億円強のお金を運営の規模を縮小するためにかけることになります。
 では、その効果はランニングコストにあらわれなければいけないのですが、右側に記載してありますように、大きな建物のままのランニングコストから小さくした場合のランニングコストを引くと、毎年約2億円のメリットがあるということです。毎年2億円のメリットのために108億円をかけるべきなのかということが問われている部分かと思います。
 また、ランニングコストの試算はありますが、全体の重要性の検討はまだなされておらず、入場者数の目標はしっかり検討されていますが、これは、辰巳が水泳目的ではなくなるために、辰巳のものをそのまま持ってくるので比較的手堅い目標です。とはいえ、収入がいくらになるのか、運営コスト全体がどうなるのかということはこれからの検討ということで、ここもまだ詰めなければいけないと思っています。
 次に、減築をしない場合はどうかということですが、この検討がありません。また、要件である1万2,000席で設置した場合のコストの計算もありませんので、比較検討して、現在のアクアティクスセンターが本当に良い費用対効果のものなのかどうかということは、判断できる状況にないというのがこれまでの感想になります。
 次に37ページをご覧ください。辰巳国際水泳場の後利用についてです。東京都では、障害者向けスポーツ施設ということで、大変良いものをお考えと伺っています。そもそも、いろいろな方のご意見では、例えば水泳関係者であれば、プールとして残せないかというお話があります。もちろん、プール施設がこのエリアにたくさんあること自体がどうだろうかという視点もありますが、逆に、都レベルの日本代表のアスリートなどは、現在プールレーンが足りなくて抽選になっていて、練習ができないという人もいらっしゃいますので、水泳コンプレックスとして、辰巳国際水泳場とアクアティクスセンターの両方を整備するのであれば、一体となったプランを、もう少しアスリートにインタビューして、具体的に設置できるのではないかと思いますが、これも検討されていません。
 また、江東区が要望されているように、アイススケートリンクが設置できないかという案がありますが、これも並行して検討されているわけではありません。もちろん、ほかの用途にする場合も障害者向けスポーツに限らないと思います。障害者スポーツ施設を設置するのであれば、本当であればほかの施設全部を、健常者も障害者も同時に使えるようなこともあっていいわけですが、辰巳国際水泳場だけを障害者向け施設にすることもどうなのだろうかとう検討もしなければいけないと思います。
 38ページをご覧ください。辰巳国際水泳場を拡張したり、改修したりできないかという検討です。数字が記載されており、理論的にはたくさんのプランがありますが、辰巳国際水泳場は、席数が足りない、ドライランドがない、運河がある、幅が25mしかないということで、このままでは要件が足りません。しかし、方法によっては改修で対応できるかもしれないということで、既にオリンピック・パラリンピック準備局で検討に着手してもらっていますが、ほかの選択肢もあり得るということです。
 39ページは、先ほどのコストを1席当たりで見たものです。左側にありますように、恒久席では、設計段階から1席当たり1,000万円を超えるような建築費で発想されていたので、減築するか、しないかにも影響しますし、減築しないにしてもコストが少し高くなってはいないだろうかという投げかけをさせていただいています。
 40ページに今申し上げた提案をまとめてありますので、ご覧ください。目標の見直し、それからレガシーが少し弱いのでこの見直し、代替案である辰巳の見直し、コスト全体の見直しということを提案させていただいております。
 以上です。

○本多特別調査員 「有明アリーナ」の説明に移ります。
 ほかの2施設と性格を比較すると、複数のスポーツ競技や催し物など多目的に使用されるという点がまず異なると言えます。資料の42ページをご覧ください。有明アリーナは、オリンピック時にバレーボール、パラリンピック時に車いすバスケットボール会場予定の新規恒久施設になります。
 43ページをご覧ください。アリーナの位置づけです。「アリーナ」とは、スタジアムに次ぐ規模である1~3万人規模の屋内競技場・劇場を指します。関東では6施設ありまして、対応するオリンピックスポーツとしては、バレーボール、バスケットボール、バドミントン、テニス、柔道、ハンドボールがあります。日本武道館以外は全て公的施設として建てられています。
 44ページをご覧ください。アリーナの主な利用を3種類に分けています。スポーツ大会利用、イベント利用、趣味等の一般利用です。これには部活等、バレーボールであればママさんバレーのようなものもここに含まれます。場所として、大は小を兼ねますので、観客席はそこまで多く要りませんから、主に体育館でよいと考えます。ですので、大会利用とイベント利用においては、地域の活性化の位置づけから、マグネット装置として準公的な性格をもともとアリーナは持っていると言えます。
 他の事例ですが、スポーツ大会利用のアリーナにおいては、競技チームの拠点として使用料を徴収したり、運営権を売却することが一般的です。使用チームの、建設前などからの早期検討が運営上の鍵と言えます。
 一方、イベント利用に関しては、むしろ、海外に先行事例が多く、特に民間事業者の運営によるコンサートの稼働率向上や周辺と融合した開発などが鍵になります。これに関しては、ニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンやロンドンのO2アリーナなどの先行事例があります。
 45ページをご覧ください。有明アリーナの説明です。これは、IOCの基準、国際バレーボール連盟の基準を満たしているもので、メインアリーナは1万5,000席を用意しています。イベント対応もできるように、木床ではなくコンクリート床になっています。サブアリーナは、2面のウォーミングアップコートを用意できる広さになっています。大規模なスポーツ大会だけではなく、イベントの開催に向けた多目的アリーナを予定しています。
 46ページをご覧ください。そもそも既存会場で対応が可能ではないのかという検討がされるべきです。こちらに関して既存の6施設を列挙しました。これは、通常時で1万人以上収容のアリーナレベル会場です。左端に記載した条件二つが、IOC、国際バレーボール連盟の要件です。条件1は、コート1面に観客席1万5,000席以上。条件2は、ウォーミングアップコートとして広さが2面以上取れることです。既存施設で改修等なく満たすものは二つありまして、その他はいずれかの条件を満たしません。オリンピック時の使用では、どれも使用が予定されており、新設または既存施設の拡張、または仮設で会場を一つは用意する必要があり、それに関しては妥当であると結論できます。
 47ページをご覧ください。用意する必要があるとなった場合、仮設では対応できないのかということを検討すべきです。これまでのヒアリングによって、オリンピック・パラリンピック準備局からは、改修や仮設施設の整備による対応までは検討していないというコメントをいただいていますが、過去3大会のオリンピックの事例を見ると、リオデジャネイロ大会、ロンドン大会、北京大会、それぞれ既存施設を利用しています。特にロンドンでは、展示会場を利用・転用するという事例があります。ヒアリングにおいては、仮設対応の可能性ということで、バレーボールであれば室内空間で十分であると。多目的会場等の、例えばパシフィコ横浜などは検討できないかというコメントもあり、既存施設の仮設対応がそもそも可能か検討すべきであったと言えます。
 48ページからは「レガシーの課題」に移ります。先ほど、利用に対しては2種類あると言いました。まず大会利用に関しては、そもそも1万5,000席がそれで満たされるかという議論があります。国内大会を見ると、運営上は稼働率が重要になりますので、ふだんの運営において満たされるかということですが、国内のバレーボール、バスケットボール、ボクシングなどは2,000~3,000席で十分であること、また、国際大会も既存施設で開催されてきたという実績があることから、既存施設で十分であると言えます。一方、コンサート等の利用に関しては、スタジアムやアリーナ級のライブ公演数が増えていまして、2020年以降も底堅い需要があると思われます。
 次に、現行計画では、年に50回のスポーツ利用があり、イベント利用でコンサートやショーなどが50回あると想定されていますが、先ほどの議論のとおり、スポーツ利用では、必然的需要はそこまでないと結論づけます。一方、イベント利用に関しては、競合を照らし合わせて開催回数は100日以上考えるべきだと思います。
 資料49ページをご覧ください。イベント利用に関しても立地に課題があります。最寄り駅から遠いこと、22時以降は騒音基準が厳格化していることから、こちらに関しては検討が必要と考えます。
 50ページをご覧ください。供給側に関しても2020年以降は変動がありまして、現存のアリーナ、ライブハウスなどが改修終了による再オープンの見込みがたっています。また、ライブハウスの高い需要に対して供給側が不足していることもあり、適切な座席の精査が必要と言えます。
 51ページをご覧ください。コストに関するものを最後に検討したいと思います。再検討時、デザインビルド発注時ですが、404億円から変わっておらず、特にランニングコストの算定が行われていません。国内の平成以降の新設の観客席1万人以上の施設を面積当たり単価で比較したものですが、有明アリーナは2番目に位置しています。例えば、埋立地で高騰している地盤工事の費用、環境システムの長期的な改修ができるなどのコストダウンの余地を精査すべきですし、競合施設と照らし合わせて、コンサート設備などの適切な投資額を精査する必要があると言えます。
 最後にまとめますと、様々な選択肢を検討すべきことと、適切な後利用の計画を立てるべきということが、有明アリーナについては重要になります。
 以上です。

○上山特別顧問 以上、三つの恒久施設の見直し計画についてお話ししました。
 今後の課題ですが、53ページをご覧ください。以上、課題は多岐にわたりますが、行うべき作業は大きく3点あると思います。一つは、今お話しした三つの恒久施設についてさらに精査が必要であること。残りの四つの恒久施設についても同様の調査が必要だと思います。しかし、これは現在進行中のプロジェクトですし、時間も限られますので、私たちの考え方としては、調査チームとして継続するよりも、準備局と本部によるプロジェクトチームの形で、実務的な検討体制を構築したほうがいいと思います。
 都内の恒久施設については、組織委員会等と協議した上で、これは都が負担しますという仕切りが必要ですが、そういう仕切りができたとして、その後、組織委員会とジョイントのプロジェクトチームのようなものを立ち上げて、どのような形がいいのか、立地は今のままでいいのかといったことなど、招致ファイルにある元々の案の根本的な見直しを行うべきだと考えます。
 また、宙に浮いている2,800億円分の分担をどうするのか、全体のガバナンスがないという問題については、国や組織委員会など各団体との協議から始めるということで、ここは知事のご判断にかなり依存することになりますが、これも急ぐ課題であると思います。
 各施設の見直しで、今回いろいろなオプションがあるというお話をしましたが、国際競技連盟、IOC、場合によっては国内競技団体との協議が必要ですので、それには一定の時間がかかると思います。しかし、相手がある話を除く部分については、私たちは、1か月くらいをめどに、さらに検討結果を出して選択肢をかなり絞り込んでいくことが、全体のスピードから考えて必要ではないかと思います。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 ただいまの調査報告を受けまして、知事からご発言を頂戴できればと思います。
 知事、よろしくお願いします。

○小池知事 非常に短期間でしたが、極めて客観的に、また、経営的手法での分析を誠にありがとうございます。まさに、2兆、3兆というところで、その根拠がよくわからないままイメージだけが膨らんでいったということかと思います。大変重い提言だと思いますし、また、経費負担の問題、大会全体の推進体制の問題、都で整備する恒久施設の問題など、解決すべき大きな課題はたくさんあるかと思います。
 例えば、会場のそばのお店など、その日は休業してくださいとなった場合、その補償をどうするのかなどという問題もあります。また、今日も先ほど、組織委員会等との調整会議に出席した際も、ヒートアイランド対策をどうするのか、それによってサマータイムを導入してはどうかなどの案も出されていて、制度的な問題と、システムによって一変させてしまう方法と、どうしてもかかってしまう費用、もしくは、いつの間にか膨らんでしまう費用、そういったことを、逆にいえば網羅的に全体像を見せていただいて、非常にわかりやすかったと思います。
 本日は、皆様方のご報告を、本部長としてまず受けとめて、そしてまた、相手のある話です。相手というのは、IFやIOCなどです。これまでのいろいろな積み重ねもあります。そうした中で、是非、ワイズ・スペンディングに本当に資するかどうか、これはかなりファイナルなチェックになると思います。あと4年というけれども、テストイベントなどもありますので、そうした意味で、まさに貴重なご報告をいただきました。そういう中において、しっかりと最適な解決方法を見つけていきたいと思っております。
 ガバナンスの問題ですが、結局、ここが最も難しい点であるとも思っています。そして、今、極めて客観的にお話がございましたが、この辺を加速度的に進めていくためにも、そのガバナンスの問題は極めて大きな課題ではないかと思いました。
 短期間でおまとめいただいて、本当にありがとうございました。また、これをしっかり受けとめた上で判断していきたいと思っております。
 ありがとうございました。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 続きまして、関係局長から、Q&A形式でのプレゼンテーションを行います。本日のご報告でも積極的な情報公開の必要性が指摘されております。オリンピック・パラリンピックに関して情報公開を一層進める観点から、都民の方が抱いている疑問等に対して担当の局から回答することで理解が深まればと思います。
 発表は、オリンピック・パラリンピック準備局長、総務局長、財務局長の順にお願いします。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 今、調査チームから、特に施設整備に関してかなり重いご指摘をいただきました。そして、知事からは、その提言内容をしっかり受けとめてということで、私ども当局が検討することになってこようかと思います。そしてまた、今ございましたように、積極的な情報公開についてもご指摘をいただいておりまして、今回、情報公開の一環として、これまでの経緯や取組をQ&A形式で都民の皆様にプレゼンさせていただく機会ということで、これから簡単に説明させていただきます。
 まず、Q1「東京大会に必要な業務にはどのようなものがあり、現在、都オリンピック・パラリンピック準備局はどのような業務を行っているか?」、Q2「都・国・組織委員会の役割分担はどうなっているか?」です。4ページをお開きください。当局では、恒久施設を整備するほか、輸送やセキュリティ対策などの業務において、組織委員会や国、庁内各局などと調整を行い、円滑な都市活動や都民生活と万全な大会運営との両立を図るべく、大会準備を着実に進めております。
 ただ、知事からの今のご発言もあり、また、上山特別顧問から、組織委員会と私ども、全体としての管理のあり方が不明確であり、そこが弱いのではないかとうご指摘もございましたので、これは所管の総務局と連携してしっかりと対応していきたいと思います。
 11ページをお開きいただきますと、左側にありますように、現在の状況として、資材や人件費の高騰など大会を取り巻く環境が変化していることから、都知事、オリンピック・パラリンピック担当大臣、組織委員会会長が会談を行いまして、現在、大会準備全般にわたり、三者で経費精査、役割分担を協議しております。
 今後の取組としては、ロンドン大会やリオデジャネイロ大会の状況も踏まえまして、知事がリオデジャネイロの地でバッハ会長に言いました「もったいない」の視点で私どもも経費を精査し、都民の理解・納得が得られるよう努め、そして今回、提言で、都内の仮設については都が負担すべきという試案としてのご提言も受けましたので、そうしたことも踏まえて、大会の業務内容・経費・役割分担について、年内の公表を目指し、三者による協議を精力的に進めていきたいと考えております。
 次に、Q3「都が整備する新規恒久施設等の検討と整備費の推移は?」についてです。若干ダブることもありますが、現状を報告させてください。12ページをご覧ください。都が整備する新規恒久施設について、どのような検討を行い、施設整備費が推移していったかです。ポイントなるのは三つの時点でありまして、はじめに平成25年1月にIOCへ立候補ファイルを提出した時点で、本体工事費のみで1,538億円でした。次に、平成25年9月の招致決定後、計画の具体的な検討により、4,584億円と大きく上昇しましたが、平成26年6月に、大会後のレガシー、都民生活への影響、整備費高騰の懸念などの視点や、IOCの「アジェンダ2020」を踏まえまして見直しを行い、現時点での整備費総額の見込みは2,241億円となっております。施設整備につきましては、今後の検討の中でも引き続き縮減に努めてまいります。
 13ページでは、整備費の増減理由を記載しております。
 14ページでは、会場別の整備費の推移を一覧表にまとめております。
 15ページをご覧ください。Q4「都は新規恒久施設等の整備にあたってどのように設計を進めてきたのか?」について説明しております。オリンピック・パラリンピック競技大会は、競技会場はIOCや国際競技団体の基準を満たすことが必要となることから、競技団体と協議を重ね、設計要件を検討してまいりました。具体的な設計段階では、外部有識者から幅広く意見をいただくため、大会後の後利用に関するアドバイザリー会議や設計の妥当性を確認する諮問会議、障害のある方から直接ご意見をいただくアクセシビリティワークショップなどを開催し、そこでいただいたご意見等を設計に反映しております。
 16ページをご覧ください。海の森水上競技場、オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナの3施設の計画の経緯と外部有識者の会議の開催状況について記載されております。続く17ページ以降の3ページについては、それぞれいただいたご意見をどのように設計に反映したかを、施設ごとにまとめております。
 20ページをご覧ください。Q5「大規模3施設の整備理由とレガシーの計画は?」に対して説明しております。続くページにおいては、各施設に求められる競技種目の基準と大会時の施設内容、さらに続くページは大会後のレガシー計画で、トップアスリート、競技者、都民の具体的な利用内容をそれぞれお示ししております。
 23ページは、Q6「大規模3施設の整備スケジュールは?」に対する、都が整備する競技会場等のスケジュールです。平成31年度までには工事を完了し、組織委員会の仮設工事やテストイベント等を経て、オリンピック・パラリンピック大会の会場として利用されることになります。大規模施設については、現状ですが、現在、実施設計を進めておりまして、海の森水上競技場では並行して締切堤工事を行っております。オリンピックアクアティクスセンター、有明アリーナは、準備工事を経て、年度内には本体工事に着工予定となっております。
 24ページは、大規模3施設の整備スケジュールであり、25ページは都が整備する新規恒久施設等の整備状況を一覧にしたものです。施設整備については、本日のご指摘について早急に検討してまいりたいと考えております。  最後に、2020年オリンピック・パラリンピック大会が、世界中から集まる選手や観客にとってすばらしい大会となるよう、私ども職員一丸となって取り組んできたところですが、本日のご報告を局内職員一人一人が真摯に受けとめまして、また、「アジェンダ2020」の精神も踏まえまして、世界中の誰もが記憶に残る大会への出発点としてまいりたいと思っております。
 以上です。

○多羅尾総務局長 それでは、総務局から、都の出資等団体への関与の現状等について、特にオリンピック・パラリンピック組織委員会との関係について説明させていただきます。
 Q1「都と組織委員会との関係性について教えてほしい」ですが、組織委員会は、都が法人設立時に基本財産の出えんを行っている団体です。都では、出資等団体を「監理団体」と「報告団体」の二つに区分しておりまして、組織委員会は現在、報告団体として位置づけられております。
 Q2「組織委員会はどのように設立されたのか教えてほしい」ですが、開催都市東京都と日本オリンピック委員会は、IOCから組織委員会の設立を求められていたことから、平成26年1月24日に、両者で1億5,000万円ずつを出えんし、まずは一般財団法人として組織委員会を設立しました。一方、設立後数年間は収入が見込めない中、法令上の法人解散事由を回避し、安定的な法人運営を図っていくため、平成26年6月に、都が追加で57億円を基本財産に積み増ししました。その後、平成27年1月1日に、公益財団法人に移行し、現在に至っております。
 Q3「組織委員会を含め出資等団体に都や民間企業等が出向(派遣)している理由を教えてほしい」ですが、出資等団体が実施する業務が都の事業と密接な関連を有するものが、その推進を図るための人員が必要な場合は都の職員を派遣して連携を強化するとともに、都が有する専門的知識や能力などの活用を図っております。また、民間事業者の方々も同様に、公的部門における施策実施の過程を通じて、その後の企業の事業展開にそのノウハウを活用するため、人材を派遣されているものと認識しております。
 資料の7ページに「組織委員会の職員数等の推移」ということで、設立時と現在の状況をまとめております。平成28年8月1日現在では、都の職員は設立時と比べて構成比は下がっていますが、245名を派遣しております。
 Q4「組織委員会には、都から多くの出えんを行っているが、なぜ関与が弱い『報告団体』としているのか教えてほしい」ですが、組織委員会を設立する際の検討の中で、都の関与が強い監理団体の要件に該当するものと考えていました。一方で、団体の設置がIOCに義務づけられていること、オリンピック憲章等において組織委員会の事業活動にIOC等からの強い関与があることなどから、都が指導・監督する範囲が狭いという適用除外規定に当たると判断し、「報告団体」として整理しました。
 Q5「組織委員会を含め出資等団体に対する一般的な指導監督の内容について教えてほしい」ですが、都では、監理団体と報告団体に対し、それぞれ指導・監督を行う内容を整理しております。両者に共通する事項として、団体運営の状況を把握するため、年1回、役員等名簿や事業計画・予算書、事業報告・決算書等を提出していただいております。加えて、監理団体に対しては、組織・職員等の調整など組織に関することや情報公開やセキュリティ対策の実施、団体の事業及び収支等に係る調査等の指導・監督を行っております。
 Q6「地方自治法に基づき、組織委員会を含め出資等団体に対してどのような関与ができるか教えてほしい」ですが、地方自治法では、出資等団体に対して自治体が必要な関与ができる旨規定されております。これは、監理団体、報告団体の位置づけに関係なく、資本金等へ出資比率などに応じて関与することができるものです。具体的には、地方自治体の長による関与、議会による関与、監査委員等による関与の大きく三つに大別されていますが、組織委員会については、都が97.5を基本財産に出えんしており、地方自治法に基づく三つの関与を受けることになります。
 説明は以上ですが、本日の報告を踏まえまして、今後ともオリンピック・パラリンピック準備局とともに、都と組織委員会の一層の連携強化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
 以上です。

○武市財務局長 財務局でございます。私から、財政面についてのご質問にお答えいたします。
 想定される質問としては、Q1「オリンピック・パラリンピックの費用負担をしても都財政は大丈夫なのか?」ということ、また、そのための資金として、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金がありますが、現状の残高が3,727億円ですので、それ以上の負担を求められた場合、開催経費を賄いきれるのかというご質問があるかと考えております。
 財務局資料の1ページをご覧ください。先ほど、オリンピック・パラリンピック準備局長から役割分担について、現在協議中であり、年内に結論が導かれていくという話がありましたが、その役割分担が決まっていく中で、東京都の財政負担も決まってくるであろうと考えております。そこはまだはっきりしていない段階ですが、私どものスタンスとしては、一つは、国に対しても、他の(開催)都市あるいは民間団体に対する財政支援をしっかり対応していただきたい、また、パラリンピックについても財政支援をしっかりと行っていただきたいということで、国にしっかりとした財政負担を求めるということがあります。
 その上で、東京都については、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金が3,727億円ありますが、2020年までに重点的に取り崩しを行う基金として、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金以外に6基金ありまして、その合計残高が現時点で約3,500億円あります。それ以外に、一般的に取り崩しを予定している基金として、私どもでは「財源として活用可能な基金」と呼んでいますが、それが約1兆1,700億円あります。その三つの基金を合計すると2兆円近い基金残高になりますので、それを取り崩して対応していく形が基本になると考えております。
 それ以外にも、現在、私どもでは、事業評価という取組を行っていまして、毎年一定程度費用の削減をしております。それを今後、2020年まで積み重ねていくことで、一定程度の余力ある財源が生み出せるだろうと考えております。加えまして、現在、都財政は健全な状況にありまして、都債の発行余力もあります。長期的に対応が必要な事業の場合は都債を発行する対応も考えられるかと思っております。
 そうした様々な取組を通じて、役割分担に基づいて費用負担が決まった暁には、都民生活に影響が及ばないように、現在の都民サービスを低下させないように、適切に対応していくことが私どもの役割でありまして、そうした対応はできるだろうと考えております。
 以上です。

○事務局(榎本) ありがとうございました。
 それでは、本日の議題に関しまして、何かご意見、ご質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。

○小池知事 今日は、上山特別顧問から、調査チームとして発表していただきました報告書、ありがとうございました。
 今、各局から、現状についてのお話がありましたが、今回は大規模3施設を取り上げて特に分析していただきました。先ほどの答えだと、ノーアンサーに近いのではないかと思いました。そして、もう既にいろいろ始まっているからということですが、例えば、この後のメンテナンス、それを行っていくランニングコスト、それらのことを考えると、負の遺産になる可能性が非常に高いのではないかと思います。百歩譲って、恒久施設ではなく仮設施設の整備で済ませるなどの工夫をしていかなければいけないということがあると思います。
 それから、例えば「海の森水上競技場」であれば、水位を調節するための費用なども非常に高くつくのではないかと思います。それがメンテナンス、ランニングコストですが、その辺の計算をしっかりしているのかどうか。私は、今日の報告書をもとにしてその辺もしっかり検討した上で進めるなり、どうするなりを決める必要があるのではないかと思いました。先ほどの報告書に対しては、ノーレスポンスだという気がします。
 2番目です。組織委員会から、出えん金を返す、もう要らないという話で、57億円を返してくるという話ですが、返ってきたら、どこにどういう形で受け取ることになるのか、また、それによって、多数の人材も出して、彼らは大変貴重な働きをしてくれているわけです。お金と人とありますが、まず、この57億円はどのような形で処理していくのか教えてください。

○多羅尾総務局長 今後、事務的に十分検討していく必要があると思いますが、戻ってきた場合は都の一般会計に戻し、それで一般的な予算の中で使っていくことになるかと思います。特に特定目的で使うことにはならないと今のところは考えております。

○武市財務局長 仮に57億円が返ってくる場合は、これからの議論になりますが、一つの考え方としては、東京オリンピック・パラリンピック開催準備基金がありますので、そこに積み立てて、2020年までのオリンピック・パラリンピック対応をしていくという考え方もあるのではないかと考えております。そこは、もし返ってくれば、また議論させていただきたいと思います。

○上山特別顧問 今、オリンピック・パラリンピック準備局のノーアンサーというお言葉がありましたが、本日のこの趣旨は、遅ればせながら情報公開をきちんと行おうということなので、現状がどうなっているかという資料を作成していただきました。準備局のほうは、PTを本部と一緒に立ち上げて、見直しをしようという打ち合わせもしていましたので、そのあたりを局長からお話しいただければと思います。

○塩見オリンピック・パラリンピック準備局長 今日の進行から、その後これを行うとノーアンサーのようになるのではないかと、私も心配していましたが、そのとおりになりました。
 これはあくまでも現状を説明して、今の提言を受けて、知事の指示を受けて、当然、検討を進めていくもので、今おっしゃったいろいろなシステムを加えて進めていくということですので、一つよろしくお願いいたします。

○小池知事 今日はこうしてやりとりをさせていただきました。そしてまた、都民の皆さんにもご覧いただいているかと思いますが、基金として3,000億円、4,000億円ありますというお話でしたが、そのことが都政にとって、善かれ悪しかれ情報公開を妨げ、そして改革を妨げてきた。ありがたいことですが、これこそワイズ・スペンディングしていくために、今回の都政改革本部会議を開いておりますし、また、そのことを旨として、これからの都政改革本部を本当に実のあるものにしていただきたいと思っております。

○上山特別顧問 お金の話ですが、開催準備基金は約3,700億円しかなくて、そのほかのお金をかき集めれば何とか大丈夫ですというお話ですが、私は、ほかのお金は、それこそオリンピックを機に東京を大きく変えていくレガシーのために使うお金であって、大会開催のために使うお金を注ぎ込んではいけないと思います。スマートシティ、ダイバーシティ、セーフシティに向けた、大会を機にがんばっていこうという、環境や障害者対策などいろいろな事業がこれから始まるわけです。お金はそちらに積極的に使わなければいけないので、大会開催については、こうした基金をやむなく使うことはあってもいいと思いますが、むしろ、ほかの基金を広義のレガシーとしてどのように使うのか、その議論が足りないと思います。
 そういう意味で、広義のレガシーの議論も是非真剣に行う必要があるのではないかと思いました。超高齢社会を目の前にした場合、現在の財政状況がずっと続くわけではないし、福祉も含めていろいろと新しい課題も出てくる。そのシミュレーションも合わせて、その課題を解決するためにオリンピック・パラリンピックをてこにするのだという観点で、もう一度都のお金の使い方全体を見直す必要があるのではないかと思います。オリンピック・パラリンピック全体の見直しも必要ですが、都のほうもそうではないかという気がしました。

○武市財務局長 ご意見、ありがとうございました。
 役割分担そのものがまだ決まっていない状況にあるかと思いますが、年内をめどに決定されると、東京都がどのような役割を果たしていくのか、具体的にいくら追加負担が発生するのか、そこが決まった上で、具体的な話になってくるかと思いますので、その辺はまた、具体的な数字が出た時点で改めて我々財務の考え方をお示しさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

○事務局(榎本) その他にはよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、本日の議題は以上となります。限られた時間でしたが、非常に充実した報告がなされたものと思います。
 本日の結びに当たりまして、全体を通して、知事、おまとめのご発言を頂戴できればと思います。よろしくお願いいたします。

○小池知事 本日は皆さんありがとうございました。また、インターネットなどを通じてご覧いただいた皆さんもありがとうございます。
 今、オリンピック・パラリンピックについて、最初に手を挙げていた都市が次々と辞退しているという現状があります。ハンブルグ、ボストン、そして、最近はローマが撤退することになりました。理由は、財政の問題及び環境に本当に良いのかどうかということを国民・市民に問うた結果、立候補を撤回している状況です。
 東京は、先ほどの財源のお話からしても立派なものができると思います。といいますか、「意味がある立派な」という意味です。レガシーのある東京大会が開催できると確信していますし、成功させなければならないわけですが、その後に続く都市がきちんと名乗り出てくるようにすることも、オリンピックそのもののサスティナビリティ(持続可能性)にかかわってくると思いますので、そういう意味でも我々の判断は極めて重要になってくるということを旨にしていきたいと思っております。
 いずれにしても、大変短い期間ではありましたが、おまとめいただいたチームの皆さん、自律改革を進めるという意味で若手の方々からも参加していただいてまとめていただきました。ありがとうございます。
 これを皮切りにして、都政改革本部会議を続けてまいりたいと思っておりますので、今後ともみんなでがんばってまいりましょう。ありがとうございました。

○事務局(榎本) どうもありがとうございました。
 最後に、事務局より2点、事務的なご連絡をさせていただきます。
 次回第3回目の会議の開催日程ですが、概ね1か月後を予定しております。皆様方のご予定を確認・調整の上で、改めてお知らせさせていただきます。  また、本日の会議の議事録ですが、準備が整い次第、都庁のホームページに掲載いたしますのであらかじめご了承ください。
 以上をもちまして、第2回都政改革本部会議を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。

○小池知事 ありがとうございました。ご苦労さまでした。

午前11時55分閉会

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