第11回市場問題プロジェクトチーム議事録

平成29年8月4日(金曜)
都庁第一庁舎7階大会議室

11時03分開会

 1.開会
○事務局 ただいまより、第11回市場問題プロジェクトチーム会議を開催いたします。
 本日の会議の議事進行を務めさせていただきます、市場問題プロジェクトチーム事務局の豊田でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は多くのプレスの方々に来ていただいておりますが、本日の会議の様子は、最初から最後まで公開しますとともに、あわせてインターネット中継を行っております。
 なお、本日の会議は、タブレット端末を使用して進行してまいります。会議資料につきましては、お手元の端末内に御用意しております。会議中、端末に不具合が発生した場合は、周りにおります職員がサポートさせていただきますので、職員にお声かけください。
 何か不足等ございましたら、事務局までお声かけください。

 2.あいさつ
○事務局 それでは、議題に入ります前に、プロジェクトチームのメンバーを御紹介いたします。
 順に御紹介しますので、その場で御起立の上、一礼のほどお願いいたします。
 まず、座長の小島敏郎専門委員です。
 続きまして、井上千弘専門委員です。
 続きまして、時松孝次専門委員です。
 続きまして、梶田晋吾専門委員です。
 続きまして、菊森淳文専門委員です。
 続きまして、佐藤尚巳専門委員です。
最後に、森高英夫専門委員です。
 なお、竹内昌義専門委員は、本日、都合により御欠席となります。
 皆様、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題に入ってまいりますが、進行は小島座長にお願いいたします。
 小島座長、よろしくお願いいたします。

 3.議題
 (1)豊洲市場の土壌汚染対策について
 (2)その他
○小島座長 市場問題プロジェクトチーム座長の小島でございます。
 本日の議題は、市場問題プロジェクトチームの第2次報告書の(案)でございます。
 お開きいただきまして、
(はじめに)
市場問題プロジェクトチームは昨年の9月に設置されまして、第1回会合を9月29日に開催しました。
 今年の6月13日に、第1次報告書を取りまとめたということでございます。
 プロジェクトチームの役割というのは、知事の政策決定に必要な材料を提供すると、こういうことでございますが、今年の6月20日に、小池都知事から「築地は守る、豊洲を活かす」という、市場の機能を分離して築地と豊洲を、それぞれ発展させる。
 築地市場は5年後を目途に再開発をするということなどを内容とする基本方針が示されているところであります。
 ということで、現在は政策決定の段階を終えまして、この基本方針に従って具体的な方針が実施されるという政策実施の段階に移っているところであります。
 プロジェクトチームの仕事といたしましては、この「はじめに」の一番最後の二つの段落ですが、第1次報告書で残されていた、豊洲市場の建物の地下ピット、その他の土壌汚染対策に係る事項、ここにつきまして、専門家会議の取りまとめを踏まえて第2次報告書を作成いたします。
 このプロジェクトチームは、この第2次報告書を小池都知事に提出することによって、その役割を終えるということになります。
 早速、本題に入ってまいります。
(1ページ)
専門家会議の取りまとめ。今年の6月11日の取りまとめでございますが、三つの事項が書かれております。
 市場用地についての対応策としては、地下ピット内での水銀等ガスの上昇の防止策、2点目は、補助315号線の通路部分の水銀等ガス濃度上昇の防止策、そして三つ目は、地下水管理システムの機能強化ということであります。
 本日は、この3点、それに地下水モニタリングと、いわゆる安全・安心の議論、この五つについて進めてまいりたいと思います。
 まず第1点でございますが、
(2ページ)
 地下ピット内での水銀等ガス濃度上昇防止策についてであります。
 専門家会議の取りまとめは、「地下ピット内での水銀等ガスの侵入の防止または抑制と地下ピット内の換気を組み合わせた対策を行うことにより、将来、建物1階部分の床(コンクリート)にひび割れ等が生じたとしても、1階で空気中の水銀等ガス濃度が上昇することがないようにする必要がある。」と、この点でございます。
 この点につきまして、(2)のところですが、まず、コンクリート構造物のひび割れ、それと劣化対策というのを、まずは、それがあるのではないかということでございます。
 2ページの最後の丸でございます。「よって」というところですが、コンクリートのひび割れ、これを点検によって監視し、補修・補強対策を行う。これによって、コンクリート構造物の劣化を防止すること。それと、地下ピット内に水銀等ガスが侵入したとしても、地下ピット内で換気を行って水銀等ガスを空気中に拡散希釈することによって、1階で空気中の水銀等ガス濃度が上昇することを防止できる。
 まずは、やるべきこと、コンクリートの構造物というものの保守・点検、それと換気ということが最初にあるだろうということを述べた上で、
(3ページ)
現在、提案されている地下ピットにおける工事でございます。この工事については、三つ目の丸でございますが、この対策は、コンクリート構造物の劣化対策を講じることとした上での、念には念を入れた対策だということで、費用対効果の判断は必要ではありますが、豊洲市場の安全・安心に資する対策であるという評価をいたしました。
 このコンクリートの作業については、今後の事務当局において設計、施工ということをされるというふうに聞いております。そういう対策であるという理解をした上で、この議論を整理したいというふうに思います。
 順番にやっていきたいと思いますので、以上、まず第1の議題、地下ピット内での水銀等ガス濃度上昇防止策についての記述ですが、御発言はございますでしょうか。
 森高先生、どうぞ。

○森高氏 森高でございます。
 先ほど小島座長が仰っていましたが、この対策は、本当に念には念を入れた対策だというふうに理解しております。すなわち、1階に水銀等のガスが侵入しないようにするための対策ということで、ここに絵がございませんが、元々1階床スラブの構造は、施工のための仮設鋼製デッキを敷き詰めた上部に構造体のコンクリートスラブを打ちまして、さらに、その上に防水シートを敷いて、その上部に断熱材を敷き、最後に断熱材を押さえるシンダーコンクリートを打っているので、容易には侵入できない構造になっているということが前提になっている。それでも、もしもコンクリートスラブにクラックがいって、地下ピット内の水銀等ガスが1階に侵入するかもしれないというリスクをカバーするための対策だというふうに理解していただけたらいいかなと思いますが。

○小島座長 ありがとうございます。
 ほかにございますか。佐藤先生。

○佐藤氏 専門家会議の中で平田座長が仰っていたのですが、地下ピットの中の水銀ガス等の濃度が上がるということが一つ問題だと。
 ただ、地下ピットというのは、本来、常時人が入る空間ではありませんし、どちらかというとメンテナンスのためにある空間ですから、本来は、そういうところが、通常でしたらば、そこに入る前に換気するなりして、空気を浄化した上で作業に入るわけです。
 今回のケースも、通常の地下ピットと同等と考えれば、そういう作業に入る前に換気を行えばいいということだろうというふうに私は理解していたんですが、万全には期してということですので、こういう対策がとれるということで、私の感じとしては、基本的には換気が非常に重要であって、今回、第2案の場合は24時間換気するということで、より、常に空気に流動性を持たせて、地下ピットの中の状況をクリーンな状態に保つということが非常に大きな意味を持っているというふうに思うんです。
 ということで、コンクリートを床面に打ってガスの上昇を抑えるというのは、私の中では二次的な対策のように思います。ということで、換気を徹底するというのが非常に重要かなというふうに感じています。

○小島座長 ありがとうございました。
 ということで、プロジェクトチームの報告書としては、コンクリートの構造物がしっかりできている。しかし、点検、補修というのに万全を期す。それと、換気をしっかりやると。その上で、念には念を入れた対策としてコンクリートを打っていくと、そういう位置付けだろうというふうに整理をしております。
 ということで、これでよろしいでしょうかね。
 それでは、次の議題でございますが、補助315号線の連絡通路部の水銀等ガスの濃度上昇防止策であります。
(4ページ)
 専門家会議の取りまとめでは、「観測用人孔外側のベントナイト混合土層との境界部分からの水銀等ガスの侵入防止を図り、上部砕石層内の水銀等ガス濃度が上昇しないように対応する必要がある。また、上部採石層内の水銀等ガス濃度が上昇するようであれば、換気等を行うべきである。」ということで、道路のところは、道路部分は、汚染土壌の完全な撤去と言うと変なんですが、撤去というのが行われていない。ということで、そこから汚染物質が出てくるかもしれない。対策自身、それぞれやっているんですが、マンホールとの間に空気の間隙があって、そこから出てくるかもしれないというのが懸念材料ですね。
 (2)の二つ目の丸のところに書いてありますが、補助315号線にはマンホールが設置されていて、マンホールの外側には空気の水銀等が上がってこないようにベントナイト混合土層が設けられているが、その境界部分から水銀等ガスが上昇する可能性があると、こういうことです。
 しかしながら、6街区7街区の間の連絡通路というのは、補助315号線と接していなくて、その間には空間が設けられている。ということなので、仮に水銀等がマンホールとベントナイト混合土層との境界部分から上昇しても、空気で拡散する可能性がある。あるいは、連絡通路のコンクリートを通って建物内に侵入する可能性も少ないということでございます。
 しかしながら、(3)にありますように、この対策は、専門家会議では「ベントナイト混合土層と観測用マンホールの間にすき間を生じている可能性があるため、充填剤等ですき間を埋めるなどの対策を検討する。」と、こういうこととしておられますので、この対策も念には念を入れた対策ということで、費用対効果の判断は必要ではあるが、豊洲市場の安全・安心に資する対策であると、こういう評価をしているところでございます。
 ここについてはあまり御意見がなかったと思いますので、次に移らせていただきます。
(5ページ) 
次の論点は、地下水管理システムであります。
 専門家会議での取りまとめは、地下水管理システムの機能強化を図り、早期に目標管理水位(A.P.+1.8m)まで地下水位を低下させるとともに、地下水位上昇時の揚水機能を強化する必要がある。地下水管理システムによる地下水位上昇時の揚水処理により、汚染地下水を徐々に回収し、地下水汚染を徐々に浄化していくべきであるということであります。
 地下水位の管理ということでございます。
 これまで、豊洲市場においては、地下水位をA.P.+1.8m以下に維持する、これを目標管理水位としておりますが、これを前提にさまざまな対策を積み重ねております。土壌汚染対策の前提でもありますし、地震対策の前提でも、液状化対策の前提でもあると、こういうことになっております。
 それでは、今、豊洲市場の地下水位はどうなっているか。
(6ページ)
 これが3日の表でございますが、高いところで6街区を見てみますと、6街区の二つ目のところで3.51メートル。低いところで7街区の1.88メートルということで、大体2メートルから2.5メートルという中にあります。そういう意味では、A.P.+1.8mというのは、まだ達成されていないということになるということでございます。
 6ページの(3)ですが、このプロジェクトチームでは、まず第一に、なぜ地下水位がA.P.+1.8mを超過したのか、どういう経過であったのかということについて整理をさせていただいております。
(7ページ)
表でありますが、ここに経緯が書いてあります。
 平成28年7月・8月までは、地下ピットや外構工事で掘削した部分にたまった水をポンプで汲み上げて、仮設の排水設備により排水していました。ということで、大丈夫だと。8月から9月にかけて、地下水管理システムが試運転を始めます。本格稼働は10月からであります。
 地下ピットに侵入した経緯でありますが、②でございます。平成28年7月から8月にかけて、仮設の排水設備を撤去したため、地下水管理システムの本格稼働が始まるまでの2カ月程度、十分な排水設備がない、こういう状態になった。
 ⅲ)ですが、この仮説の排水設備撤去後に台風到来など降雨量が大幅に増加して、外構工事終了前に想定以上の雨が差し込んだ。これによって、地下水位が上昇したということでございます。
 それでは、平成28年8月の台風というのはどうだったかというのを、気象庁のホームページを見てみると、台風7号、台風9号、台風10号というように、大きな雨をもたらした台風が東京にやってきております。これが原因と、こういうことでございます。
 このことと地下水管理システムの能力ということを考えますと、これ自体は地下水管理システムが本格稼働する前でございました。地下水管理システムそのものは、A.P.+2mを越えて水位上昇した地下水を排出すると、そういうふうに設計されているわけではなく、その能力はない。
 したがって、別途ポンプを設置して強制排水を行うこととなったわけであります。つまり、地下水管理システムが稼働する段階では、それが機能を発揮する状態に、もうなかったということであります。
 ここでの課題は、そういう経過なんですが、いわゆる善良なる管理者の注意義務、これは都庁にあるというふうに都側は仰っておられますが、その善管注意義務を果たしていれば、仮設の排水設備を撤去すれば、地下水位が上昇して地下ピット内にも水が滞留するということがわかっていたんではないか。それならば、そうならないように対策をするのか、あるいは、そうなってもいいと考えていて、直ちに作業工程が想定されていて、その次の作業工程に移る、そういう準備ができていなければいけなかったんじゃないのかということを検証しています。
(8ページ)
それが①と②に書いてあることで、東京都側の管理者の注意義務という課題がある。
 8月に台風が来るというのは日本では通常のことでございますから、東京地方に大量の雨が降るというのを想定していないというのは考えられないということですので、この事態を招来した責任ということが明確化されて、今後、同様の事態が生じないような手立てが講じられなくてはならない。
 これは過去の事象でございますので、この点も今後の、同様のことがないように明確にしておかなければいけないということでございます。
 そして、今日の議題になっています地下水管理システムの機能強化ということでございます。
 地下水位を目標管理水位(A.P.+1.8m)に維持するということは、土壌汚染対策、液状化対策の前提といいますか、それをもとに組み立てられてきているので、これを維持するために地下水管理システムの機能を強化することは妥当だということを言った上で、
(9ページ)
これについては留意事項が幾つかございます。
 まず第1に、豊洲市場は液状化対策が実施されています。このように液状化対策を実施すれば、透水性が低下をするということになるわけですが、そういう液状化対策を実施し、透水性が低下している地盤で地下水管理システムによる地下水汲み上げが行われた実績はない。そういう意味では、本邦初演ということになるわけであります。
 それでは、当初の地下水管理システムはどうだったかというと、この設計は、液状化対策を実施して透水性が低下している状態を予見として、その上で目標管理水位1.8以下に維持することができるように設計されていない。時間的には、地下水管理システムの設計後に液状化対策が実施されて、そして本格稼働すると、こういう状況になっています。
 ということなので、③は先ほどの観点の問題であります。
 今後、④ですが、地下水管理システムの機能強化ということについても、これで地下水位を目標管理水位以下に維持することはできると、そういう仕様となっているか。契約そのものが個別のもの、機器の性能ということであれば、全体として、A.P.+1.8m以下に維持できるというのは一体誰が保証しているのか、どういう理由で保証しているのか。今後、機能強化してもA.P.+1.8m以下に維持できない場合、それはどのような責任関係になるのか。あるいは、それは想定した上で、どういう対策をあらかじめ準備しておくのか。そういうようなことを、あらかじめ明確にしておく必要があると。まず、これまでの経過からすると、A.P.+1.8mを越えてしまったということがあるわけですから、同じことが起こらないように、いろんな対策を準備しておく必要があるというのが④であります。
 ⑤ですが、そうはいっても、自然が相手であります。そういうことで、この地下水管理システムの主たる目的が、1階に空気中の水銀等ガス濃度が上昇していくことがないようにするということであるとすれば、建物地下の地下水位の上昇を抑制することが大切だということを考えますと、建物下の地下水位の抑制と、建物敷地外の地下水位の上昇の抑制と、こういうことを区別して対策効果を考えておくということも有用だろうと。いろんなことを考えていただきたい。
 最後の結論というところですが、これまで、無害化の議論もそうですし、この地下水位(A.P.+1.8m)の維持というのもそうですが、極めてドグマ的というと、ある基準を決めて、それを絶対基準として達成するという考えが多かったというふうに思っております。
 そうではなくて、この地下水管理システムについても、地下水位をA.P.+1.8mに維持するという性能保証のシステムではないということであれば、地下水位がA.P.+1.8mを超える場合も、あらかじめ考えておく必要がある。もっと柔軟に、いわゆるPlan Do Check ActionというPDCAサイクルを組み込んで対応するということが必要ではないか、これが有用であるという提案を留意事項としてさせていただきたいというふうに思っております。
 これが、地下水管理システムの機能強化ということに関するPTの案でございます。これについて、御意見をお願いいたします。
 では、井上先生、お願いします。

○井上氏 過去といいますか、システム稼働時の諸問題については、いろいろあったと思いますが、これはぜひ、よく解析して今後の検討課題にしていっていただく必要があるだろうと。初めての試みだったということは一つあったかなと思います。
 それで、では今度、今の地下水管理システムの機能強化ですが、今、座長のほうからも御説明があった、専門家会議の指導に基づく強化案を見ますと、一つは、現井戸のメンテナンス、これを相当やらなくてはいけないということで、そこのコストとかが少し懸念はされるところですが、ここは、今までのメンテナンスで、どういう問題があったかというところを掘り下げていただいて、対策を考えていただきたい。
 毎度、ポンプの種類の検討とか、能力の向上とかというのが必要になってくるのではないかというふうに思います。
 それから、観測井戸が、今、21本あって、それを揚水井戸にするということで、それは、その分の効果は見込めるとは思うんですが、現在58本ある揚水井戸に、プラス21ということなので、これに関しては、どこまで大きな改善が見込まれるかというのは少し疑問です。むしろ、地下ピット内の揚水ポンプ設置、こちらのほうは、かなりはっきりとした効果が見えると思います。
 それから、ウエルポイントに関しては、実績等を踏まえた検討というのを、ぜひ進めていただければというふうに思います。
 これで、管理目標として、この間の半年以上の実績から、直ちに、このA.P.+1.8mという管理目標以下というところが、果たしてどういうタイミングで実現できるのかというのは、少し時間がかかるのではないかと。先ほども座長が仰られていたように、少しこの辺は、実態を見ながら、もう少し柔軟に目標を考えながら、一つ一つクリアしていくような、そういったことを踏まえた機能強化というものを進めていっていただく必要があるのかなというふうに思います。

○小島座長 ありがとうございます。
 この豊洲の用地、液状化対策、地震の対策としての液状化対策をしたということで、地下水の動きが非常に微妙といいますか、緩やかになっていて、全体的に、その地下水位をA.P.+1.8mで管理するというのは、かなり難しいというか、時間がかかるというか、そういう観点です。
 地下水位も、これまでの経過から見ると高いところと低いところがあって、雨の浸透度の違いもありますし、たまったところが、どうやって動いていくのか、地下水が動いていくのかと、そういうところの難しさもあるということで、いろんな対策を講じてやることは必要なんだが、地面の下の地下、水の動きを見ていくということでございますので、そう簡単ではないということだろうと思うんですが、液状化対策と地下水位について、時松先生何かございますでしょうか。

○時松氏 水の流れが液状化対策で悪くなっているというような、今お話がありましたが、液状化対策も、固化したところは、明らかに透水係数のオーダーが変わるぐらい落ちますので、水の流れは悪いと思うんですが、締め固めたところは、ここに東京都が指摘しているほど透水係数が下がるのかなというふうには思います。
 それから、建物の、ピットがあって掘削されていますので、ここの地下水位を下げることが周辺の建物以外の敷地よりも重要なんですが、砂利を敷き詰めていますので、建物の中と外の水の行き来は非常に透水係数がよくて速いのではないかと思うので、理想的には、建物の下の地下水だけ早く下げたいんですが、実際には全部下げないと難しいのではないかというふうに思います。
 それから、ちょっと6ページのところで、補助315号線の高架下に関しては、ここは抜本的な液状化対策をしておりませんで、地下水位をA.P.+1.8mに維持することで、その上に空隙のある砂利層を置いて、万一、液状化した場合に、その砂利層で噴砂噴泥を吸収して地上に出てくることを防止するというような対策、考え方で行っておりますので、この部分に関しては、A.P.+1.8mにするというのが必要なんではないかというふうに思います。敷地内、建物内外に関しては、かなり液状化対策をしておりますので、今言ったように、噴砂噴泥が地震のときに出てくるという可能性はないというふうに思います。

○小島座長 森高先生。

○森高氏 少し話を整理しますと、今の地下水管理システムの機能強化の中で、A.P.+1.8m水位を確保しましょうということで、9ページの⑤に書かれていますが、要は建物下の地下水位の抑制と、それから建物敷地外の地下水の抑制、同じA.P.+1.8mのこととも意味が違っていて、地下ピットの中は、基本的には水位の上昇に伴う水銀等のガスの濃度を上昇させることを、それを抑えるのが主目的、液状化対策よりもですね。敷地外は、どちらかというと液状化対策が少し目的としては優先位が高いのかなというふうに思いますので。
 先ほどの地下ピットにコンクリートスラブを打ちますから、当然、それに加えて地下水位のA.P.+1.8mを維持しましょうということで、これは、さらに追加の対策になりますね。
 なおかつ、機能強化ということで、地下ピット内には釜場を深くして、そこに揚水ポンプを新たに設置して強制排水をするという機能を強化する案もつくられていますので、万全には万全を期せるような、そういう印象を受けました。
 
○小島座長 菊森先生。

○菊森氏 この地下水管理システムの機能強化のところは、まさに、書かれたとおりで私はいいと思います。それで、特に建物の下と、それから建物のないところとの区別をしていくということも、私も大事なことだと思います。
 最終的に、政策目標というのは一体何なのかということを考えたときに、まさに地下水位がA.P.+1.8mというふうに固定して考えるのか、あるいは、水は「入り」と「出」で決まるものですから、一時に降雨があった場合、台風などの場合などもそうでしょうが、やっぱり、どうしても、これは大幅にあふれてしまう可能性がある。
 であれば、平常時と、そういう緊急時といいますか、異常時と、異常気象時とを分けて、それぞれに管理のルールをつくっていくということが政策目標設定の上で、どうしても必要になってくるんではないかなというように思うんです。
 そういう意味では、まさに科学的に見て、地下水管理システムの許容範囲といいますか、通常、想定されている範囲を超えない場合は、まさにこのとおりでいいと思うんですが、これを超えるような降雨があった場合、それについても一定のシミュレーションといいますか、事前に、そういった考えをまとめておくことも、政策当局としては必要になってくるのではないかなというふうに私は思います。

○小島座長 ありがとうございました。当初の専門家会議の提案では、建物の周りにも遮水壁をつくるということが書いてあって、実際にはそれがないので、そういう意味では、時松先生が仰ったように、建物の中と外の水の出入りというのは、かなり自由になっているということだと思うんですが。
 もう一つ、井上先生が仰ったように、いわゆる釜場といいますか、揚水機能というのは、建物の地下のほうが、きっと機能するだろうという、そういうことを考えると、均一に、A.P.+1.8mで維持できるということが本当にずっと起こるのかという、そこにはいろんな変化があるし、菊森先生が仰ったように、最近の雨はどしゃ降りになるので、どしゃ降りで、多くの雨は流れるにしても、あるパーセントは入るし、外側の緑地の部分からはたくさんの雨が入ってくるということになって、入ったものが建物の地下まで来るのにどのぐらい時間がかかるのかとか、目標自体は、均一にA.P.+1.8mと、こう書いてあるんですが、このデータを見ても、均一にそうなるのかという、いろんな変化があり得るということが想定される。
 もちろん目標は、地下水位をA.P.+1.8mに維持するということなんですが、専門家会議の提案は、それを前提にいろいろ考えておられるんですが、本当に技術によってそういうことが可能かというのが、いろんな議論ですね。
 そういう意味では、PDCAサイクルを組み込んでおく、もちろんそれを達成するということですが、留意事項として、もう少し柔軟に考えたらいいのではないか。現実的に、このサイクルを回していって、情報提供し、対策を強化していくという、そのサイクルを絶えずやっていくということなんですが、いろんな御意見をそこら辺で整理して、少し加えたいと思いますが、平常時、異常時というか、雨の入りの話ですね。
 井上先生からあったんですけど、雨の入りの話と、それから、いわゆる透水係数という格好で、地下水がどうやって動いてくるのか、そういうことを考えて、均一に地下がなってないわけですから、そういう意味で柔軟に対策を打っていって、主として地下水、建物の下ということなんですが。
 時松先生が仰ったのはということだと思うんです。それを加えておきたいと思いますが、6ページの、時松先生が仰った道路下のところについて、これは地震対策と、こういうことなんですが、ここ自体は遮水壁の外側になるんですね。
 そこへの水の出入りというのは、基本的にはないという前提になっているので、ここ自体の対策は、別途、液状化対策上必要であると、そこは強調しておいたほうがいいと、こういうことですね、はい。じゃあ、その部分をまた、ちょっと加えておきます。
 よろしいでしょうか。どうぞ、井上先生、お願いします。

○井上氏 さっき漏らしたんですが、もちろん、今言った地下水を汲み上げる対策のほうと同時に、ここは、もう閉じられた空間で、雨水の浸透以外に地下水の入りがないので、その量をできるだけ減らすような、そういった対策というのを一つ盛り込んでいくことが大事ではないか。かなり緑地帯とかを設けられて、建屋外のところでは地下水が浸透起こる場所ができていますが、その辺のところの、地面に全部浸透させないで、それを集めて抜くような、そういった工夫というものを施して、地下水の入りを減らしていくということも非常に大事なのかなというふうに思います。

○小島座長 ありがとうございました。
 それでは、その部分を書き加えて修正をしたいというふうに思います。
 それでは、次のテーマですが、地下水の2年間モニタリングについてでございます。
(12ページ)
 専門家会議の資料によりますと、201箇所における2年間の地下水モニタリングでは、129箇所で環境基準以内、72箇所が環境基準を超えると、これが結果ということであります。
 2年間モニタリングというのは、なぜやっていたのかということですが、
(13ページ)
2年間モニタリングの意味ということで、ⅱ番のところです。
 法的な意味ですが、2年間モニタリングは、土壌汚染対策の効果を判断する。その法的な効果は、2年間モニタリングの結果が環境基準以下であれば、形質変更時要届出区域ですが、管理区分が一般管理区域、これは操業由来の土壌汚染もある。
 操業由来の土壌汚染と自然由来の土壌汚染があると、豊洲ではそういうことですが、それから、形質変更時要届出区域(自然由来特例区域)、つまり、操業由来の汚染土壌は取り除かれた、ないと、こういう区域に変更をされる。この区域区分が変更されることによって、形質変更時要届出区域であることには変わりはないわけですが、その区域については、東京ガスの操業由来の汚染はないということが確認をされる。こういうことで、その区域は、法的にも、より安全安心であることが示されると、こういう法的効果があるということであります。
 このことについては、平成10年10月15日の第1回専門家会議で、東京都環境局の土壌地下水汚染対策課長からも説明があったとおりであります。
(14ページ)
それでは、このモニタリングの結果、どうなったかということの説明をしております。
 ①ですが、豊洲市場用地というのは、区画ごとに台帳で指定されておりまして、指定されている区画は全部で3,904区画あります。このうち、923区画が自然由来特例区域で、残りの2,981区画、全体の76%が一般管理区域ということであります。
 操業由来の汚染土壌を除去するというのが、ずっと土壌汚染対策の目的ということでございましたから、この全体の76%に当たる2,981区画というのが対策の対象区画になると、こういうことであります。
 この2,981区画のうち、操業由来の汚染土壌について、さらに、上は取り除いていますから、さらに深いところについて掘削除去の措置を行っておりますが、その区画が817区画あります。全体、この2,981区画の27%ということになりますが、この区域について、地下水モニタリングの対象としたということであります。
 なぜ、ほかはやらなかったかというと、ほかは、やっても自然由来の汚染か操業由来の汚染かの区別がつかないということですから、形質変更時要届出区域の区分変更に結びつかないと、こういうような理由によって対象としなかったということであります。
 地下水モニタリングは、2年間モニタリングのほかに、措置実施、掘削除去、この措置実施前に地下水汚染が認められなかったところ、ここについては1回モニタリングをする。全部で65箇所であります。
 これに加えて、2年間の地下水モニタリングの場所が201箇所ということで、計266箇所ということで、措置の効果の確認をするということになりました。
 モニタリングの地点と、それから、形質変更時要届出区域の指定の区域との対応関係ですが、モニタリング1地点が1区画を代表するという場所もありますし、最大9区画までを一つのモニタリング地点で代表すると、こういうところまで個々それぞれあります。
 ということで、モニタリングという、この結果が、この区画の変更に、区域の管理区分の変更にどういうふうに影響したかというのが、最後、③であります。
 結論的には、平成26年11月より、266箇所で実施してきたモニタリング調査において、1回モニタリングの65箇所の全て、2年間モニタリングの201箇所のうち129箇所、合計184箇所について、地下水汚染が生じてない状態を確認しており、この結果、約300区画です。817区画のうちの37%、2,981区画の10%に該当しますが、その約300区画が一般管理区域から自然由来特例区域への変更となる見込みということであります。これが土壌汚染対策の効果判定としてのモニタリングの成果、結果と、現時点における結果ということになります。
(16ページ)
ⅳ、2年間モニタリングの正確な理解に基づいて、政策判断を行うべきというところに参ります。
 もともと、二つ目の丸ですが、無害化3条件というものを改めて見ていきますと、土壌汚染対策の目標は、そもそも「操業由来の汚染土壌の除去・浄化」ということであって、「自然由来の汚染物質の除去・浄化」ではない。
 すなわち、無害化3条件の②を見てみましても、操業に由来いたします汚染物質がすべて除去、浄化された状態というふうに書いております。そういう意味では、豊洲市場で行われてきた土壌汚染対策というのは、操業由来の土壌汚染の除去・浄化であったということがわかるわけであります。
(17ページ) 
そういう意味で、二つ目の丸からいきますと、この汚染土壌対策とその効果を判定する2年間モニタリング、かつ1回モニタリングを合わせて見ますと、「形質変更時要届出区域」の一般管理区域が自然由来特例区域へと変更される、すなわち、操業に由来する汚染土壌が除去されたという区画は、先ほど示したように約300区画、区画全体の約10%になりますが、モニタリングをしたうちの37%において効果があったということになります。
 17ページのⅴ番ですが、安全安心のための2年間モニタリングの継続の必要性ということですが、「操業由来の汚染物質を除去・浄化する」という対策自体は、安全安心に資する対策目標である。この方針は誤ってはいない。
 ただし、その無害化3条件の実現性の問題というのは、「操業に由来いたします汚染物質がすべて除去、浄化され」の「すべて」という条件、それから、「無害化した状態で開場」という、無害化の時点を「開場時」とする条件、このことについては、第1次報告書で、実現は、もともと困難なもの、できない目標を掲げたというふうに評価しておりますが、しかしながら、この方向自体が誤っているというわけではなく、その対策自体の効果は、先ほど申し上げましたように一定程度、300区画が変わるということで上がっている。
 このことについては、二つ目の丸ですが、その成果、それから、その努力をしてきたことということは、業者の方々や都民の方々に示すべきではないのかということであります。
 今後の2年間モニタリングの継続ということを提案しておりますが、土壌汚染対策の効果というものが、まだ72箇所というのが残っておりますから、この効果を今後見ていく。これは法律的には、一般管理区域が自然由来特例区域に変更されることによって、操業由来の汚染土壌は除去されたという効果判定ができるということですので、このモニタリングを継続するということは、安全安心のために有用な対策ではないかというふうに提案をしているところであります。
 続けて、安全安心の確保というところにも行って、続けたいと思います。
 まず、第1、
(18ページ)
頭ですが、法律上の安全、科学的な安全対策ということでございます。これは、第1次報告書でも述べておりますが、法律上、法令上安全、科学的に安全という、その安全ということについては、形質変更時要届出区域ということですから、これについては法令上安全と、こういうことになる。
 これで事足れりということであれば、形質変更時要届出区域指定後の一切の土壌汚染対策工事は必要なかったということになり、この場合は、当時586億円と言われ、現在は860億円を超えていますが、この土壌汚染対策の支出は当初から必要なかったということになる。また、これから実施しようとしている地下ピットの工事も不要な支出ということになるというふうに第1次報告書では述べております。
 この場合は、この土壌汚染対策支出の責任が問われなくてはならないというふうに論理的には進んでいくわけであります。
 しかし、土壌汚染対策は、生鮮食料品を扱う卸売市場においては、法律上の土壌汚染対策を超える対策が必要だということでございます。
 これは別に特別なことを言っているわけではなくて、通常の不動産取引でも、土壌汚染対策法上の対策を講じるだけで、土壌汚染がない土地と同等の価格で取引をするという例のほうがむしろ少ないという取引実務、経済価値の一般論であります。
 そういうことを考えますと、法令上の対策を超える対策が必要であったということは理解できるわけであります。
 しかし、いわゆるその時期と全てということを特定した無害化の対策については、18ページの一番下の丸ですが、「無害化」は安全安心の観点からは最も望ましい目標ではあるが、現実的に容易に達成できる目標ではないということでございます。
 地下水の環境基準の達成という安全安心方策。
(19ページ)
専門家会議の提言からまいりますと、専門家会議は、地下水については、敷地を建物下と、それ以外に分け、建物下は環境基準以下、それ以外は下水道の排水基準にすることを提言していました。
 これが、技術会議になると、敷地全体を環境基準にするというふうに変更になっているということであります。
 ただ、地下水を環境基準以下とすることの意味なんですが、いわゆる排水基準そのものは環境基準の10倍ということですから、下水道のほうで引き受けてくれるわけなので、排出する側から環境基準以下にする必要はないということになります。
 それでも環境基準以下にするということはどういう意味かということになるわけであります。一つは、そこから建物の下というふうに専門家会議で言ったのは、そこから揮発性の有害物質が上がってくることを抑えたいということが一つと、もう一つは、地下水の環境基準というのは、先ほど申しましたように土壌汚染対策の指標であるということであります。
 よく言われるように、飲むわけでもないし、そういう意味では、地下水そのものを環境基準以下にするということを自己目的化した考えというのは、あまり適当ではないということであろうということであります。それでは、どういう安全安心ということを考えるかということであります。
(20ぺージ)
市場問題プロジェクトチームの提言ということであります。
 これまでの議論の中で、非常に安全・安心問題も地下水管理システムもそうですが、硬直的な目標達成の設定、そして、その実現方法であったのではないかというふうに考えました。風評被害というのは、情報の発信をする側と、その情報を、情報の受け手がどう判断するかという相互関係であります。
 風評被害の払拭というのは、2)市場問題プロジェクトチームの提言の二つ目の丸ですが、風評被害というのは、そもそも科学的には安全だが、消費者が忌避する場合に生じる。
 「安全性の発信」というのは情報の発信側の努力でありますが、「風評被害の払拭」は情報の受信者側の受けとめ方の問題。
 そういうことを考えますと、情報を受信する人の行動との間で、情報発信の効果を測定して、また、情報発信の仕方を改善すると、そういうPDCAサイクルを構築するということが必要なのではないかと、こういう重構造で安全安心を確保していくという提案をしております。
 PDCAサイクルを構築した上で、今度は発信側として、まず何をすべきかということでありますが、①として、これまで多くの土壌汚染対策が講じられてきた。このことについて、まずは説明を、情報発信するということが第1点。それから、二つ目は、専門家会議で提案された土壌汚染対策の実施とその説明、情報の発信。それから、3番目に、
(21ページ)
今後の豊洲用地の環境測定の実施とその説明。
これは、発信側の課題であります。いわゆる安全宣言というものについて、最後の丸ですが、安全宣言というのは、人々が不安の中にいる状態、これはある。その不安を払拭できる条件が整った時点で安全であると宣言して、以後は、もう安全であるよという認識を共有すること、これが理想的なパターンであります。
 これまでも、環境汚染問題や食品汚染問題が起きたときに風評被害が起きます。そのときに、大臣などが「安全宣言」を行う、あるいは、その食品を食べて見せるというパフォーマンスが行われたことがありました。
 しかし、実際には、直ちに消費が回復するわけではなくて、一定の時間がかかるというのも事実であります。ある時点を区切って、それまでは不安だったが、以降は安全という方法が適切なのかどうかということでございますが、このプロジェクトチームとしては、そういうやり方ではなくて、安全宣言という単発的な対策よりも、継続的な情報発信とPDCAサイクルによって評価をして、そして、不安を払拭して風評被害をなくしていくという、そういう方策のほうが適切なのではないかという提案をしております。
 これから、まだ政策決定プロセスにあると思いますので、そのこともお考えいただきたいというのが提言でございます。
 以上、最後の、いわゆる安全安心ということについての提案を含めたプロジェクトチームの報告書でございます。これについて、御意見をお願いします。
 特に、井上先生、よろしいでしょうか、最初に。

○井上氏 安全安心の問題は、非常に難しい問題ではあると思いますが、最後に座長がまとめられたように、一つの何か宣言とか、そういったもので決まるものではなくて、地道な積み重ねをやっていく中で、だんだんにそのコンセンサスが広がっていく、本来はそういうものでないかなというふうに私は思います。
 あと、モニタリングのほうなんですが、地下水管理システムの稼働とも密接に絡みますが、専門家会議の提言でも、地下水管理システムで揚水しながら、そこに徐々に汚染物質が流出してきて、だんだんその濃度が時間をかけて下がっていく、それをモニタリングを続けながら、その効果を見ていく。
 これは非常に時間がかかることだと思いますが、でも、まあ確実に汚染物質の低下を、今、そういった安全安心という形で情報発信するための非常に重要な情報になっていくと思います。
 そのためには、恐らく、ただデータをモニターするだけではなくて、そこにもう少し科学的な考え方を入れて、実際に汚染物質が地下でどういう状態で存在して、それがどういう形で溶け出してくるのか、そういったことを、これはモデルを入れながらということにはなりますが、ある程度想定したシミュレーションを、モデルをつくってシミュレーションをやっていくという作業が今後必要になっていくだろうと思いますので、そういったことを含めて、今後の大きな課題になってくるのかなというふうに思います。
 以上です。

○小島座長 梶田先生、いかがですか。

○梶田氏 今回のプロジェクトチームとしての提案の中で出てきています、PDCAというのが、少し今まで、いわゆる環境とか、そういう面で使われていた言葉ではないのかもしれないので違和感があるかもしれないですが、非常に大事なことだと思っています。
 PDCAを導入するということが重要ではなくて、先ほど井上先生も言われましたように、安全宣言をしたところが、多分、安全ということの捉え方とか取り組みのスタートになる、それを、その後もどういう形で、いわゆる持続、維持していくのか。きちんとそこで担保していくのかと、そういったことを進めていくための取り組みというのも、非常に地味で地道なんですが、必要であるということをPDCAサイクルというふうな言葉を使って提案させていただいているということだと思います。
 その前段に、先ほど、2年間モニタリングという言葉もありましたが、この2年間モニタリングも、例えば、PDCAでいうところの「C」ですね、いわゆるチェックという、まさに、どういう状態になっているのかということを検証するというプロセスに置きかえて捉えることができると思います。
 したがいまして、こういった、そのPDCAサイクルということを継続的に、かつ、取り組んでいる当事者たちのよい意味での取り組みの緊張感と、こういったことに据えて取り組んでいくというのが重要なのではないかというふうに思います。

○小島座長 ありがとうございました。
 ほかに。菊森先生、お願いします。

○菊森氏 まさに、最後の、提言の結論の部分というのは、この市場問題のみならず、一般的な行政の運営の方法、方向性を左右することになるのではないかなと思っております。
 といいますのは、政策過程の中で一番難しいのが住民とのコミュニケーションのとり方、そのための手段の選び方。例えば、ネットでダイレクトにやるのか、説明会を開くのか、あるいはマスコミを通じるのか、いずれにしても、科学的根拠のある事実をもとに説明していくということが、まず必要になってまいりますし、そのような、いわゆる「説明の技術」というものが、恐らくこれから、この問題に限らず、都庁を初め全国の行政に求められていくことではないかなというふうに思いますので、これを確実にやっていくことによって、いわゆる風評被害というのが、時間は少しかかったとしても、消えていくと私は思っております。
 以上です。

○小島座長 先ほど、井上先生が仰ったケースですが、水俣病対策で、水俣湾のヘドロ対策に当たって、いろんな批判もありましたが、水俣湾に網を入れて、そこで魚がいるわけです。その魚は体内に水銀を取り込む。取り込んだ魚をとって埋める、除去する。
 つまり、魚が水銀の除去装置なんですね、ある意味では。だから、生き物が除去装置になるというのは、放射性物質でもあるわけですが、そういう格好で、水銀濃度がだんだん低下していくと。ある段階まできたことで初めて埋め立てて封じ込めをして、矢板を打つ。
 あまり高濃度のままでやっていると危ないということがあって、そういう意味では、豊洲市場でも、土壌中にある汚染物質が溶け出してきて、これを地下水の中に溶けたものを除去していく。そういうことで、これから汚染物質が増えるということはないので、そうやって除去が継続して行われる。同じようなことだと思います。
 そういう意味では、どういうふうに低下していくのか、どういうふうに、その汚染物質が動いていくのかということをモニタリングするということは大切なことだと思いますし、専門家会議が仰るように、地下水が動く要素としての地下水管理システムというのがあるんです。地下水管理システムで吸い上げると地下水が動くという、その関係を調べていくということも意味があるとは思います。
 そのことが、どういう行政目的に資するのかということをやっぱり明らかにしないと、ただやっているだけになってしまうので、その政策目標というのを明らかにして、その目標がどれだけ達成されているのかというのをチェックし、もう一回フィードバックするという、そういうことが行政一般に必要だと。そうしないと、予算をとってやっているというだけで終わってしまって、緊張感がなくなるという、そういうことだろうと思います。
 そのほか、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 時松先生、よろしいでしょうか。お願いします。

○時松氏 20ページの一番上の表なんですが、専門家会議が提言している対策のうち、換気はどういう状態でもできると思うんですが、侵入してくる汚染物質のリスクを低減するという対策をとるほうに関しては、地下水位が床付け面より下に下げないと実施しづらいと思いますので、②は、①に先行して慎重に進める必要があるんじゃないかというふうに思います。

○小島座長 ありがとうございます。
 それでは、今日の議題は以上でございますが、この際、市場PTはこれが最後でございます。いろいろ激論も交わしたところですが、政策を形成するプロセスで、知事に対して材料を提供するということは、第1次報告書でも、ある程度役割を果たしたのかとも思いますし、今後、第2次報告書も、これからの対策で検討していただく材料になるのではないかというふうに思います。
 今後は、今日、御議論いただきました何点か、主に地下水管理システムの入りを減らすという話と、それから、入りの関係ですが、平常時と異常降雨のとき、それから透水係数といいますか、地下水の移動というものを見ていかなきゃいけないということと、それから、なかなか難しい課題ではありますが、補助315号線のところの地下水というのは、また別の問題があるということのコメントを付け加えて、それから、PDCAの話については緊張感というような、そういう事柄を付け加えて修正した上で、最終報告書を作成したいと思います。
 また字句訂正したものを皆さんに、事務局のほうから流しますので、もし必要なものがあったら修正していただいて、そして確定したいというふうに思います。
 約1年間お付き合いいただきまして、本当にどうもありがとうございました。最後に何かコメントはございますか。よろしいですか。ありがとうございました。
 今後の手続等について、事務局のほうから説明はありますか。あるいは私からでしょうか。
 今のような修正を私がさせていただいて、皆さんにフィードバックして確認、確定する。それから、それを知事に報告した段階でホームページにアップするということであります。
 最初に、「はじめに」も書きましたが、この第2次報告書を提出することによって、市場問題PTは、その役割を終えるということで、会議自体は本日が最終。
 2次報告書の提出、事務手続の後、PTは解散するということで、1年間のお付き合いということでございました。
 それでは、進行を事務局に戻したいと、よろしくお願いします。

○事務局 小島座長、どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上となります。平成28年9月のプロジェクトチーム設置以降、本日まで11回にわたり活発に検討していただきました。委員の皆様、どうもありがとうございました。
 最後に、事務局から、事務的な連絡をさせていただきます。
 本日の会議の議事録及び第2次報告書でございますが、準備が整い次第、順次、都庁のホームページに掲載いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 以上をもちまして、第11回市場問題プロジェクトチーム会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

12時24分閉会

▲ページの先頭へ