第3回政策評価分科会



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箇条書き座席表(PDF:147KB)








議事録

令和元年10月25日(金曜日)
都庁第一本庁舎42階特別会議室D

15時58分 開会


 1.開会
○事務局 それでは、お揃いになりましたので、ただいまより第3回都政改革アドバイザリー会議 政策評価分科会を開催いたします。本日は、皆様、大変御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 まず初めに、会議の公開について御説明をいたします。本日の会議は公開で開催いたします。また、会議資料につきましては本日、議事概要については後日、ホームページ上に公開いたします。
 なお、本日の会議はタブレット端末ではなく、机上に配付しました資料を使用して進行してまいりますので、まず資料の確認をさせていただきます。
 配付資料の一番上に、本日の次第をお配りしてございます。
 その下に、「資料1 制度のブラッシュアップに向けた基本的考え方」。
 その下に、「資料2 政策評価制度の改善案」。
 その下に、「資料3 政策評価の実施手順(案)<制度改善後>」がございます。
 本日の会議出席者につきましては、お手元の座席表をもって、かえさせていただきたいと思います。本日は、西村弥構成員、水町雅子構成員、中川美雪専門調査員より、欠席の御連絡を頂戴してございます。
 会議時間ですが、17時までを予定しております。
 それでは、開会に当たりまして、総務局次長の野間より御挨拶を申し上げます。よろしくお願いします。

 2.総務局次長挨拶
○野間総務局次長 野間でございます。
 本日はお足元の悪い中、新宿までお越しいただき、誠にありがとうございます。
 机上に資料を配付させていただいておりますが、制度の改善案ということで、具体的に、要綱をつくる程度の考え方で、職員間で議論したものをまとめております。
 我々としては指標の設定の仕方や評価の手法、ABCDをつけないという形に現在考えておりますが、その辺りが非常に悩ましく、悩みつつ、先生方に御意見いただいたものを参考にしながら、たたき台のイメージですが、作成しましたので、どうか忌憚のない御意見を頂戴したいと思っております。東京都では、現在、2040年を見据えた計画を策定しようと検討しておりますので、良い評価制度を構築し、そういうものにも反映できるようにしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、この後の議事進行につきましては、石田会長にお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

 3.議題
○石田会長 皆様、改めましてこんにちは。本日はお忙しい中、また雨風の強い中、お集まりいただきましてありがとうございます。
 今回は、前回の9月26日開催の分科会の意見を受け、事務局が作成した政策評価制度の改善案について、専門調査員の皆様から御意見を伺います。改善案については、前回の皆様の意見が反映されている部分、あるいはそうでない部分もあるかと思います。野間次長よりお話がありましたが、真の意味で機能する政策評価制度を構築するため、忌憚のない御意見を頂きたく、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題ですが、まずは「政策評価の制度上の改善点について」、事務局より説明をお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 総務局行政改革推進部都政改革担当課長の内藤です。本日もよろしくお願いいたします。
 それでは、お手元の資料に沿いまして、御説明させていただきます。
 まず、資料1を御覧ください。制度のブラッシュアップに向けた基本的考え方を整理したものでございます。
 まず、1ページ目です。政策評価制度は、こちらに記載の2点を目的に、今年度から開始した仕組みでございます。今年度は、各局1ユニットを対象に、分科会の皆様から意見・助言をいただきながら、施策ごとの成果指標・目標の設定等に取り組みました。こうした取組を踏まえて、政策評価の取組の意義を改めて整理したものが2点目でございます。
 政策評価は、都民の視点に立って、施策レベルの成果、アウトカムに着目した指標等を設定し、それらを基軸としまして、施策について点検・分析を行い、見直し・改善につなげ、更なる成果の向上を目指していくものであり、都の各局が戦略的に施策を展開していく上で基本とすべき取組ではないかと、その意義を置かせていただきました。
 そして、矢印の下でございますけれども、具体的かつ確実に政策評価の取組を都庁に浸透させていくため、下の2ページ目の二つの考え方によって、来年度に向けて制度のブラッシュアップを図れればと考えております。
 まず、1点目が施策のマネジメントの強化です。これからの都政を取り巻く状況変化等を見据えますと、「施策が都民や東京にどのような成果をもたらすか・もたらしたか」という視点を組織で共有しながら、施策を進めていかなければなりません。
 このため、成果に着目した目標設定を行い、「目標達成に向けてどうすべきか・より大きな成果を生むためにはどうすべきか」という視点で、施策の状況を点検・分析し、見直し・改善へと循環させる「施策のマネジメント」を強化する必要がございます。
 これを踏まえ、改善の方向性の一つ目としまして、まずは成果重視の考え方を庁内にしっかりと浸透させる観点から、評価対象を重点化するとともに、あわせて、成果志向ということで、今後の取組につながる評価内容とする仕組みとしてまいります。また、今回の分科会ヒアリングでの意見、助言において、皆様方から様々な御示唆を頂きましたが、政策評価の取組を通じて得られた個別・具体的な意見等を、個別・具体的なまま終わらせるのではなく、一般化した上でノウハウとして蓄積・共有して、各局がそれぞれの施策を高め合えるようにしていきたいと考えております。
 2点目でございますけども、こちらは、機会があるごとに皆様方から御指摘を頂いております、より分かりやすい情報発信の推進でございます。
 政策評価におきましては、透明性の確保に加えまして、都民から理解・納得・共感が得られるよう、評価内容を分かりやすく説明していく必要があります。
 そこで、改善の方向性の二つ目でございますが、評価書に一定の情報量を記載した上で、評価内容のポイントを示した要約版も作成・公表していくことを考えております。
 以上がブラッシュアップの基本的考え方でして、これを踏まえまして、政策評価制度の改善案のポイントを整理したものが資料2になってございます。
 前回の分科会で、左側のローマ数字の各事項につきまして、皆様から様々な御意見いただきました。それらを踏まえまして、改善案のポイントとその考え方を、たたき台として、お示しさせていただいております。
 まず、Ⅰの評価対象でございます。
 今年度のスキームでは、見える化改革の事業ユニットの中から、各局1ユニットを選定の上、評価を実施する施策として、全て又は一部を選ぶこととしてございます。
 右側の改善案ですが、各局における重要な課題を有する政策分野などから、評価する施策を選定します。施策の規模ですけれども、おおむね部相当で取り組む事業のまとまりを想定しています。
 3点目として、施策の選定を独立して行い、後から成果指標・目標を検討するのではなく、成果指標・目標の設定と一体的に施策の選定を実施するものとします。
 施策の選定基準は、より成果を志向してマネジメントする必要がある施策ということで、1点目、行政計画等、こちらには全庁的な計画や方針と各局が定める行政分野別のものがございますけれども、それらにおける位置付け、改定時期及び法令の動向など、施策を取り巻く状況を踏まえて時宜にかなったもの。2点目が、その他ということで、各局が必要と認める施策でございます。
 考え方としましては、具体的な分析・施策改善の検討につなげるため、評価対象を重点化。都民への分かりやすさの観点から、評価する施策は一定の規模感を確保し設定するというものでございます。
 続きまして、2ページ目ですが、Ⅱの評価手法でございます。
 今年度のスキームでは、当年度、施策ごとに成果指標と目標を設定することとしており、原則として定量的なアウトカム指標としております。この成果指標・目標の設定に関する改善案ですが、評価書上において、施策を実施することでどのような状態にすることを目指すのか施策目標として明確化し、その上で、「現状」と「課題」を明示します。そして、「施策目標」の実現に向けた達成水準を定量化した「成果指標」として、アウトカム指標を設定します。成果の一部を測定できる指標は、「補足指標」として位置付けます。この点が、今年度のスキームとの大きな変更点になります。
 評価書の中で成果指標の欄を独立して設けまして、施策のアウトカム指標を明確化し、その他の指標は補足指標欄に記載することとなります。
 補足指標の設定例については、御覧のとおりになってございます。こちらは、今年度の分科会ヒアリングを踏まえた意見・助言のうち、参考となるものとして挙げさせていただきました。
 まず1点目ですが、アウトカム指標による目標が時系列的に遠い場合、現在の取組状況を測るための指標を併せて設定すること。
 2点目が、アウトカム指標による目標に、外部要因などの不確定要素が与える影響が大きい場合、行政の取組状況を測るための指標を併せて設定すること。
 3点目として、施策目標の実現に向けた優先度を明確化できるよう、施策における重点分野に特化した指標を補足指標として設定するケースです。
 考え方としましては、施策の論理的な構造を明確にするため、記載の3点、施策の背景にある現状・課題認識、施策全体の成果を測定する「成果指標」としてのアウトカム指標や、施策の目的と手段の関係について、ロジックを意識して整理するというものでございます。
 おめくりいただき、3ページ目ですが、Ⅱの評価手法の続きとして、自己評価の部分でございます。
 今年度のスキームでは、翌年度、記載の①から③の流れで評価を実施します。①のところ、成果指標の実績と施策の進捗状況の把握に当たっては、前回の分科会でも御説明しましたが、現在の評価書の様式ですと、各成果指標と、施策全体の評語を設定するような形になっております。
 右側、改善案ですが、施策の進捗状況の点検では、「成果指標」と「補足指標」の達成状況を基に、施策全体の進捗状況、順調かどうかなどを判断根拠とともに文章として明示します。そのため、各指標の達成状況として「達成/未達成」の区分と、数値目標に対する達成度合いを一覧で表示しますが、施策全体の評語設定は行わない形といたします。
 次に、分析・課題の抽出として、指標の目標と実績の乖離について、その要因分析をした上で課題を抽出。
 今後の方向性の提示として、課題に対する対応を含めて、今後どのように施策を展開していくか、こちらを明らかにします。
 考え方でございますが、施策全体の評語付け、通信簿をつけるようなことを目的とせず、論理的な構造を踏まえた分析や今後の方向性の提示を重視した、成果を志向した前向きな評価内容としていくものとしております。この自己評価の部分に関しましては、今年度の取組から制度改善を実施してまいります。
 最後に、Ⅲの評価書・情報公開でございます。
 今年度のスキームにつきましては、記載のとおり、評価書は全てホームページ上で公開しているところでございます。
 改善案ですが、資料1の基本的考え方で御説明しましたとおり、一定の情報量を確保した評価書に加えまして、評価書のポイントをまとめた要約版を作成します。こちらについても、今年度の取組からの実施を考えております。また、施策を構成する事業につきましては、「指標・目標」の達成に向けて寄与度が高い事業が明確になるよう、主要な事業を評価書に記載するものとします。
 なお、本分科会を含む外部有識者の関与のあり方につきましては、次回の分科会で御議論いただくことを考えております。
 最後に、資料3を御覧ください。こちらは、政策評価の実施手順(案)としまして、ただいま御説明した改善案のポイントを含め、評価実施施策の選定から施策の自己評価までのフローを、事務処理要領のような形で整理したものでございます。
 今年度の取組における指標・目標設定に関する皆様方の意見、助言を踏まえまして、2ページ目ですが、指標の設定例、SMART基準などを盛り込んでおります。
 政策評価の各フローにおける留意点ということで、そういったものをまとめたものになりますので、皆様方から様々な御意見を頂ければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
 事務局からの説明は以上でございます。

○石田会長 御説明ありがとうございました。
 それでは意見交換に移ります。今回は、これまでの取組と分科会での意見交換等を踏まえて、資料1の「制度のブラッシュアップに向けた基本的考え方」、資料2の「政策評価制度の改善案」、資料3の具体の「政策評価の実施手順(案)<制度改善後>」を事務局で整理したとのことです。それぞれについて、皆様から御意見や御感想を頂ければと思います。どのようなことでも結構ですので、忌憚なく意見交換ができればと考えています。
 まず、大きな方向性を示している資料1と2について御意見をいただいた後、資料3の手順(案)について、御意見を伺いたく思います。
 欠席の西村構成員及び中川専門調査員からは御意見をいただいております。まず最初に、お二方の御意見を事務局から代読よろしくお願いします。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 承知しました。
 それでは、西村構成員から事前に資料2のⅡの評価手法に関しまして、御意見を頂いておりますので、御紹介させていただきます。
 右側の改善案について、「成果指標・目標の一つ目の○にあるとおり、施策目標の明確化及び現状と課題の明示は、評価で使用する指標の妥当性を第三者が判定できるようになるという点では望ましいと思う。また、二つ目の○にある指標について、『成果指標』と『補足指標』区分するという点も、不適切な評価を低減させる効果が期待できるものと考える。」
 資料裏面の3ページ目、「自己評価」に関しましては、「二つ目の○について、抽出された課題がその後どのように位置付けられるかが重要。適切にフィードバックされるような取組や予算と、ある程度連動できると良いと考える」という御意見でございます。
 あわせて、中川専門調査員の御意見を御紹介させていただきます。
 こちらも資料2に関して、まずⅠの評価対象でございます。
 「改善案の一つ目の○に、『各局における重要な課題を有する政策分野などから評価する施策を選定』とあるが、各局に選定を委ねるのであれば、『各局が選定』のように、選定者を明確に記載したらどうか。
 また、施策の選定理由や、二つの選定基準のうち、どちらに該当するかについては、評価書に記載させるようにすることで、評価対象とした施策の位置付けが分かりやすくなると考える」という御意見をいただいております。
 まず1点目に関しましては、事務局としましても各局が選定することを想定してございますので、そういった形で、分かるような記載に改めていきたいと考えております。
 もう一つ、2点目につきまして、こちらも御指摘ごもっともというところでございますので、選定理由もあわせて明らかにできるような評価書にしていきたいと考えてございます。
 Ⅱの評価手法でございますが、こちらは資料2の3ページ目、自己評価のところの二つ目の○に、「『分析・課題の抽出:指標の目標と実績の乖離について、その要因分析をした上で課題を抽出』とあるが、目標と実績に乖離がなかったときには、どのような分析・課題の抽出をするのか。目標を達成していれば課題はなしという自己評価の仕方で良いのかについては、議論が必要ではないか」という中川専門調査員の御意見でございます。こちらにつきましては、皆様からも御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

○石田会長 ありがとうございました。
 それでは資料1、資料2について、山田専門調査員から、こういう順番で回っていきたいと思います。大体お一人4分から5分程度で、よろしくお願いします。

○山田専門調査員 山田でございます。
 取りまとめ、大変ご苦労さまでした。前回欠席したので、議事録をつぶさに拝見した上で、少々整理してきました。
 先ほどの中川専門調査員の意見の中で、各局が選定することについて、誰がどのように、どのようなプロセスで選定したのか、主語とプロセスは、やはり書いておいた方がいいと。
 また、もう一つ、各局で選んだものを最終的にどのような形でオーソライズするのか、そのプロセスまでなければ、これは性悪説に立つと、局側にとってやりやすいものしか挙がってこないことになるので、例えば、取組に多年度を要するものとか、執行対象の予算が大きいものとか、統括すべき人員が大きいとか。要は人件費が含まれていないので、事業費のみだと、事案の重要性が分からないという意見がたしかあったと思います。こういう観点から見て、そのようなスクリーニングを通っているものであるかどうかというような、簡単なチェックポイントのようなものはプロセスとしてあったほうがいいと思われます。
 2番目について、評価手法の2ページ目のところは、基本的には施策目標と補足指標は良いと思いますが、いわゆる補足と本体の施策目標のツリー構造をどのように説明するのかというのは必要なのかということが1点。2つ目の○、言葉だけの問題ですが、「行政の取組状況を測ることができる指標」は、少々表現的に曖昧なので、ここは何か例示を行い、分かりやすい表現にされた方がいいのではないのかと思います。
 めくって、3枚目のところでございますが、先ほどの西村構成員、また中川専門調査員の御指摘とも重複するかもしれないのですが、結局、重要なのは、この行政評価の評価を何のために実施するのかという点。いわゆるPDCAを行政的にも回していこうということでいうと、既存の政策に対して、問題があるのであれば改善案を立てるということだけではなく、そもそも初めに立てた政策の枠組みが、こういう時代の環境の流れが速い中で、目標・施策として果たして正しかったのかどうかとか、そのようなこともあわせてやるべきかと思っています。
 そう考えると、施策が多年度にまたがる場合の評価の手法は変わるのかという点。施策設定時には、施策の枠組みがおりてきたときに評価に落としたことの妥当性。途中は進捗、場合によっては目標を変える必要がある、施策そのものを見直す必要があるという評価。最後にクローズしたときは、その施策が最終的に妥当であったのかという、おそらくこの3段階になると思います。これが多年度にわたって取り組む行政評価になった場合というのは、施策が、初めのときなのか、真ん中なのか、最後なのかによって、評価の仕方等が変わるのではないのかと思っています。
 そういう意味でいうと、資料1に戻りますが、「社会が大きく変化する中で、中長期的な展望に立って」という、1ページ目の真ん中よりも下のところの考え方の下、全体的な政策が立てられていて、施策・事業があるという、三つの関係はおそらく、第1回分科会の、一番初めの目的のところで示されていると思いますが、それを改めて整理した上で、記載するかどうかは別として、その下の施策のマネジメントの強化の改善の方向性1の施策を高め合える仕組みへというところで、いわゆる施策のフィードバックと行動の促進及び施策そのものが時宜に合ったものかどうかという不断の検証のようなことを入れていただくのが良いのではないのかと、個人的には思っております。
 以上でございます。

○石田会長 ありがとうございました。
 では、大川専門調査員。

○大川専門調査員 内容が重複する部分があるかなと思います。
 まず、資料1について意見を話させていただきますと、政策評価制度の目標というのが、目的がはっきりしていないと、その後の話も変わってしまうということでした。私だけがピンと来ていないことなのかもしれないのですが、政策評価制度は、後段に続く、成果を重視した効果的・効率的な都政運営の推進と、都民への説明責任の徹底と。説明責任の徹底の方は、この政策評価制度のユニークなところなのかと思うのですが、効果的・効率的な都政運営の推進については、他の評価制度の目的と重なる部分があるのか、ないのか、読んでいてピンと来なかった部分です。
 我々はずっとこの話をしていますので、この意義というところは自分なりには考えているのですが、評価される部局からすると、これは他の評価制度と似ていると思うと、取組に対して本腰になれないといったことも出てくる。また、重複していると思うと、そもそも、この評価制度自体に対しての疑義も生じるのではと思います。もう一回確認させていただきたいと思いました。
 ブラッシュアップに向けた基本的考え方の2/2でございますけども、改善の方向性1の中で、皆様から意見として出てきておりましたが、どうフィードバックされるのかが非常に大事な話ではないかと思う一方で、そこに対する記述が、この資料だけの表面を追うと、薄いように感じます。外部に対して分かりやすく開示することは改善の方向性2に書かれておりますが、これが都内部で、また施策をやっている当該部に対して、どのようにフィードバックして使われていくのかが、もう少しはっきりしていると良いかと。
 山田専門調査員がおっしゃられたとおり、施策自体が高め合えるという意味では、施策内容だけではなく、一旦立てた目標が正しい目標なのか、そもそもの設定の項目、設定の水準、そういうところは変わってくるべきなのだろうなと私も感じました。
 続いて、資料2ですが、評価対象の○ですが、各部が政策分野から評価する施策を選定するとのことですが、ここをどのように決めたのかといったところがやはり重要になってくると思います。部だけで決めるのか、何かこれを統括する別の組織があって、「部はこう言ってきたが、全体を考えたら、こちらの施策の方が大事だ」といったような軌道修正ができるのかどうかが、気になりました。
 活動が軌道に乗ってくれば、部側でもきちんとやるようになってくると思うのですが、導入当初においては、きちんとすり合わせのようなことをできる機能、組織があった方が良いと思いました。この辺りは、民間企業で見ていますと、やはりやりやすいとか、定量的に評価しやすいといった目標を出してくるというケースがあり、それを再検討を求めることがどうしても必ず必要になってくると思います。そういった点からも、正しい目標を、制度開始当初は設定できた方が良いと思っております。
 資料2「政策評価制度の改善案」の2/3と3/3については、先ほど申し上げましたが、フィードバックといったところがどのように扱われるのかという点が一番気になっておりましたので、それは資料1「制度のブラッシュアップに向けた基本的考え方」の2/2と同じ内容だと思いますので、特に追加はございません。

○石田会長 ありがとうございました。
 出島専門調査員、お願いします。

○出島専門調査員 資料2ですが、評価の対象について、今お示しいただいているところだと、全体のユニットや局、施策の中で、この政策評価が何割ぐらいをカバーするものなのかが、少々見えづらいので、その辺りの全体像が必要だと感じました。どこまで外に見せるかは別ですが。色々と頑張っていますというように見えますが、これが結局3%のカバーにしかなっていないとか、そういった点が少々気になったので。例えば1割だったら、10年間重複しなければ、全部実施すれば一周するわけですがその辺りが気になったところです。
 もう一つは皆さんがおっしゃられているところで、選定の理由について、やはり各局が自分たちのやりやすいところを選ぶのではないかという点です。そのため、そこに恣意性を持たせない、客観性が持てるような何らかの仕組み、仕掛けがあると良いと思います。
 例えば、評価制度の担当の局からも何らかの提案をするとか、選定プロセスの中で、各局から挙がってきたものを、知事、副知事なのか、幹部の方々の中で承認するようなプロセスを埋め込むのか。各局に都合のいい形でやっているわけではないですと。実態としては色々と調整し、各局も納得する形で選ぶにしても、仕組みとしては、そうしたオーソライズの仕組み、仕掛けがあるといいと思いました。
 評価手法については、成果指標のところにSMARTの考え方を入れるといった点や、補足指標を設けるという点は私も大賛成です。必ずしも一つの指標で全て、その施策の評価ができるわけではないためです。ただ、指標として置きますが、これが必ずしもゴールではないといったようなものもあると思うので、そうしたものをやはり情報としてはきちんとテーブルに載せることには意義があると思います。
 自己評価のところですが、こちらは中川専門調査員が目標を達成していれば課題はなしという評価になるのかとおっしゃっていたところについては、多くの場合、このような制度は評価や目標設定が甘くなりがちです。そのため、運用上ですが、目標設定が甘かったのではないかという視点をここできちんと入れるような、問いや検証ができる必要があると思います。もちろん目標設定の段階で甘いのではないかという点は問うわけですが、実際それはやってみなければ、それが甘いのか辛いのか分からないということが多々あると思うので、それは検証の段階でそうした議論ができれば良いのではないかと思います。
 私からは以上です。

○石田会長 ありがとうございました。
 では、私から、資料1、資料2、まとめて改善の方向性の1について。「評価対象の重点化」について、まだやり始めたばかりの制度のため、対象を重点化することは賛成です。ただし、改善案で提示されている選定基準や施策規模の目安は、少々抽象的であり、具体的に何を示しているか分からないと感じました。
 したがいまして、これまでの構成員・専門調査員の方の御指摘のように、各局がやりやすいものを選んでくる可能性があるので、来年度以降、機能する成果重視のマネジメントサイクルを構築することのモデルになるようなものを、やはり外部有識者と総務局の御担当の事務局と各局で話し合った上で選ばれた方が良いのではないかと思います。今回も21局ありましたが、なぜこの中でこれが選ばれたのとかというものも多々あったように思いますので、やはりど真ん中のものをどんと出す。モデルで横展開できるようなより良いものを事務局が一緒に各局と汗を流してつくっていっていただけたらと思いました。
 それから、前回、分科会でも申し上げましたが、上下水道、病院、交通事業等、既に外部有識者の委員会が関与して策定した経営戦略の計画があり、さらに公営企業会計等を使って利益が算定できるものについては、評価対象から外しても良いのではないかと考えます。それこそ屋上屋を架す感じに見えますので。
 また、前回も申し上げましたが、最終アウトカムが同一の施策が複数あると思いますが、それらについては一つにまとめるほうがより良いと思います。
 次に、改善の方向性の2ですね。「成果を志向した今後の取組につながる評価内容とする仕組みへ」ということについて、資料にもありますが、今回の政策評価制度の目的は、成果を重視した効果的・効率的な都政運営の推進なので、制度の改善に当たっては精緻な評価書の作成を目的とするのではないことをきちんと言い、成果を志向した都政運営を推進する仕組みの構築をぜひお願いしたいと思います。
 単に評価書に目標と業績測定尺度や指標を記載し、実績達成度合いを示しても、現在のあり方を劇的に変革するような成果志向の都政運営に変わるとは思えません。
 出島専門調査員がつくられた成果志向の行政運営で効果を上げている広島県へと10月8日に事務局職員と一緒に私もヒアリングに行ってまいりました。この広島県のワークという仕組みでは、最終ゴールであるアウトカム達成のために、ゴールと現状のギャップについて精緻に原因を分析し、何がアウトカム達成につながる事業なのか仮説を立ててロジックモデルを作成し、その後実施事業が本当にゴール達成に貢献しているか否かを測るための指標を真剣に検討・設定し、事業を回しながら四半期ごとに実績を検証して軌道修正していくというものでした。ヒアリングをしたところ、広島県では常に職員が「目標達成のために何をすべきか、何を変えるべきなのか」を考えるという意識改革が進んでいて、大変感銘を受けました。
 評価書の作成だけではPDCAは絶対機能しないと思います。出島専門調査員の方がお詳しいと思いますが、広島県では精緻な現状ギャップ分析、課題解決の...-0[[ための仮説やロジックモデルの作成、四半期ごとの目標・マイルストーンの設定と四半期ごとの県幹部会議による執行のモニタリング、それから安易な目標設定にならないように、またロジックモデルが適切に作成されるために総務局の経営企画チームの職員が一人ずつ各局に張りついて支援をしている。さらに、現状のギャップ分析、仮説の設定、ロジックモデルの作成のためのマネジメントツール習得・理解のための職員研修を実施するなど、多様な成果重視、行政運営推進のための仕組みが構築されていました。
 まだ他にもあると思うのですが、「良いことをまねする」ことは必要です。躊躇している場合ではございません。東京都も広島県の良いところを積極的に取り入れて、総務局の行政改革課が各局とともに汗をかきながら、「成果を重視する都政運営とはどのようなものなのか」を示す。おそらく今までやっていないものをやるのですから、現場の皆さんはどのようなものかイメージがつかないと思います。したがいまして、優良モデルを一緒につくって横展開を図るとか、四半期ごとの目標設定と幹部による実績モニタリングを行う。広島県でやっているように、現状ギャップ分析、ツール等の職員研修を実施する等の仕組みをぜひ構築していただきたいと思います。
 そして、「何が何でもアウトカムやゴールを達成する」という都職員の意識改革をぜひ図ってほしいと思います。
 次に、改善の方向性の2ですね。評価書の要約版を作成することは、透明性と説明責任を果たす観点から賛成です。しかしながら、今はこの政策評価制度構築中の段階で、今までやってきたような膨大な情報を公開することには反対です。「一定の情報量」と書いてありますが、「一定」とはどのくらいの情報量を指すのか分からないので、なるべく簡便なものにお願いします。説明責任を果たす対象は大多数の都民であって、一部の研究者ではございません。全部できてしまったら精緻に出すのも良いかもしれませんが、今は策定段階です。特に行政の場合、無謬性、間違えてはいけないという考えが働きますので、無謬性を重視する行政で公開をどんどん進めると、神経を使い過ぎて負担が大きくて、非効率になると思います。
 さらに、評価書を精緻に作成することが目的化する危険性もあります。広島県の場合は、当初は公開していたようですが、今は非公開ですし、割と先進的な多くのところは、最初は全面的に公開していても、負担が大きいということで非公開や部分公開のみといったところもあります。成果を重視してPDCAをスピーディーに回していくという観点と、理解可能性を高めるという観点から、最初のうちは公開する量は最小限にとどめた方が良いと思います。
 うまくいってきたら、そのなかからベストプラクティスを公開するという、横展開のための精緻な情報を出していくというスタンスが良いのではないかと私は考えました。
 それでは、次に、資料3の政策評価の実施手順(案)について、それではまた山田専門調査員からよろしくお願いします。

○山田専門調査員 基本的に、この実施手順案は、資料2の内容を手順の形式に落としたものだと思いますが、先ほどお話があったとおり、プロセス等については、民間でこのような手順書をつくると、フローチャートや定例の記載様式、考え方、事例等を基本的には入れ、作業する方に分かりやすいような形でつくることが多いです。円滑に回していくということになるので、そういうものをおそらくこの実施手順と同時に参考資料としてつくられて、先ほど石田会長がおっしゃったように、それを使いながらこれを定着させる研修制度のようなものをあわせて構築していったほうが良いと思います。
 おそらく、私が担当者として受け取ると、一体これは何をするのかという話になると思います。資料2を見ると、ほとんど同じ内容が書いてあり、おそらくパワーポイントをワード化しただけなので、そこはもう少しやはり考えるための基本的なティップスをちょっと入れたが私は良いと思っています。
 そういう意味で言うと、資料3のP2やP3中に、点線で囲まれている部分に書いてある評価のポイントや例、参考というところの書き方が、おそらく非常に良く、こういったものがより具体的になるものと、あとは参考資料として、何度か実施する過程でよく書けた事例や、書き方について、どのように改めればが良いのかというような例が蓄積すると良いと思います。当然ですが、都庁の中でも同じ人が毎回つくるわけではなく、総務局の担当自体もおそらく変わっていくと思うので、定期的な人事異動の中で人が変わっていく中で、誰が見ても誰が担当になっても作成できるような実施手順だという位置付けでつくられる必要があると思います。
 以上でございます。

○石田会長 では、大川専門調査員、いかがでしょうか。

○大川専門調査員 資料3の位置付けは私も山田専門調査員のおっしゃられたとおりの内容だと思いますので、指摘する点は重複してしまいますが、やはりこういった新しい制度を導入しようとしたときに、制度自体の設計というのはもちろん大事ですが、導入するタイミングの仕掛けというのも同じように大事だろうと思っています。この仕掛けと言っているのが例えば研修をやるという、先ほどから話が出ているようなものやサンプル例をつくると。それは評価書なのか、施策と目標設定の記入フォームなのかについては、両方かもしれませんが。事務局を総務局が担うのであれば、自分たちで過去でも今後でも、つくるとしたらどうなのだということで、おおよそSMART要件や各局が満たしてほしい要件を全部網羅したお手本をつくり、こういうものをこういう基準で出してくださいと示すことが、まず受け手としても分かりやすく、説明する側としてもどこで悩むのかというポイントが明確になると思いますので、教えられる側、指導する側、両方にとって理解が早いと思います。
 それは仮想のものではなく、できるだけ実態のほうが良いと思いますので、そういったものを一つなり、二つなりつくるということと、それを使って研修していくということを通じ、初めの導入で大きく品質を損ねたものが上がってくるリスクを避けられるのではないかと思います。
 先ほどおっしゃられたように、当然人事異動でどんどん担当者が変わっていってしまうので、毎年である必要があるのかどうかは分かりませんが、1回やって終わりではなく、適当なタイミングで追加研修を実施していき、その内容が劣化しないようにしていく、またはブラッシュアップされるようにしていくことを続けていただくのが大事だと思います。
 導入も大事ですが、やはり繰り返しになりますが、どのように使われているのかというところが、やはり作成している側にとっては一番大事だと思いますので、やったことに対して何らかの形でフィードバックされる。悪かった場合は、何らかの形で指導や軌道修正が入るということが相当程度明確になる仕組みになっていなければ、一生懸命頑張って良いものがつくれても、だんだん形骸化してきてしまうというのがよく生じるので、導入時の仕掛けと結果のフィードバック、こちらを意識すると良いと思っております。

○出島専門調査員 大川専門調査員御指摘の点と重複するのですが、こういった手順書をつくって導入する際の研修というもの、紙に言葉を残すことと伝えていくというプロセスは非常に重要だと思います。自分自身、広島県も含めて、こういう手順書についての研修や説明を行うことがあるのですが、そのときの反省として、ゴールとしてSMART基準があり、これを活用しましょうとか、目標と実績の乖離を分析しましょうと言われると、皆「そうですね」と言って終わりになってしまいます。
 ただ、「今、皆さんが抱えている事業について、目標と現状について書き出してみましょう」とか、「そのときにSMARTゴールの視点を入れてみましょう」というようなグループワークや個人ワークを行うと、できないのです。「聞いているとできる気がしましたが、やるとできません」という話が多く、実際に導入する際の研修のやり方もそうした工夫が必要だと思います。
 したがいまして、色々と制度を整えるというのもあるのですが、そのあたりのスキルアップやコミュニケーションの時間、コストも結構必要だと思うので、その点も踏まえた制度設計が必要だとに感じました。

○石田会長 ありがとうございました。
 それでは、私から。私は、広島県のヒアリングに同行しましたので、今回の実施手順(案)を見て、事務局が意図するところは何となく理解できます。しかしながら、他の専門調査員の方もおっしゃられたように、そういった背景がない方、現場の職員が、この実施手順案を読んでも、今までと何が異なり、事務局が意図する成果重視の都政運営のゴールがどういうものなのか、イメージするのは難しいのではないかと思います。
 中川専門調査員も書かれていた「目標と実績の乖離の要因分析をする」という文言だけだと、分析のレベル感が分からないですよね。具体的に様々な分析手法や統計手法を使い、「このようなやり方もある」、「あのようなやり方もある」、「ここまで精緻な要因分析をしてください」と言わなければ、「はい分析しました。終わり」で出てきてしまったら、全く成果重視の行政運営になりません。既存の事業のやり方ではなく、今までは何の疑問も思わずにこのゴールについてはこの事業をやれば良いとずっとやってきたのだけれど、つまり、今まで本当のアウトカムに近づいているかどうかを測らないでやってきたものを、「測らなければだめでしょう」、「もしかしたらこの事業ではだめなのかもしれない」と思わせるような分析をしてもらわないと、成果重視にならないわけで、それを「目標と実績の乖離の要因分析をする」という文言だけでは、おそらく伝わらないと思います。他の専門調査員の方がおっしゃっている、目指すゴール、具体例、ベストプラクティスのようなものを、大変ですが、他県の例でも、他のNPOの例でも構わないけれど、アウトカムとアウトプットは違うんだということを示す。
 さらに、今実施している事業が貢献しているかどうかを測る。測定指標自体もPDCAで回していき、本当に貢献度が測れるものにする。成果重視の都政運営が目指すゴールのようなものをきちんと示して説明していくしかないと。時間がかかると思うのですが。
 あと、今回は1年に1回、年度末の評価という形で書かれていますが、1年に1回このような評価書をつくるだけでは、言葉は非常に悪いですが、PDCAは絶対に回らないと思います。四半期とか、一年中職員がどうしたらいいのだろうと思い続けるような仕組みをつくらない限り、都の職員の意識改革は進まないと思います。言うのは簡単で、やるのは大変なのですが、ぜひ皆さん汗をかいていただいて、良いモデルをつくって進めていただきたい。また、研修など周りから推進するような仕組みを数多くつくっていき、スキルアップしていただきたいと思います。
 議題の資料1、資料2については意見を頂いたのですが、そのほかに何か皆様から御意見、御感想等ありましたら、どうぞ。

○山田専門調査員 前回もおそらく私の意見として事務局に代読いただいたが、この取組以外も東京都の取組等を見せていただいたり、他の自治体や他の国の役所の方々とお話すると、東京都の職員の方々は非常に真面目で非常に事務処理能力が高い人たちだという認識ですが、今回のような取組については実直に仕事を積み上げていくという形では限界があると思います。
 何かというと、課題をどのように抽出してどうやって解決をするのかとか先ほど出島専門調査員がおっしゃっていたと思いますが、仮説を出してそれを解決するという、いわゆる仮説形成のためのプロセスのようなものとか。そういった全体として整理するためのロジカルシンキングとかクリティカルシンキングのようなものというのが、いわゆる行政系というのは、どうしても文書主義になったり、前年主義というところで、なぜこれがこういうやり方なのかということについて、さして疑問を抱かないということが良くも悪くもあると思います。近年の民間企業はこのような状況から脱却させるために、ロジカルシンキングやクリティカルシンキングなどのトレーニングを行ったりします。実は日本の組織運営の中でこういうことというのを、この制度を実施するのと同時に職員の、この事実的なベースの知識を上げないと、先ほど出島専門調査員が「やれと言われて、やれそうだったが、実際やってみるとできなかった」とおっしゃっていたのは、実はこの基本的なトレーニングというのをどこからもやっていないというのが一番大きな原因かと思います。実は役所だけではなく、民間企業もそうです。たとえば、中期経営計画のプロジェクトをやるときに、若手のメンバーを集めると、自分ではつくれそうだったが、初めにつくると全然できないと。何が足りないのかというと、やはり課題を分析して仮説を立てるとか、それがどのような順序で解くと最終的にアウトプットに結びついたりとか、会社がもともとの求めていたビジョンに近づくことができるのかというような、そういうトレーニングは、民間企業でもされていません。一部の大きな企業はそういうことを会社が金をかけてやっているので、言い方は悪いのですが、かなり大きな組織でそれなりの予算があるところで、そういうところに人材教育予算を割いて、底上げをしていただくことがこういうことができる一番のベースなだとお話を聞きながら思った次第でございます。

○石田会長 ありがとうございます。
 ほかには。

○大川専門調査員 今のお話に少々重複しますが、山田専門調査員がおっしゃるとおり、ロジカルシンキングは、できる人はできるが、なかなか苦手な人は苦手なままです。社会人の中で色々な人を見ておりまして、そのように思います。
 そこをできるようにするためには、プラス部分の研修も当然必要だと思いますし、有効だと思いますので、一つ考え方を変えてみると、この政策評価のプロセスを回していくことも、その研修の一つと位置付けることができるのではないかなと聞いていて感じました。
 これはつまり、誰かトレーナー役のような人がいて、書き方を指導することが初めに前提になりますが、そういったことを通じて、このように要素分解していくとか、論理のつながりとはこのようにすれば客観的に分かりやすいということが身をもって分かってくると。
 したがって、初めからすごいものはできませんが、だんだんトレーナーと作業をやっている中でできてくるようになるという意味で、政策評価のプロセスを回していくことをそういったロジカルシンキング、クリティカルシンキング、仮説思考の題材として使うということも考え方としてはあると思います。
 いきなり全部署高いレベルでできるかというのは、おそらく無理だと思いますが、だからといってそこで諦めないことが大事だということと、やっていればできるようになってくると思いますので、そういった考え方もあると思います。
 また、これ質問になりますが、この評価書で分からなかったんですが、施策のリードタイムは、10年で出してきたものと5年で終わるものなど色々あると思うのですが、洗い替えというか、どんどん入れ替わっていくのですか。そのイメージがつかめなかった。初めは「よーいドン」で行けると思うのですが、先に終わるものがあるのかなと思います。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 おそらく、全庁統一で何年というルールは特段なく、各局で行政分野ごとの行政計画というものを持っていまして、その期間で見直しをやっているようなイメージかと思います。
 また、全庁的な計画も当然あります。それは例えば10年ものの長期的なものや中長期のものでアクションプランのような3年とか5年程度の計画もありますので、計画に合わせて見直しているというようなイメージです。

○大川専門調査員 それでは、横串のようなことは、ないわけですね。ある時点でどこどこがきちんと達成できていたが、どこどこはできていなかったなど。部局間で比較する意味もあまりないのかもしれませんが、比較は困難であると。なぜならば、最終的な成果が出るタイミングというのは局、施策によって違うわけですから。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 行政分野の計画においてはおそらくそういう比較ができないのかもしれないですが、全庁的な計画であればある程度物差しがありますので、それで判断していいのかという問題はありますけれども、そういう意味ではそのスパンの中での進捗度合いというのは見ることができるかと思われます。

○大川専門調査員 それはそうですね。
 また、読めば分かるのかもしれませんが、結局21局全部やるという案なのか、重要な局なのか、先ほど意見はあったのですが、事務局としての意見が初めよく分かりませんでした。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 対象局については、引き続き我々の方で検討してまいります。

○大川専門調査員 そういう段階なのですね。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 おっしゃるとおりでございます。

○石田会長 確認ですが、もし、全部やるとしたら、55ですか。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 55はですね、今回対象とした。見える化改革のユニット数になります。

○石田会長 今回の21に対応する数として。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 そうですね。全体は、55です。

○石田会長 当初は全展開で55だが、今立ちどまって、今年やったものについて、対象を重点化するということです。今回やったものを、そのまま全部広げるということは、やらないことにしたという感じでよろしいですか。

○内藤総務局行政改革推進部都政改革担当課長 そうですね。そういう意味では、局ごとにしっかり腰を据えてやっていくものを選んでいくという。

○石田会長 ただし、また御自由に選んでというと、今年と繰り返しになってしまうので。今年も随分ばらばらだったという感じがあったので。そこは今までの意見だとやはり事務局とすり合わせをして、これからより良く機能するPDCAを回すためのモデルになるようなものを選んでほしいという御意見が多かったように思います。
 それからあともう一つ、私からも。
 前回の分科会で、既存の制度・仕組みとの関係について、各局の行政計画や実行プラン、事業評価等の既存の様々な制度がある中で、この政策評価制度が屋上屋を架すものにならないように、既存制度の目的を再定義して、さらにこの政策評価制度の位置付けを明確にしてほしいと発言しました。これについては現場の職員の納得を得るためにも、きちんと各制度は何を目指しているのか、この政策評価制度は何を目指しているのかということを一度明確に示していただきたい。
 それからもう一つ、先生方へのお願いにもなるのですが、政策評価制度という名称が良くないと思います。政策評価制度というと、成績表を1年に1回もらう、あるいはつけるイメージがあり、この名称だと、成果を重視する行政運営のPDCAを回す制度というイメージがなかなかつきにくいです。さらに事務事業評価とか政策評価は、他の自治体でもやっているが、そんなにうまくいっているものがない中で、他と比べられるのも嫌なので、これは成果を重視するPDCAを回すための本気の仕組みだということを示すようなネーミングが必要だと思います。もし、そのネーミングができないのであれば、都職員に、こういう制度なので名前を公募することも有りうると思います。今までにないものなので、公募すると、応えてくれる人はいないかもしれないですが、認知は、少しは上がると思います。まずは認知してもらうことも必要かなと。全く違うような名称にすることも手だと思います。例えば広島県は「ワーク」ですよね。出島専門調査員がつくられた名称。名付け親ですよね、「ワーク」の。

○出島専門調査員 私は、石田会長の立場で、絶対ここには名前をつけるべきだということを突きつけて、候補を色々出したのですが、全部却下され、今の副知事の田辺さんが、ワークでということで。

○石田会長 逆に「ワーク」だと、普通の人は、県職員も外部の人も分からないから、「ワークって何?」ということをきちんと定義付けをして、認知度を上げていく。また、定義に統一感があるというので、全く分からない名前をつけるというのも手だと思いますし、公募も手だと思います。政策評価というと、1年に1回終わってからのイメージが強い。本当に一番大切なことは、計画を立てて1年ではなく、1年間に何回もPDCAサイクルを回すことです。「政策評価制度」という名称だと1年に1回成績表をもらうということを意識しがちなので。例えば政策評価とネットで検索すれば、そういったものが出てしまうので、そうではないのだということを示すためにも、ぜひ名称は御検討いただきたいと思いました。

○山田専門調査員 名称は、政策評価なのですが、中身を見ると施策評価ですよね。北海道の例を事前に見てきたのですが、彼らは、総合計画(政策)を頂点にして、その下部構造に施策、事業という構造になっています。。要は事業評価を実施していて、どちらかというと事業評価を実施しつつ、それらの集積が政策とリンクしているかという自己検証用になっています。翻って東京都の今年度の取組を考えてみる必要があると思います。今回の取組は、下から積み上げアプローチですが、上の大きなアウトカムの政策目標を達成するために何の施策が重要で、それを重点的にこういう頻度で見ると言っているのか、どちらを志向しているのかというところで言うと、この政策と施策と事業を整理すべきと思われます。というのは外部からみると非常に分かりづらいので、もしかしてこの三つの言葉に引きずられると、まさに会長がおっしゃったようなことが既存でこういうフレームがたくさんあるので、かえって混乱してしまうのではないのかと私も思いました。

○石田会長 ぜひ、御検討いただきたい。また、御出席の専門調査員の皆様、この会議が終わった後にもこのような名称が良いのではないかというのがありましたら、御提案いただければと思います。
 それでは他に。よろしいですか。
 それでは、お時間となりましたので、本日はここまでとしたいと思います。
 本日の議論を踏まえて、事務局は大変だとは思いますが、再度検討いただいき、最後にもう一度分科会で議論ができたらと考えています。
 本日は本当にお忙しいところ御参加いただきまして、ありがとうございました。
 それでは、最後に事務局から連絡事項等ございましたら、よろしくお願いします。

 4.閉会
○勝見総務局都政改革担当部長 本日も御議論いただきまして、ありがとうございました。
 他制度のことですとか、これまでも御指摘いただいていますので、この制度で今何をしていかなければいけないのか、今一度きちんと整理していくという意味で、本日、基本的な考え方のところを案としてお示しして、本日も御意見いただきました。こちらのところもブラッシュアップするとともに機能する制度となるように制度としてつくり込む部分とプロセスとして仕掛けを担保していく部分等、具体的に引き続き考えてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○事務局 それでは、事務局からの御連絡でございます。
 本日の議事録につきましては、改めて御確認をさせていただきたいと存じます。
 また、今後ですが、次回の分科会、11月ごろを目途に日程の御連絡をさせていただきたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 本日はどうもありがとうございました。

17時06分 開会