第5回市場問題プロジェクトチーム議事録

平成29年1月25日(水曜)
都庁第一本庁舎7階大会議室

17時00分開会

 1.開会
○事務局 それでは、ただいまより第5回市場問題プロジェクトチーム会議を開催いたします。
 本日の会議の議事進行を務めさせていただきます、市場問題プロジェクトチーム事務局の池上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日は多くのプレスの方々にいらしていただいておりますが、本日の会議の様子は最初から最後まで公開しますとともに、あわせてインターネット中継を行っております。
 続きまして、本日の配付資料の確認をさせていただきます。机上に置かせていただいておりますが、順に、会議次第、出席者名簿、配席図、会議資料が5点ございます。資料1「市場問題プロジェクトチーム経過報告」、資料2「第5回市場問題プロジェクトチーム」、資料3「豊洲市場の事業継続性について」、参考資料「東京魚市場卸協同組合発行資料」、資料4「閉鎖型の売場の設計を行う上で配慮した事項」までの5点でございます。何か不足等ございましたら、事務局までお声がけください。

 2.あいさつ
○事務局 議題に入ります前に、プロジェクトチームのメンバーを御紹介いたします。順に御紹介いたしますので、その場で御起立の上、一礼のほどをお願いいたします。
 まず、座長の小島敏郎専門委員でございます。

○小島座長 小島でございます。

○事務局 続きまして、井上千弘専門委員でございます。

○井上委員 井上です。よろしくお願いします。

○事務局 続きまして、佐藤尚巳専門委員でございます。

○佐藤委員 佐藤でございます。よろしくお願いします。

○事務局 次に、梶田晋吾専門委員でございます。

○梶田委員 梶田です。よろしくお願いします。

○事務局 次に、菊森淳文専門委員でございます。

○菊森委員 菊森です。よろしくお願いいたします。

○事務局 次に、森高英夫専門委員でございます。

○森高委員 森高でございます。よろしくお願いします。

○事務局 次に、森山高至専門委員でございます。

○森山委員 森山です。よろしくお願いします。

○事務局 皆様、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議題に入ってまいりますが、これ以降の進行は小島座長にお願いいたします。
 小島座長、よろしくお願いいたします。

 3.議題
 (1)豊洲市場の事業について
   ア 豊洲市場の事業継続性
   イ 業者の負担と事業継続性
○小島座長 それでは、早速議事に入りたいと思います。
 まずは、市場問題プロジェクトチームの経過報告、資料1でございます。この資料は、今日の午前中に知事に御報告をさせていただきました。基本的には、東京都のホームページに掲載されております資料と議事録、これを課題別に整理し直して編集したということでございます。つけ加えているところはほとんどございませんが、何カ所かつけ加えたものがあります。いわゆる座長コメントというところでございます。
 スライドの30でございますが、つけ加えたところだけ御説明をいたします。第2回目の議論で、6街区のコンクリートの厚さが設計上は10ミリで実際は150ミリだったという問題でございますが、この議論の中で座長コメントのところでございますが、本件は、申請者による構造計算書の誤りであり、審査機関もその審査に当たって見落としをしたところが問題になったということですが、高野氏の指摘によってこの是正措置を講じるということで、それで結構ですと、こういうことになった。上に高野さんの議事録の発言がありますが、全体に比べると本当に限られた比率ですので、私も基本的に大きな影響はないと考えていると。この手続に当たっては、東京都の当局から国土交通省のほうにも照会をしていただきました。自治事務でございますから判断は東京都が行うということですが、御相談にも乗っていただいたと、こういうことで万全の手順を踏んだというふうに理解をしております。
 それから、次の、700㎏/㎡の床の積載荷重についての議論を行ったところでございますが、44枚目のスライドでございます。これもコメントを入れておりますが、床が抜けるんじゃないかという業界の業者のお話がありました。これは抜けるという議論はなされないわけで、大丈夫だと、こういうことなんですが、床用の積載荷重を700㎏/㎡とした設定根拠というのは、御説明を聞いた限りでは、ターレを使用することを基本として荷重を算出して、それを東京都として妥当と判断したものと理解をしております。市場としての床の積載荷重というのは、市場の利用方法に規定をされると。利用方法が異なれば、それに対応した床用の積載荷重が設定をされるということで、ここについては、使用方法が日建設計がお調べになった形であれば問題はないと、こういうことでございます。
 それから、次に、地震の関係のところの問題でございますが、どこを基点に計算をするのかという問題についてでございますが、57枚目のスライドでございます。座長コメントということで、PTとしては、建築基準法の扱いは行政当局の判断に委ねる事項と、こういうところが結果だと、合意だったと思いますが、それで建築基準法の担当局は、同様の構造となっている5街区、7街区について、法令上問題ないと。この俎上に上げたのは6街区でございますが、5街区、7街区は既に終わっていると。こういうことでございますので、建築基準法の担当局は既に問題はないという判断をしたと。その上で、この議論は構造安全性をどう考えるかという専門家の間の議論というので、その議論は別途整理をするということでございました。
 別途整理の議論についてでございますが、スライドの99枚目をご覧ください。議論がございましたが、森山専門委員の御意見も、この建物は擁壁で建物が切れているので疑問が残っていますが、法律的な最終判断はPTではなく建築主事の方に決めていただければよいと。こういうことで、法律の話と切り離すということでございまして、建築基準法上の扱いは行政当局の判断に委ねる事項と。前回のことを再度確認をしたということが、座長のコメントとしてつけ加えたものでございます。あとはインターネットでホームページで公開をされている事項を見ていただければ補足ができると、こういうことでございます。
 ということで、経過報告をいたしましたということで御紹介にとどめておきたいと思います。
 さて、今日の課題でございます。今日は、事業の継続性ということでございます。
(資料2 2ページ)
 第5回市場問題プロジェクトチームで、市場・業者の経営の持続可能性の検討はなぜ必要かということでございます。この前提として、少し説明をさせていただきます。
(資料2 3ページ)
 業者の負担と事業継続性、豊洲の事業継続性と、こういうことですが、豊洲移転後の業者の費用負担額はどうなるのかという問題と、市場会計への影響はどうなるのかと、これが主な関心事項でございます。
(資料2 4ページ)
 最初からお話をしておりますが、PTではどんな順番で検討をしていくのかということで、予告しておりましたとおり、第5回PTでこのお金の話をいたしますと。
(資料2 5ページ)
 なぜこんなことをするかということでございますが、知事が豊洲に移転をすると、こういう場合には卸売市場法による農林水産大臣の認可が必要でございます。この第10条では第2項、第3項、第4項とございますが、第2項では、農水の審議会で、豊洲市場については安全性の視点を含め、生鮮食料品等の卸売の中核的拠点として適切な場所に立地をすることということで、土壌汚染の問題も議論をするということがございます。それから3項で、業者の経営が適正、健全であること、4項で、市場経営が適切、確実であることと、こういうのが認可の基準でございますので、このことの確認が必要だと、こういうことでございます。
(資料2 6ページ)
 こういう農水の市場移転許可の認可基準ということを離れましても、中央卸売市場に対して農林水産省はどういう指導を行っているかというのが、この農水省の通知でございます。ここにも適正かつ健全な市場運営の確保ということで、市場運営の確保とあわせて中央卸売市場の関係事業者の経営の健全性が確保されることが必要だというふうに述べております。こういうコンテクストの中で、この経営の持続性、業務の持続性ということを検討いたします。
(資料2 8ページ)
 さて、東京都の話でございます。中央卸売市場の経営責任の仕組みがどうなっているかということでございます。卸売市場について、業界の方々が東京都と市場業者の共同事業体であるというお話をされます。では、どういうふうな運営責任の分担になっているのかということでございます。これを法律的に整理をいたしますと、卸売市場というのは地方公共団体が開設をする公の施設でございます。行政法の感覚からいいますと、卸売市場というのは東京都が管理する土地であって、この市場は東京都の行政財産だと、行政目的に使う財産であると、こういうことでございます。その市場で働く方々に対しては、業務許可が与えられます。講学上の行政処分でございます。その業を行うということで許可を与えられた方々が市場施設を使うと、市場施設の場所等を指定する、東京都が指定するわけですが、これも東京都が業者に対して行う使用許可の行政処分と、こういうふうに行政法的には理解ができるということでございます。東京都は処分庁としての責任を果たさなければならないと、こういうことでございます。
(資料2 9ページ)
 これを業者の側から見ますと、業者は使用許可を得て初めて卸売市場を使用することができますし、業者の義務というのは、使用許可、業務許可の許可条件に従って市場を利用することでございます。お金の関係でいえば、使用料、それからみずから使用する水光熱費を払うということになります。これが法律的な整理ということでございます。
 前回、第4回のPTで議論したコールドチェーンと衛生管理の中では、東京都の施設整備計画で、東京都が実現する、主語は東京都ですけれども、こういうものをやっていきたいと、そしてその実現のために、東京都の役割は条件を整備することだということでございました。そして実際に温度管理や衛生管理は業者が行うと、こういう役割分担であるということでございました。
(資料2 10ページ)
 10ページは、そのことのエビデンスでございまして、平成24年8月の豊洲新市場の施設整備計画でございます。閉鎖型の市場を作って一貫した低温での温度管理の実現を目指す。主語は東京都でございますね。それから、HACCPに準じた衛生管理の考え方を導入するということになっております。
(資料2 11ページ)
 ここから疑問がいろいろありますが、それでは、東京都は各卸売市場の経営責任を果たせる仕組みとなっているかということでございます。現時点において11の卸売市場がございます。どういう経営状態になっているかということで、11の卸売市場ごとの経営データを整える、そして経営分析を行い、経営戦略を明確にするということが必要だろうと。こういうことで、まずは11の各市場の経営データはどうなっているかということについて、市場のほうから御説明をいただきたいと思っております。
(資料2 13ページ)
 次の課題でございます。まず、市場のほうからでございます。豊洲市場が開場した後、卸売市場、業者の経営は持続し得るかということで、まず、市場会計は持続できるかというテーマでございます。
 平らかに考えてみますと、今、東京都は11の中央卸売市場がございます。これの収支が、年間おおむね180億円から200億円程度で回っております。この経営体が、豊洲市場ということで5,884億円を投資いたしました。こういう投資をした段階で、この企業体というのは本当にもつのかということが課題でございます。民間会社で200億程度で回っている会社が6,000億の投資をして稼ぐというのは考えられないわけでございますが、公のために必要だということで、そのことについてどういうふうに考えていくかということでございます。
 豊洲市場では、築地よりも多くの水産物、青果を取り扱うというのが目標になっております。水産物は1.37倍、青果は1.19倍、この増加をすると、これが計画目標でございます。計画目標は達成できるのか、そして、達成できたとしても5,884億円の投資に見合うのか、開始、開設をすることによって市場会計自体が揺らぐことはないのか、こういうところが質問でございます。
(資料2 14ページ)
 14ページでございますが、大体180億から200億ぐらいで回っているということのデータでございます。
(資料2 15ページ)
 水産物の取扱数量というのが減少傾向にあるというのが15枚目のスライドでございます。
(資料2 16ページ)
 青果でございますが、青果全体の取扱量は横ばいでございますが、それは大田市場が支えているのであって、築地の青果は下降傾向にずっとあると、こういうことのグラフでございます。
(資料2 17ページ)
 17枚目のスライドは、全国の卸売市場の動向ということで農林水産省のデータでございますが、全国的に見ても、水産、青果とも卸売市場経由率、取扱金額が減少傾向にある、こういう中で、豊洲という巨大な市場、投資をした市場を開場するということの財政、会計的な意味を考えると、こういうことになると思います。
(資料2 18ページ)
 豊洲市場はなぜ5,884億円になったのかと。建設費については、入札の経過を内部統制チームで検証中でございます。この数字は2016年10月ということで更新をしておりますが、建設費、入札の経過を内部統制チームで検証をしております。土壌汚染対策費用と用地取得費でございます。これはどういうふうに物事を通常考えるかということでございますが、土壌汚染がない場合の土地の価格、これを仮に100としますと、土壌汚染をしている土地の価格、これでいうと大体60ぐらいでしょうか、60億円ぐらいになるのかなと、こういうことですね。なぜそういうふうになるのかというと、対策費用とスティグマというものが土地の価格に入ってくる。いわゆる対策費用というのが、安全の対策費用でございます。スティグマというのが、安心の対策費用でございます。土地の値段はそういうふうに決まっております。例えば家でも、何か事件があったところの家賃は安いというようなのが通常の不動産取引でございます。このスティグマというのは、生産者側、あるいは土地を貸す側からすると、物には変わりないんだからこんなこと考えないでくださいねと、こういうことになる。単に嫌悪感というのは風評被害だと、こういうことになりますが、物を買う側、借りる側からすると、消費者の選択ということになります。問題の難しさは、その消費者の選択というリスクを受けとめるのは生産者であって学者ではないと、こういうことでございます。
(資料2 19ページ)
 豊洲市場の設置費用5,884億円の手当てはどうなるのかということで、まず、既にかかった費用、5,884億円はどうやって手当てをするのかというところの御説明をいただくことになります。
(資料2 20ページ)
 これからかかる費用でございます。これからかかる費用、大きく分けて三つあります。一つは建物建築費の減価償却であります。建設費2,744億円と、こうなりますが、この減価償却費をどういうふうに賄っていくのか。これがないと、建物を使い切った後にそれで終わりということになってしまうわけでございます。それから建物、設備の改修費、これは一体幾らなのかと。それから、常々話題になっておりますランニングコスト、維持管理費でございます。現在、築地市場の維持管理費が15億7,152万円ということでございます。豊洲市場は76億5,814万円でございます。この差額は、豊洲市場が開場すると61億弱ですね。60億8,662万円という維持管理費が新たにかかってくるということでございます。巷間、今まで1日500万円もかかって、これは無駄ではないかという議論があります。これに365日を掛けますと18億3,595万円になります。これと今築地のお金を足しても、その差額は42億5,067万円になります。豊洲が開場した後は、今よりももっとお金がかかるということでございます。
(資料2 21ページ)
 それはさておきまして、約61億の負担増と。この約61億というものを、この市場会計の中にどういうふうに吸収をしていくのかというのが課題でございます。まず、管理費は大体100億ぐらいで回っております。これに61億円の増分が加わるということになります。減価償却費は50億程度で計上をされております。これに豊洲の減価償却費が加わっていきます。現在、経常損益はほぼ若干の黒字で推移しておりますが、これがどういうふうになっていくのかということが課題でございます。
(資料2 22ページ)
 豊洲市場のライフサイクルコスト、いわゆる長期修繕費用の試算でございます。JSCAの解説によりますと、ライフサイクルコストというのは、初期費用、建物のコストを考えるときに初期の建設費のみを対象に判断しがちでありますが、建物の使用期間というものを考えると初期建設費は一部にしかすぎないと、今後大きな地震が起きたときの補修、修繕費用など、将来の費用を含めたライフサイクルコストの視点から建物性能を考えることが重要だというふうに書かれております。
(資料2 23ページ)
 そのことは国のほうでも当然考慮されておりまして、総務省の、旧自治省でしょうかね、総務省の公共施設等総合管理計画策定指針というものの中に、公共施設等の維持管理、更新等に係る中長期的な経費や、これらの経費に充当可能な財源の見込みというものをちゃんと把握しなさいということになっております。
(資料2 24ページ)
 さて、大体どの程度だろうかと、これからですが、24ページはゼネコンの事務所ビルを例にとったものでございますが、事務所ビルだと初期建設費は、LCC、ライフサイクルコストの20%程度、建設費の4倍以上の運用費用が発生をしますというような、おおむねこんな感じなんですよと、個別では全然関係ないですが。
(資料2 25ページ)
 25ページは、これは設備のほうですね、ライフサイクルコストのイメージと。古い設備を使っていると、水光熱費がかかって余計お金がかかりますと。ですから、新しい設備にかえて省エネ効果、それを高めるとランニングコストは改修前よりも大幅に下がる。だからしっかり改修をしないと、結果的にはランニングコストが上がってしまうことになるんですよということが25ページのことでございます。
(資料2 26ページ)
 業者の経営は持続できるかと、これはまだわからないところがございますが、今日明らかにしていただきたいと思いますが、まず施設使用料でございます。市場全体の施設使用料はどういうふうになるのか。この間、豊洲市場の使い方はどうなっているのかということを何回も出していただいております。豊洲市場の使用指定面積、お金を取って貸す面積は22万1,070平米ですね。建物でいくと42%になります。逆に言うと、市場全体で負担する割合というのが58%ということになるわけでございます。これを敷地面積で考えてみますと、敷地面積は約41ヘクタール、4万7,000平米でございます。1階の延べ床面積、それから千客万来施設などの貸付地、それから緑地等の貸付地を除きますと、大体12万1,638平米、全体の30%ということで、これが、11の市場全体で使用料を負担すると、こういうことになる面積でございます。
(資料2 27ページ)
 27ページ目のスライドは佐藤委員に作っていただきましたが、中核的な施設である5街区、6街区、7街区、これを除いたこの面積は54.8%。逆に言うと46%がその他の施設ということですが、いろんな建物がございますので、この建物を除いていくと30%というのが先ほどの議論ですね。維持管理費用、一体幾らになるのかというのは、今日御説明を願いたいと思っております。
(資料2 29ページ)
 基本的な質問ということで、これまで説明をしてきた中央卸売市場の経営責任の仕組み、それから豊洲の開場後、市場業者の経営の持続可能性はどう考えているのかと。そしてもう一つですが、民間的経営の視点から考えてどうなのかということでございます。一つは、最初に申し上げました、11の市場の経営収支が大体180億から200億円程度の規模の経営体。この経営体が5,884億円の投資をしたと、このことの合理性についてどう考えているかと。2番目が、経営責任を明確にし経営感覚をより高めるため、指定管理者制度の、民間活力と昔は言っておりましたが、こういう制度の導入などについてどう考えているかということでございます。
(資料2 30ページ)
 最後は、第6回、次回のテーマでございます。次回のテーマは、築地の補修と、こういうことでございます。
(資料2 31、32ページ)
 かつての築地再整備計画ですね、3,400億円、工期20年と言われたものでございますが、まさに再開発というもので、歌舞伎座のビルのようなものが、でんと建っているという、こういうものでございます。この計画については、次のスライド、種地が確保できない、時間と費用がかかる、業界調整が難航ということで、これはできないということでございます。
(資料2 33ページ)
 家主の責任としての築地市場の補修ということで、屋根の雨漏り、排水溝の目詰まりなどなどたくさんあって、この補修をしなきゃいけない。それから耐震工事を行うということで、こういうことでございますと、いわゆるリノベーション、耐震性、耐久性や機能を高める大規模な改修を行うことにより価値を向上すると。農水省のガイドラインなども、既存の市場について機能を高めると、そういうある意味ではリノベーションの範疇に属することを推奨しているということでございまして、次回はこのことについて検討をすると、こういうことでございます。
 以上、私のほうから今回の論点というものを御説明しておりました。これに対して市場のほうから、その答えを含めて御説明をお願いいたします。

○移転調整担当課長 新市場整備部の移転調整担当課長をしています竹村です。よろしくお願いします。
 私の方からは、まず、豊洲市場の取扱数量について説明をさせていただきます。
(資料3 3ページ)
 計画上の取扱数量ですが、前回この会議の場で、築地市場の取扱数量が年々減少傾向にあると、それについて、豊洲市場の建物の設計にどのように反映されているのかという質問を受けております。それに対しまして都からは、目標の取扱数量は、平成16年に策定しました基本計画、これに定めたものであるということと、減少傾向にあります取扱数量につきましては、ここに示します5つの増加要素、これを基本に今後取り組んでいくという説明を差し上げました。
(資料3 4ページ)
 実際に築地市場の取扱数量ですが、まず水産物ですが、グラフのうちの棒グラフ、これが年間の取扱数量、目盛りとしては左の方になります。それと折れ線グラフ、これが1日当たりに平均した取扱数量ということで、目盛りとしましては右側の目盛りということになります。1日当たりに平均した計画数値2,300トン、これを超えている平成14年の年間取扱数量と平成28年の年間取扱数量を比較しますと、現状3割強減という状況にあります。要因としましては、国内漁業生産量の減少、魚離れ等の消費者の嗜好の変化、あるいは市場外流通へのシフトなどが考えられます。
 築地市場で見ますと、ここに示します3つの問題点があると考えております。一つ目が、施設が狭隘・過密化ということで、駐車や荷捌きスペースの不足、あるいは加工等の新たな業務需要に対応できないというスペースの問題が一つ目にあります。二つ目としまして、施設構造が鉄道輸送時代のものでありまして、現状のトラック輸送におきましては車両動線が錯綜するという物流面の問題があるというのが二つ目です。三つ目としましては、高温、風雨の影響等による被害を受けやすく、温度管理も不十分という品質・衛生管理の問題があるということを考えております。
(資料3 5ページ)
 続きまして、青果物ですが、こちらにつきましても、1日当たりに平均した計画数値1,300トンを超えている年、平成14年の年間取扱数量と平成28年の年間取扱数量を比較しますと、約3割減という状況にあります。要因としましては、市場外流通へのシフト、あるいは他市場との競争等が考えられます。築地市場における問題につきましては、水産物と同様に、スペースの問題、あるいは物流面の問題、あるいは品質・衛生管理の問題があると考えております。
 豊洲市場におきまして、この先ほどあげました築地市場の問題、これを我々としましては築地市場の弱みと捉えておりまして、この築地市場の弱みを豊洲市場でいかにして改善して、水産物、青果物の取扱数量を増やしていくかということが必要と考えております。
(資料3 6ページ)
 このペーパーに示しますとおり、まず、市場取扱数量の増加という取組としまして5つ示しております。このうちの①から③、これが、先ほどの築地市場の弱みを改善しまして豊洲市場での強み、主となる取組というふうに捉えております。
 一つ目が、効率的な物流の実現ということで、駐車スペースの確保、場内に外周道路を設置、物流動線を整理、売場近くに荷捌きスペースを配置、これは建物の中になりますけれども、これらの取組によりまして、築地市場において狭隘化によって現在発生しておりますトラックやターレ等の動線の混在、あるいは路上の至るところで荷作業を行っていることによって発生しています物流動線の阻害等の問題を解消することになり、産地等の事業者あるいは買出人の方が利用しやすい市場になると考えております。また、市場業者の取組としまして、水産卸7社が共同で場内物流事業会社を設立しておりまして、築地市場で現在、人海戦術的に7社個別で行っている物流作業を一本化しまして、豊洲市場におきましては、場内の荷作業の時間の短縮化等を図るということを考えております。
 二つ目、閉鎖型による品質管理面の優位性ですが、都が、まず高度な品質・衛生管理が可能となる施設を整備しまして、その中で市場業者が品目ごとに適温管理を実施するとともに、5街区の青果棟に自動立体低温倉庫を設置、あるいは6街区及び7街区の冷蔵庫棟に低温管理された加工室を配置するなどしまして、品質・衛生面の強化を図っております。また、閉鎖型の施設ということで、高温、風雨による品質劣化や、鳥、小動物からの被害を防止することも可能となっております。
 三つ目ですが、加工パッケージの整備によるニーズの取り込みということで、5街区青果棟3階に加工パッケージ施設、あるいは6街区に加工パッケージ棟を整備しておりまして、専門小売店及び食品スーパー等が求めております省力化、在庫縮小等のニーズなど、業務の新たな需要に対応できるという設備を整備しております。この他に、既に新たに市場業者が取り組んでいる事業ですが、まず、水産仲卸業者の組合が、組合の事業としまして輸出プロジェクトというものを開始しております。既にアジア及び欧米諸国等の海外のバイヤーを招きまして、交流会を数回開催しております。また、卸会社が5街区青果棟の1階及び7街区の水産卸売場棟の3階にテストキッチンを設置しておりまして、これによりまして産地及び取引先との商談の場、あるいは取引先が消費者を相手にヒアリングする場の提供ということでの活用を考えております。さらに、水産仲卸業者の組合がもう築地市場で始めておりますが、インターネットを活用した商品販売を実施しております。豊洲市場におきましては、さらなる販売経路の開拓あるいは拡大を図っていくということを考えております。
 最後に、市場内の物流量の増加についての取組について説明を差し上げます。他市場との連携、いわゆるハブ機能の強化、または首都圏の流通機能の拠点となります転配送センター、これを7街区に整備しております。この転配送センターを運営します輸送会社、これが既に物流協同組合を設立しておりまして、豊洲市場におきましては、築地市場で各社個別に行っているものを共同化しまして、業務の効率化を図るということを考えております。これらの取組を東京都と市場業者が連携して行うことによりまして、豊洲市場による取扱数量の増加に向けて取り組んでいくということを今考えております。以上です。

○小島座長 次、お願いします。

○財務課長 財務課長の大谷です。よろしくお願いいたします。
 続きまして、市場会計について御説明いたします。
(資料3 8ページ)
 まず、市場会計の仕組みと現状でございますが、中央卸売市場会計の仕組みとして一応3点上げてございます。一つは、独立採算を原則としていること、もう一つは、市場使用料を主な収入としておりますということです。三つ目が、収益的収支と資本的収支の2本立てで構成していると、こういう仕組みでございます。おさらいみたいな形ですが、御説明いたしました。
(資料3 9ページ)
 市場使用料を主な収入としておりますが、東京都におきまして一般会計から市場会計への繰り入れをしていただいておりまして、二つございます。一つは一般会計補助金でして、こちらは、公正取引の実現を目的とした業務などの行政的経費につきまして、その財源として充当しているものでございます。二つ目が一般会計出資金でございまして、こちらは、企業債の借りかえ分を除く企業債償還金の2分の1の額につきまして繰り入れを受けているものでございます。ですが、こちらは平成5年度からその繰り入れを停止しておりまして、現在も繰り入れはないという状況になってございます。参考までに、総務省の通知もつけてございます。
(資料3 10、11ページ)
 続きまして、市場会計の現状、平成27年度決算の表をお示ししてございます。先ほどの収益的収支と資本的収支、あと損益計算書、貸借対照表、キャッシュフロー計算書をお示ししてございます。参考までに、損益計算書の過去10年分をこちらに掲げておりまして、先ほど座長からも御説明いただきましたが、経常損益は平成12年度以降、若干でございますが黒字を維持しているというような状況でございます。
(資料3 12ページ)
 次に、市場会計の特徴について3点御説明いたします。
 一つ目ですが、東京都は中央卸売市場を11市場持っておりまして、11市場を一体として捉えて事業運営をしているというところでございます。こちらは、11の中央卸売市場が東京都という同一の開設区域におきまして、大田市場のように首都圏の基幹市場としての役割を担っている市場や地域のニーズに対応した役割を担っている市場などが相互に補完しながら、一体として都民へ生鮮食料品等を供給するという機能を発揮しているというものでございます。そこに書いておりますように、財政運営につきましても11市場を一体的に捉えておりまして、市場使用料につきましては、原則として全市場同一の料金体系を適用しているというものでございます。
 二つ目の特徴ですが、卸売市場の公共性と市場使用料の特性ということでございまして、まず卸売市場は、御承知のように、生鮮食料品等の円滑な供給と消費生活の安定を図り、公正かつ迅速な取引を確保するという公共的な役割を担うものですので、事業運営に際しては収支均衡ということで、どんどん儲ければいいというようなものではないですよということ、当たり前のことですが書いてございます。また、使用料の特性としまして、市場使用料の改定は市場業者さんの負担に直結するものでございまして、よって経営に大きく影響を及ぼすというものでございますということを、これも一応書かせていただいてございます。
 三つ目の特徴といいますか、施設整備についてですが、施設整備は、東京都卸売市場整備計画、これは5年ごとに策定しているものでございますが、こちらに基づいて整備を行っているというところでございまして、その整備の財源につきましては、資本的収入と損益勘定留保資金、建設改良積立金などを充てているというものでございます。
(資料3 13ページ)
 続きまして、豊洲市場の整備とその財源ということでございまして、こういった市場会計の特徴を持って運営している中、今回、豊洲市場を整備いたしまして、現在の事業見込み額としましては合計で5,884億円というのを見込んでございます。その財源をどのように手当てするかというようなことがこの表に書いてございますが、既にこの事業費に充てた資金としまして1,628億円、国からいただいた国庫交付金が208億円で、既に発行している企業債、昨年度までに発行している企業債が2,627億円と。差し引きした残りの1,421億円につきましては、今年度発行する企業債、あるいは私どもで持っている保有資金、こちらで賄うというような計画でございます。ただ、企業債は言うなれば借金でございまして、こちらは返済しなくちゃいけないということになりますので、その返済につきましては、私どもの会計で持っております保有資金と、築地市場の跡地の処分収入が今後見込まれますので、それで賄っていくというようなことを想定しているということでございます。
(資料3 14ページ)
 続きまして、各市場の収支ということでございますが、こちらは市場の状況を検討するために、試算ということで市場ごとの収支を作ってみました。まず、書いてありますように、27年度決算額、こちらの11市場、築地市場から葛西市場までは平成27年度の決算額を示してございまして、豊洲市場はまだちょっと決算も何もないものですから、当方で試算しました概算額、これに基づきまして収支を試算してございます。こちらなんですが、まず27年度決算で見ますと11市場全体の収支は黒字ということで、これ全部足しますと若干の1億数千万ぐらいのプラスになるというふうなところでございますが、こちらは一応、条件にありますように営業損益ベースで市場財源分のみを拾って足し上げたものでございます。なお、この各場だけでなくて新宿にも庁舎がございまして、そこでもいろいろ経費がかかってございますので、その費用につきましては、各場の市場使用料に案分するという形でとりあえず割り振っているという前提で収支を作ってございます。
 先ほど、豊洲市場の整備費用につきましてはこういった財源で手当てしますというようなお話をしましたが、実際の日々の運営を見ますと豊洲市場は収益よりも費用の方が大きいということで、この費用について、どういった形で会計上影響されてくるのかというようなことを次に説明していきたいと思います。
(資料3 15ページ)
 なお、これ参考までですが、今の収支は減価償却を含めた収支試算だったんですが、こちらが減価償却費を除いた収支試算ということで、参考に表を差し入れてございます。
(資料3 16ページ)
 まず、長期的な収支の試算の検討をお読みする前に、座長からお話のありました豊洲市場の長期修繕費についてなんですが、こちらの試算について御説明いたします。長期修繕費の試算については、今回3パターンで試算を行いました。一つ目は、国交省監修の建築物のライフサイクルコストのマニュアル本に基づいて試算したものでございます。二つ目はこちらですが、大田市場の修繕費実績に基づいて試算したものでございます。三つ目が、国際展示場の修繕費実績に基づいて試算したものでございます。
 なお、一つ目の試算においては卸売市場のモデルがございませんので、一般的な事務所建築物と仮定しております。二つ目、三つ目の試算においては、建物の規模及び仕様が大きく異なるという前提がございます。
(資料3 17ページ)
 試算の結果が、次のページになりますが、65年間の修繕費の合計が、それぞれ約1,200億円、800億円、1,100億円という形になってございます。こちら、例えば一番安い、安いというか、金額的に低い二つ目のもので見ますと65年間で788億円ということですので、1年に換算しますと12.1億円という形になります。間をとってというのはなんですが、この三つ目の国際展示場、豊洲市場に構造が似ているというような専門家の先生方のお話もあったかと思うんですが、こちらによる試算ですと、この1,087億円ということになってございますが、こちらを1年換算すると16.7億円なんですが、実際に既に21年間、これ大規模修繕の実績のみなんですが、こちらで実際かかった経費が21年間で179億円ということになってますが、仮にこれを21年で割りますと、1年8.5億円というふうな感じの支出になるということでございます。とりあえず、この試算をこういった前提に基づいてやってみたというのが、この表でございます。
(資料3 18ページ)
 こういった試算も踏まえながら、次、市場会計全体の収支をどのように見ていけばいいかということで、こちらもいろいろな試算条件がないと試算ができませんので、こういった試算条件、PTの方々からいろいろアドバイスをいただきながら作ったものでございます、計算したものです。主な試算条件、書いてございますが、豊洲市場の開場はとりあえず平成30年度というふうに設定してございます。売上高割使用料につきましては、リスクシナリオということを一応想定して、5年ごとに3%減という形で仮に試算してございます。各場の整備・改修費につきましては年50億円を計上するということでございまして、先ほど豊洲市場の長期修繕費をとりあえず試算してみたというものでございますと、3番目のやつの最初の当初の21年間、8.5億円ということだったので、仮に10億円ずつぐらい毎年かかるというふうにしても、残り40億円ぐらいはほかの市場に使えるというふうなことになります。企業債は借り換えせずに償還してしまうという前提条件と。築地の跡地の処分収入は4,386億円というのを一応条件として設定しておりまして、こちらは、環状2号線の用地部分の有償所管換単価に基づいて試算したものでございます。一般会計出資金は、先ほども御説明しましたけども、この試算では見込んでおりません。今までどおり、停止中というふうな状況で試算してございます。
 その試算結果を、経常損益と正味運転資本と二つグラフでお示ししてございます。こちら経常損益ですけども、これは日々の運営経費がどうなっているかというふうなことなんですが、こちらの下の赤い折れ線グラフですね、こちらは通常の経常損益でして、これを見ますと、豊洲開場を30年度と仮に仮定して、10年後の40年度あたりには経常損益がマイナス150億円に近づくというような感じの条件になります。しかし、この上のオレンジの折れ線グラフをごらんいただきますと、いわゆる減価償却費のような非現金支出などを考慮しまして、そういったものを除いた経常損益と、言うなれば日々の本当の運営の収支というようなことになるかと思うんですが、それで見ますと、この収支のところを収支プラマイ・ゼロのあたりを均衡して推移するというようなものになるというのが、こちらのグラフの結果でございます。
 こちら右のグラフの正味運転資本ですが、こちらは簡単に言えば市場の運転資金みたいなものだと思うんですが、こちらは平成27年度に1,000億ぐらいあったものがそのまま大体推移してきまして、こちらでこの築地の処分収入が4,000億円ぐらい見込んでいるという前提で試算しておりますので、ここは32年度から36年の5カ年で収入されるというような想定で試算しますと、ここで収入が入って、正味運転資本が上がってきます。ただし、豊洲の整備で企業債を発行して、そちらを返済しなくちゃいけないということがありますので、正味運転資本、上がりながらも下がったりというのも差し引きしてまして、ここからは、もう築地の跡地処分収入が終わったんで借金の返済ということで企業債の償還がありまして、償還は38年度に終わるということでこういった形の折れ線のグラフになりますが、最終的に、40年度には約1,000億円の正味運転資本がある状態であるというふうな試算結果が出ております。
(資料3 19ページ)
 次のページは、それのもとになる、グラフを作成したもとになる数値でございます。
(資料3 20ページ)
 試算結果を踏まえた対応ということでございますけども、今のグラフで御説明しましたとおりに、経常損益自体は赤字になると、豊洲が開場して整備費を払いながら運営していくと赤字になるんですけが、減価償却費などを除いた控除した収支はほぼ均衡すると、日々の運転にかかわる収支は均衡するというようなところが一つと、先ほど正味運転資本が10年後に1,000億ぐらいまだ残っていますよというふうに申し上げたとおり、10年以上、会計として運営可能な資金を保有しているという試算結果が出ております。
 そういった中、豊洲市場開場後の市場会計についてはこのような対応をしていくということかなということで、最後まとめておりますが、豊洲市場の維持管理経費につきましては、そうはいっても内部努力でできるだけ削減しないといけないということで、現在あくまで概算額ということではじいた数字でございますので、きちんと実際に開場に当たっては中身を精査して、できる限り抑制に努めるというのは当然のことで、やっていかなくちゃいけないなというのが一つです。また、次の修繕ですね、豊洲市場の修繕につきましても、施設の状況をよく見ながらそれを踏まえて適切に実施していくというふうなことを、当然ですけどもやっていかなくちゃいけないと。三つ目として、築地市場の跡地の処分収入、こちらを活用して企業債の借換抑制などをいろいろ工夫をしていくというふうなことをしながら、今後も効率的な財政運営に努めていきたいというところでございます。
 以上で説明を終わります。

○小島座長 ありがとうございました。
 引き続き、お願いします。

○事業調整担当課長 新市場整備部事業調整担当課長をしております間瀬と申します。よろしくお願いいたします。
 私の方からは、事業者の負担と事業継続性について御説明いたします。
(資料3 22ページ)
 まず、事業者の負担ですが、市場施設の利用に伴い事業者が負担する使用料といたしましては、大きく二つございます。一つは市場使用料、そしてもう一つは光熱水費でございます。光熱水費につきましては、使用指定を受けた範囲で使用したものについて、使用量に応じて負担いただくというのが市場共通のルールでございます。一方で、市場使用料ですが、これは大きく二つに区分されまして、一つは売上高割使用料ということで、販売価格に数量を掛けた、いわゆる卸売金額に料率を掛けたものでございます。もう一つは施設使用料ということで、いわゆる賃料でございますが、用途に応じて単価が決まっておりまして、それに使用面積を掛けたものでございます。この使用料の料率や単価のメニューは市場共通ということでございまして、築地市場、豊洲市場、同じでございます。ただ、豊洲市場の場合は、機能強化を図った部分におきまして低温施設使用料が適用されるということで、その部分につきましては単価増になるということでございます。後ほど御説明したいと思います。
(資料3 23ページ)
 こちら使用料の一覧でございますが、使用料のイメージでございますが、まず売上高割使用料につきましては、卸業者の卸売金額や仲卸業者のいわゆる直荷に対応する販売金額に対して、水産物、青果であれば1000分の2.5がかかってくると、1,000円に対して2.5円かかるというイメージでございます。一方の施設使用料、賃料の方ですが、卸売業者売場であれば月額平米当たり545円、仲卸売場であれば月額平米当たり2,150円という形でメニューが決まっております。アスタリスクがついている部分が低温施設使用料ということで、こちらにつきましては豊洲市場の開場にあわせて施行される予定になっております。
(資料3 24ページ)
 低温施設使用料が適用される施設でございますが、産地や実需者のニーズに応えるために、都が従来の整備水準を超えて低温化に必要な断熱材ですとか防熱扉など必要な断熱機能を付加した施設が対象になってきます。具体的には、7街区の低温卸売場、転配送センター、そして5街区の加工パッケージ施設でございます。こちらの低温施設使用料は、市場使用料のあり方検討委員会での検討や卸売市場審議会を経て昨年度末に条例改正されて設定された経緯がございます。
(資料3 25ページ)
 続きまして、使用指定面積、いわゆるレンタブルスペースでございます。結論を先に申し上げますと、豊洲市場の使用指定面積、現時点では予定でございますが、築地市場とほぼ同じということでございます。詳細はこちらの表にまとめておりますが、まず、築地市場の合計面積といたしましては21万3,154平米。そのほかに都整備の冷蔵庫がございまして、こちらは平米貸しではなく容積貸しということで別書きにしておりますが、1万2,520立方メートルございます。これが豊洲に行きますと22万1,070平米となり、冷蔵庫につきましては、民間の冷蔵庫に集約されてなくなるということでゼロでございまして、増減については記載のとおりでございます。
 具体的に内訳を見ていきますと、まず、売場につきましては、卸売場が大きくマイナスになっているように見えますが、これは機能強化された低温売場に振りかわっているということで、トータルの面積としてはあまり変わらないという状況でございます。荷さばき場につきましては、これも機能強化された低温荷さばき場に振りかわっておりますが、物流の効率化を図る観点から、さらに面積が2倍に増えているということでございます。作業所につきましては、加工パッケージ施設、加工パッケージ棟の整備などによりまして面積が増えています。関連事業者営業所、事務所、車両置き場なども増えているというところでございます。
 一方で、減っているものとしましては、倉庫や建物工作物の敷地などがございまして、具体的には環状2号線の整備のための工事ヤード等として5,700平米ですとか、あとは民間の冷蔵庫棟ですが、この底地を築地市場の場合は使用指定という形でお貸ししていたんですが、豊洲市場では事業用定期借地権で建設するということで、使用指定として面積算定されていないので、その分が大きなマイナスとして出ているということでございます。
(資料3 26ページ)
 それでは、使用指定されていない施設がどのように使われているかということで、簡単に御紹介したいと思います。主には物流の効率化や品質、衛生管理を確保する観点から、屋内に必要な施設、動線を確保しているということでございますが、具体的な例といたしまして、まず、プラットホームがございます。こちらの写真にありますとおり、建物の周りにバースがありまして、そこにトラックが停まるんですが、荷の積みおろしを円滑に行うために、共同の作業通路を設けているということでございます。また、ターレスロープですが、豊洲市場は多階層型の構造になっておりまして、荷の上下移動が必要になりますが、荷物用エレベーター、そして垂直搬送機のほかに、ターレでも移動できるように屋内に専用のスロープを確保しているということでございます。そして、入場管理室、こちらは第4回のプロジェクトチーム会議でも御紹介させていただきましたが、衛生管理を確保する観点から、業務エリアに入る前に必ず手指を消毒する場所、そして、乾燥する場所、そして、足元を消毒する場所が確保されているということでございます。そして、連絡通路でございますが、6街区、7街区、水産の卸売場棟、仲卸売場棟の間は頻繁に荷のやりとりがあり作業者の往来があるわけですが、外に出ることなく、屋内で作業が完結するように屋内通路が設けられているということでございます。そして、見学者通路でございますが、築地におきましても見学者動線はございますが、物理的に区分されていないということで、外国の方がマグロをさわってしまったりして、品質・衛生管理上の問題があったりしたわけですが、豊洲市場では物理的に区分して品質、衛生管理の徹底を図っているということでございます。
 以上のような物流の効率化や品質、衛生管理を確保する観点から、屋内に必要なスペースを確保しているというのが使用指定外の施設の一例ということになります。
(参考資料)
 続きまして、事業者負担のモデルケースについて御紹介をしたいと思います。
 こちらは、水産仲卸組合でございます東卸組合さんが発行されている「新市場ニュース」の抜粋でございます。組合員の方や市場関係者の方へ新市場に関する動向などを広く情報発信するために定期的に発行されているものでございます。こちらに、1店舗事業所をモデルとした現在、築地での概算のランニングコストと新市場での予測が掲載されておりました。そのため、組合さんに御了解を得まして、今日簡単に御紹介をさせていただきたいと思います。
 ご覧の表のように、さまざまな費用がございますが、まず申し上げたいのは、この1番から4番まで、そして5番の現状のところまでが都の方で設定している単価ないし金額でございます。それ以外の部分につきましては、事業者さんが直接契約をしていたり、業界さんの方で設定をしている単価や金額ということになります。
 まず、施設使用料、こちらは店舗の賃料でございますが、月額、平米当たり2,150円ということで、こちらは新市場、豊洲市場においても同じ単価が適用されるということでございます。従いまして、面積の違いによって費用負担に違いが出ているということでございます。
 次に、棚の使用料でございますが、これは店舗の棚上、中2階の使用料になりますが、築地にも同じような構造はございますが、豊洲では、都の方で手すりなども含めて整備しているということで、新たに使用料が発生するというものでございます。
 続きまして、電気でございますが、これは直近の実績が載っております。豊洲市場ではまだ実績がないこと、そして広さが余り変わらないため、使い方が変わらなければ築地と同一料金だろうということで、仮置き数値となっております。
 続きまして、空調費でございますが、現行の仲卸店舗さんは開放型の店舗ということで費用としては発生いたしておりません。それが豊洲市場に行きますと6,500円程度かかるということで、こちらはあくまでモデルケースではございますが、一体型ダンベ、冷蔵のショーケースがございまして、排熱器、放熱器が一体型になっていて売場に熱負荷をかけるタイプのもの、これを置いた場合の負担額ということになります。一方で、分離型の場合ですけれども、この分離型というのは、排熱器、放熱器が機械室に置けるように分離されているということで、売場に熱負荷を与えない、そのためにその負担額が安くなるというような試算になっております。申し上げたいのは、電気と同じように、使った分、この場合は熱負荷をかけた分だけ費用が発生するということで、一律ではなく、使用状況に応じて変わってくる費用ということでございます。
 続きまして、電話でございますけれども、現状は都庁内線を御利用されているということで、月額5,320円かかってきますが、豊洲に行きますと、市場協会さんの方で統合ネットワークサービスを提供する予定になっておりまして、そちらで内線、外線ともに利用できるということで、記載のような価格になっていくということでございます。
 その他、上下水道料金、ろ過海水使用料、ごみ処理料、さまざまな費用がございますが、現在の整理状況ということで、非常にわかりやすくまとめられておりましたので、本日御紹介をさせていただきました。
 私からは以上でございます。

○小島座長 ありがとうございました。
 それでは、討議に入りたいと思いますが、じゃあ、菊森先生からいきますかね。

○菊森委員 菊森です。大変御苦労さまでございました。説明、非常によくわかりました。ありがとうございました。
 豊洲市場がやはり閉鎖型というかなり理想的なつくりを求められた、あるいは荷捌き場を相当充実されていったということから、いろんな意味で経費、投資額経費の増高が見られるということはやむを得ない面があろうかというふうに思います。私としても、この中央卸売市場の経営とか、あるいは数値について検討させていただくという役目柄、ここ二、三カ月の間、今日御説明いただいたような内容について、ずっとお聞きしてまいりました。全国の中央卸売市場も同じなんだと思いますが、東京都中央卸売市場については、数値による経営計画というものがこれまで存在しなかったと。今回、プロジェクトから依頼して作成をしていただいたという経緯がございます。ただし、原則11市場の合計額が出ておりまして、個別市場の実績も計画も、当初ですね、数値は非常につかみにくいということがございました。そこで、収益金額をベースにして、経費配分というものを行って、個別市場の収支もある程度把握できるようにしていただいたと、このことについては、非常に感謝しております。
 その結果、築地は6億程度の黒字であったのが、豊洲は98億弱程度の赤字となって、その主因というのが2,800億円近くになる建物を初めとする投資額に対する減価償却費であるということがわかったわけでございます。この投資額については、収益的収支との比較において課題であるということを言うことはできるかもわかりませんが、減価償却前の利益で見ると、特別損益を除外した平年度ベースで収支がほぼ均衡していると、若干のマイナスという数字ではございますが、ほぼ均衡しているということが言えようかと思います。年間20億円程度の一般財政補助金が繰り入れられれば、豊洲の継続可能性は十分にあるというふうに考えます。ただ、この20億円が将来にわたってどうなるのかということについては、やや不安も残されていると言わざるを得ないのではないかと思います。総じて言うと、投資回収をするにはかなり時間がかかるという結果に終わっているのではないかという気がいたします。
 次に、経営のリスク要因についてでございます。中央卸売市場の経営というのは、非常に安定的な経営ができるような仕組みがビルトインされていると私は思っています。ただ、万が一に備えて、リスク要因ということも検討していかざるを得ないというふうに思っておりまして、卸業者、仲卸業者から支払われる利用手数料については、これらの業者の大半が豊洲に移転するという意思決定があって初めて収入として計上できるものでありまして、もし、その前提が、食の安全・安心が確保されないことがもし生じる、あるいは生じかねないという状況に陥って、こういうことはめったにないと思いますが、そういう場合とか、あるいは水産品の扱い額の趨勢的減少、先ほど御説明ありましたけれども、そういう趨勢的減少などの理由で、万が一にもこういったことが、前提が崩れたり、あるいは弱くなったりした場合は、市場の経営が厳しくなるということは想像に難くないというので、そういった影響も一応見ておかざるを得ないのではないかというふうに思います。
 次に、業者の経営負担の増加について、先ほど御説明をいただきました。仲卸業者の方々が特に築地から豊洲に移転する場合の経営負担の増加につきましては、各事業者の規模とか収益性によって経営負担感は当然異なられると思います。先ほど詳しく御説明いただきましたが、施設使用料とか空調費とかろ過海水使用料、ごみ処理料など、増加することとなっておられるわけなんで、経営負担の増加によって、中には豊洲市場への移転を躊躇されたり、あるいはなかなか移転ができないという判断をされてくる可能性も一部には出てくる可能性があろうかと思います。ただ、その場合は、できるだけ業者の方々の意欲をそがないような措置であるとか、あるいは、市場に魅力があるのであれば、公募により新たな事業者を参入することも考えられるのではないかというふうに思います。
 私は、この一連の検討を通じまして考えましたのは、幾ら公共事業でつくられた公的な施設であるとはいえ、やはり運営については民間的な発想から経営努力をするほうがよろしいのではないかと思います。豊洲市場は既につくられたものでありますから、建設が終わっているわけでございますので、指定管理者制度、先ほど座長のほうからもお話がありましたように、指定管理者制度であるとか、あるいは、当初これがPFIという形をとらなかった経緯はまだ明確ではございませんが、そのバリュー・フォー・マネーが多分出なかったんだろうと思うんですが、それを踏まえて、今後、例えばコンセッションという方式など、広く選択肢を検討していく必要があるのではないかというふうに私は思います。それがトータルコストを下げる一つの大きな手段になっていくのではないかと思います。以上でございます。

○小島座長 ありがとうございました。
 それじゃあ、梶田先生、いかがでしょうか。

○梶田委員 御説明ありがとうございました。よくわかりました。
 大きなポイントとしては二つあると思います。
 一つは、やはり大きな建物ですね、非常に立派な設備をつくられたと。これは、今後、築地でいろいろ苦労されている市場の関係者の方がいい意味で伸び伸びと経営やビジネスをしやすくするという、そういう場所を御用意いただいたという、そういうことなんじゃないかというふうに思います。しかしながら、今、菊森先生の御指摘にありましたように、経営は今後続けてなんぼの世界ということであれば、やはりきちっと経営が続いていくということを今後にわたって見なきゃいけないということなんだと思うんです。これは、市場関係者御自身の営まれている経営ということを御自身で考えるということではなくて、市場の関係者全体でそういったことを見据えていくということがますます必要になってくるんじゃないかなというふうに思っております。従いまして、先ほど御報告いただいた中で、やはり市場の会計という点で、今後、要するに努力をしていかなきゃいけない要素を、こういったところが具体的に今後どの程度やっぱり努力が必要かと、あるいは、そういったことを含めて、どういった取組を具体的にしていく必要があるのかということも継続して明らかにしながら取組をされるということが必要になるんじゃないかなというふうに思っています。それが1点目です。
 それから、2点目です。二つ目は、市場のこの事業のいわゆる構造の特殊性というか、市場のこの事業が持っている特徴的な要素ですね。これはやはり専門委員の観点からすると、非常に民間の経営という、そういうシビアな見方もあるんですが、一方で、市場というものをどういうふうな役割でどうしていくのかと。説明上、当然業法があり、関係法令に基づいて、あるいはそういった取扱いの中でできること、やること、あるいは本当はやりたいけどできないこと、そういったこともいろいろ多分出てくるんだと思うんですが、そういった枠組みの中で、さらにやるべきこと、やっていけることは何なのかということが、多分今までに限らず、いろいろこれからも考えなきゃいけないことになるんじゃないかなというふうに思っています。何が言いたいかといいますと、非常に市場の関係者の方にビジネスをしやすい、そういう環境をつくった。ですので、どうぞではなくて、さらにそこから具体的にどういうビジネスをしていくのかということも少し実は開設者の側も寄り添っていくことが今後求められていくのではないかなと、そういうことも含めた見通しなり、取組を進めていくということが多分必要になってまいろうかというふうに思っております。以上でございます。

○小島座長 ありがとうございます。
 一つ、ちょっと菊森先生に解説いただきたいんですが、この図なんですが、通常の会計の報告というのは、会計って、こういうものは、減価償却を含んで作りますよね。

○菊森委員 はい、作ります。

○小島座長 これ、減価償却を含んでいくと、もう150億ぐらい赤字になっちゃうから、これはいろんな前提を置いたので、傾向を見るということなんだと思うんですね。非常に微妙なことだから、数字は少しずつ動いていくので、傾向を見るとそういうことなんですが、減価償却を入れたお金の評価と、減価償却を除いて数字を出していくという、何でこういう二つのことをしたのかというのは、普通、会計を見てない人はこれは一体何なんですかということになるので、少し説明いただけませんでしょうか。

○菊森委員 普通の企業会計、特に民間の会計で見ると、やはり減価償却というのは、既に投資したもの、あるいは保有している資産を年ごとに償却していくということによって、経費化して、そこにキャッシュフローが生まれてくるという意味で、経営にとっては決して悪いことではなくて、むしろプラスの面があるということが言えようかと思います。それは、利益が十分に出ている場合は特にそうでございます。こういった市場会計のように公的企業、あるいは公的事業を見る場合に、やはり減価償却を含むベースだけで見てしまいますと、実際に大きな赤字が出ておりますように、かなり実態として厳しい。これじゃあやっていけないんじゃないかと、こう思われる方も生じると思うんですが、ただ、実際にはちゃんと入りと出がある程度合っておれば、ある程度大きな投資をしたとしても、そのこと自体では、減価償却のみでは経営が特に悪化するということはなく、キャッシュ的にも回るということが言えようかと思います。
 ただ、一番忘れてはならないのは、大きな施設を作れば作るほど、これはもうどの公的施設もそうですが、やはり維持費、管理費が相当かかってくると。これをどういうふうに削減していくかということで、普通はあんまり過大な投資をすることが行われない、少なくともそういう判断をされないというケースが多うございます。できるだけ投資額を抑えて、その後、作ったのは1回で、1期で済むんですけれども、それを維持するために未来永劫、50年、60年にわたって大きな経費を払っていくということができるだけないよう、後世に憂いを残さないという考え方でもって経営を考えていくのが通常のやり方ではないかと、私は理解しております。ちょっとそこが民間会計とこういう市場会計との、考え方は同じだとはいえ、やはり少し置かれた状況が違うのではないかというふうに感じております。

○小島座長 ありがとうございました。
 もう一つだけコメントですが、次の表をお願いしますね、これの。何かすごい細かくて申し訳ないんですが、前からちょっといろいろ疑問だったんですが、特別利益ですよね。築地の売却益を5年間にわたって計上していると。これによって、経常利益、減価償却を除いたところがゼロより上に行くわけですよね。これも数字のやり方なんで、1年でぼんといくと、おおむねゼロから下にずっと行っちゃうという、こういう数字もできるわけなんですよ。この点が、どうせ、いろんな前提を置いているので、1年でぼんといくと、大体マイナスがずっといっちゃうという、こういう計算になるとか、あるいは雑収益、上から、営業収益の売り上げ、施設使用料、次の雑収益が27年度で36億で、その後、54億でずっといってるんですが、これが54億になって、いや、何で54億もちゃんととれるのとか、これが維持できるのかとか、こういう非常に微妙なところを動いているものですから、こういう数字が少し動くと、ずっと下に行ったり、ずっと上に行ったりもするというので、この表はいろんな前提を置いているのと、それから、一つずつチェックをしていくと、本当にそうなのと、こういう議論になるので、あんまり固定的にこれがそうなんだということにはならないとは思いますが、ただ、非常にフラジャイルというか、何か壊れやすい数字になっているということなんじゃないかと思うんですが、どうですかね。

○菊森委員 私もそれは同感です。プラスになったり、マイナスになったり、非常に平年度ベースでいうと、かなり動く可能性があると思いますが、今御指摘の点で、営業外収益の中で、やはり一般会計補助金というのが約20億円ですね、特に30年度以降ですね、見ておられるということがありますので、この辺が一つ、この数字の中ではあんまり内訳はよくわからないのですが、前提を見ると、やっぱりそういうところがあるというふうに思います。
 それから、その前の御質問で、特別利益のところで、32年度から36年度までの5カ年にわたって、築地の売却収入、売却益収入を5分割して、均等に割って特別利益として計上されているという、こういう仕組みに作っておられます。これについては、これはあくまでも経営計画的に数字を見ていくために、わかりやすくするためにこうやっていらっしゃると思うんですが、必ずしもこの5カ年である必要は必ずしもないと私も思いますし、通常、会計的には1期で、もし一遍に売却をしてしまうんであれば、1期に計上して、その後は計上しないという選択肢もあろうかと思います。私はこの点について、今回の一つの特徴でもあろうかと思いますので、ここをちょっと誤解のないように、もし市場のほうから御説明いただければ、皆さんも理解が深まるんじゃないかと思いますが、お願いできますでしょうか。

○財務課長 スライドの表の一番下のところに、ちょっと注意書き的に小さく書かせていただいて、字が小さくて恐縮なんですが、先生方仰いますように、今、特別利益、本来であれば、会計上は平成32年度に全額一括計上というような形が会計上の処理になるんですけれども、現金の収入という形で考えた場合、過去、神田市場とか大森市場を処分したときのケースしか直近のケースがないものですから、そのときに現金、5カ年に分けていただいていたというようなところがありますので、それをちょっと踏襲して、今回このような形で作ってみたというものでございます。

○菊森委員 ありがとうございます。
 必ずしもこの年度でこういう計上をしなきゃいけないということでは、この表上はないんですが、会計処理とそこは違うという理解をしていただければ、誤解はないのではないかと思います。
 それで、もっと長期にわたって、築地の売却益収入というのは極めて貴重な都の財産でもございます。これをどのように分割して使っていくか、どういうことに使っていくかということについては、選択の余地があると思いますので、この一番基本的な市場経営の素のままを見るという点においては、この特別利益というのは必ずしも必要ではないのではないかと。ただ、そういった過去の先人が作ってくださった財産をどのように使って次世代につなげていくかという点では、非常に重要なお金では当然あるということだと思います。
 特にこういった表を見ていただくときに、やはり平成37年度以降のように、何も特に大きなイベントごとといいますか、トランザクションしないという年が一応、経営の実態をあらわすということでございましょうが、その場合でもやはり、特に営業外収益のところが非常に数字がかなり大きいので、この辺の中身については引き続き精査していく必要はあろうかというふうに思います。この辺はちょっと仮定を置いて作っておられるという限界はありますので、私もちょっとこのところは注視をしていく必要があるというふうに感じます。

○小島座長 ほかの皆さん、どうでしょうか。

○森山委員 すみません、御説明ありがとうございました。
 先ほどの御説明聞きまして、ちょっとやっと僕、この豊洲市場及び全体像、わかったんですが、最後に御説明いただいたページありますよね、25ページですか。実は築地市場と豊洲市場は面積はほぼ同じなんだという御説明があったと。ところが、一番最初、前段で、豊洲ができることによって3割売り上げが上がっていくのは施設整備によるんだという御説明があったと。だから、ここでちょっと御説明として、3割増える施設にしてるんですよというお話と、実は増えてませんよという部分が矛盾してるんじゃないかなというふうに気になりました。
 といいますのが、25ページで、面積が同じということになりますと、同じ面積で築地は同一平面で動き回っていると。豊洲になると、その面積が上下階にわたってしまうと。そういったところから機能的な問題等々が業者さんから出てきてると思うんですね。そうしますと、例えば今の財政面の収支の中に、場合によっては、リスク要因としては、開場前に大幅な手を入れて補修工事でまださらなる投資をしなきゃいけない可能性も出てくると思います。そうしますと、先ほどこの収支の表ありましたけれども、10年ですか、平成30年から38年の間までは築地の売却益があるので、何とか10年はいけますということなんですが、そこもちょっと危うくなるんじゃなかろうかという気がしてます。
 2点目は、もう一つのリスク要因としては、築地売却を想定していらっしゃいますが、築地の販売価格が果たして想定どおりの販売額で処分できるのかというところもあると思います。それは、築地が市場になる前に、海軍の造兵廠で使われていたときの地歴の状態からも何か、例えばその当時の海軍が使っていた施設による何らかのマイナス要因があるんじゃないかという、これ、噂としては一部やはり土壌をきちんと調査しなきゃいけないところもあるんじゃないかというお話も出てますので、そういったことを考えますと、現時点でのこの収支ぎりぎりというのは、ちょっとまだ危ういんじゃないかなというふうに僕は思っています。

○小島座長 誰が答えますか。
 じゃあ、お願いします。

○移転調整担当課長 森山委員の御指摘のまず面積が一緒というのは、これはあくまで使用指定の面積でありまして、売場の面積ではないです。築地の、先ほど私の方から弱みということで、スペースの問題だとか、物流の動線が錯綜しているというところをあげさせていただいたんですが、豊洲におきましては、この使用指定の売場の面積の他の、いわゆる市場に入ってからの外周道路、売場までに接続する道路だとか、あるいは積込場、バース、待機駐車場の駐車のスペース、これをとっているというのが1点。それと、品質・衛生管理の強化ということで、建物の中、売場の近くにそれぞれ荷捌き場を設けている。あるいは売場の中、あるいは街区ごとの物流を担います通路、これもとっているということで、売場の使用指定をかけて料金をいただく、この売場については築地市場のものをベースにして豊洲に持ってくると。そこの売場の中で市場業者がいかに経営努力をされて、取扱量、売上高を伸ばしていくかというところの支援をするハード的なものを東京都の方で豊洲市場で整備をしたという考えになります。

○小島座長 もう一つの質問、答えをお願いします。

○財務課長 まず、開場前の補修という話がありましたが、現段階ではちょっとどの程度の補修があるのかというのもわかっていないということが一つと、あと、5,884億円という整備費なんですが、これは現時点での見込み額でございまして、まだちょっと決算を打っていないので、実際にこの金額、丸々かかるかどうかというのも今後の決算で明らかにできるのかなと思っておりますので、ちょっとその辺、いろいろな流動要因というのがある中で、今回いろいろ御議論いただくためにこういった試算をしたということで御理解いただきたいと思います。
 もう一つ、築地の跡地の処分収入の関係でございますが、こちらのいろいろな数字の置き方というのが、条件上、できるんでしょうが、一応私どもでは、一番根っこがあるというんでしょうか、もとがあって計算できるものということで、試算の条件にも書かせていただきましたように、環状2号線の用地部分につきましては、一般会計に有償所管換をする部分がございまして、その単価を全体に引き伸ばしてお出ししたということでございまして、ちょっと地歴の状態などにつきまして、私、詳しく存じてなくて申し訳ないんですが、とりあえず何の根拠もないということではなくて、一定の根拠のあるものを我々としては導き出して試算をさせていただいたということでございまして、ちょっとそれ以上でもそれ以下でもないんですが、一応そういうことでございます。

○小島座長 ありがとうございました。
 いろいろ数字を計算をするのに、何らの根拠もないわけというわけにはいかないので、計算をしていただいたんですが、じゃあ、それで売れるかというと、それはまた別の話なので、現在の時点で計算する上での数字ということだろうと思いますね。
 それから、建物が5,884億円で、いわゆる整備費がですね、これで終わるのかとか、あるいはもっと安くなるのかというのは、最終的なものですけれども、まだ専門家会議のほうでまた地下ピットの議論をされて、それの追加工事が必要だということになると、また増える要因だし、そういう意味では、現時点である数字をやっていったと。また、これが増えていけば、地下ピット工事でまたお金がこの上に乗ってくると、こういうことになると、また後の処理が大変と。後の処理というか、お金がどんどん消えていくという話にもなっていくので、これはあくまで現時点の数字ということだろうと思うんですね。
 さっきの1番目の質問のことなんですが、僕も質問したいと思いますが、出していただいたスライドの14枚目ですね、さっきの。各市場の収支、13枚目と14枚目になります。まずは、13枚目ですが、豊洲は本当にスケールが違うので、左の数字は、スケールが一番上が60億円なんですが、右の豊洲の一番上は180億円になってるんですよね。要するに並ばないんですよ、ほかの11の市場とはね。並ぶスケールで書けないほど大きいということなんだと思うんです。確かに11の市場でみんなで助け合ってやっていくという考え方なんですが、助け合うにしては、余りにも豊洲が飛び抜けて大きくて、そこから出てくる収支の差額、世間でいう赤字が大き過ぎて、この赤字を一体どうやって処理していくのかと。
 この数字でいって、先ほど座長ペーパーの20ページ目で、前から言ってるんですが、ずっとメディアの皆さんにも、豊洲開場しないから1日500万円かかってもったいないじゃないか、大変だとずっと言われ続けていて、いや、開場したらもっと大変じゃないですかってずっと私も言ってきて、こんなものはただ電卓たたけばわかる話なんであって、それを今日は数字で出したということだけなんですが、開場するともっと大変なんですね。赤字がどんと増えてしまう。この水光熱費などだけで今よりも60億、61億ぐらい増えてしまいますし、先ほどの市場が作っていただいた166億と68億の差額でいうと98億ですよ。このお金を、先ほど言った使用料はそんなに増えてないんですよと、だから、豊洲に移っても大してお金はかからないんですよという、つまり豊洲に移る業者さんの負担はそんなに増えないんですよということになると、その赤字は一体誰が負担することになるんだろう。築地の業者さんたちは、東京都が負担をすると仰るんですが、それは市場会計全体ですから、11の市場の方々が使うお金なんですよね。それがこの豊洲の赤字でどんどんどんどん消えていくという構造なんじゃないかと。
 ちょっと言い方は悪いんですが、最近ある福島第一原発のお金が22億円もかかって、東京電力で負担できないから、他の電力会社も負担してねというふうに、負担を撒いていくというような、何かそういう感覚に聞こえるんですが、それで市場会計が何とかなるんですという。そうすると、この豊洲が開場したことによって、他の10の市場が改築をしたり機能強化していく、そういう財源がなくなってしまうのではないかという危惧があるんですが、その点についてはどうなんでしょう。要するに市場全体で使うべきお金が豊洲の赤字で消えていくという、そういうイメージは間違っているでしょうか。

○財務課長 ちょっと適切なお答えになっているかどうかわからないんですが、まず、豊洲市場というのは、市場としての公共性ですね、生鮮食料品を都民に安定的に供給するという使命の中で、豊洲市場というのは必要だったんだというところが一つあるんだと思うんです。これも詳しくはちょっと担当の課長から御説明があると思いますが。あと、ほかの11市場の市場業者の皆さんがいらっしゃいますが、いただいているものは、御存じのように、市場使用料と、あとは光熱水費の実費分を収入としていただいているということでございまして、現在の、今日お示しした試算は、市場使用料の値上げを前提としていない、現在の使用料の単価のままで試算してございます。という意味では、直接的に他市場の市場業者さんの使用料が値上がりして負担が増えるというものでなくて、現在のまま、同じような施設を借りていただけるんであれば、同じような使用料がかかってくるという前提のシミュレーションで、とりあえず10年間は会計が運営できますというのが今回の収支の試算結果、あくまで試算結果ということでございますので、そういった観点で私どもは考えているのかなというようなところでございます。

○小島座長 ありがとうございます。
 農林水産省から出ている卸売市場を高度化していかなきゃいけないというのは、別に新しくつくるものだけではなくて、既存の市場もやっぱり衛生管理をしっかりしていきましょうとか、コールドチェーンを導入していきましょうとか、というふうに出している。主に新しくつくるところというよりも、既存のものをどんどん機能アップしようというのが、国から見ればそういうところに力点が置かれるということなんですが、そうすると、他の10の市場もそういう全体の流れで、今のままずっといっていいのではなくて、やはりコールドチェーンだとか、あるいは衛生管理だとか、そのための新しい投資をして、全体の底上げを図っていくというのが市場としての姿勢なんだと思うんですよね。今言ったような、そういうことに使っていく原資が、余りにもガリバーの赤字が出てしまうので、なくなっていくという、そういうふうに見えるんですが、それでは市場全体が沈没してしまうので、この豊洲を開場したことによって市場全体が沈没をしてしまうと、そういう懸念があるから、それはそうならないように投資はやっぱりしていかなきゃいけないんじゃないかと。そういうことを見込んでいくと、どういう市場の経営になっていくのかというところで、もう一つ、ぎりぎり計算すると赤字のところと黒字のところを這っていくんですよということではない数字を作っていかなきゃいけないんじゃないかという、そういう意見ですね。そうすると、ますますちょっと難しくなってくるというのもあるので、何かそういうイメージがしてしまうので、それを克服するにはどうしたらいいのかというのも一つ、東京都の市場全体に対して責任を持つという観点からは必要なんじゃないかということですね。

○菊森委員 今、座長が仰っていただいたこと、非常に今後の経営を考えるときに非常に大事だと思うんですけが、ちょっと先ほど説明が不足していたと思うんです。この雑収益のところの将来をどう見るかとか、つまり、豊洲が余りにも大きいというのは事実だとして、やっぱり各場の経営をきちんとできていくような管理会計といいますか、を充実させていかないといけないだろうと。それとモニタリングですよね。将来にわたってやっぱりきちんと収支がとれていくのかどうか、大きな環境の変動があったときに、変化があったときにそれをどう吸収していくのか。ということは、つまり、守りだけの経営では恐らく守り切れないと。これはマーケティングの大原則ですが、やはり何らかの収入、雑収入、雑収益のところも含めて、収入をアップさせるための方策をかなり強く出していかないと、私はそれは維持できていかないだろうと。だから、今収支とんとんのところを這っているように見えますが、これはあくまでも現時点だけの話であって、将来的にやっぱりかなり儲けられるような仕掛けといいますか、仕組みといいますか、そういったものを作っていかない限り、本当に安泰だということは言い切れないんではないだろうかというふうに私は感じています。

○小島座長 はい、佐藤先生。

○佐藤委員 先ほどから非常に厳しい御指摘があったかと思うんですが、今朝方、日経新聞で100億円の赤字が出るというような記事が出ました。私はあれを見て非常にショックを受けたのが正直なところです。
 今日の御説明を聞いてますと、その100億の根拠というのが、先ほどの14ページのグラフを見るとよくわかるんですが、収益68億に対して166億の費用がかかると。その内訳を見てみると、71億が減価償却で、82億が費用だと。166億はまた別の費用ですね。ここから減価償却を除くと、15ページのほうで見ると、68億に対して95億ということで、27億赤字だということですよね。これが減価償却をどう考えたらいいのかって、私、非常にある意味でよくわからないんですが、もちろんこれが私企業であれば、減価償却を取り込むのは当然のことなんですが、公共事業として行われたときに、必要なものを、築地が非常にもう老朽化していると、どうしても建てかえなきゃいけないとなったときに、新たな投資をして施設を整備するわけですよね。それを公のために、公の食の安全のためにそういう施設を整備するということでやることを、単純に私企業の会計、バランスシートと同様に考えていいのかというところが非常に自分自身ではよくわからないといいますか、どう理解したらいいのかというのはあります。というのは、先ほど減価償却を見てないと、次の投資ができなくなるんじゃないかということがあるんですが、それは確かにそうかもしれませんが、ある意味、公共事業である限り、何らかの市民生活に影響が出る場合は、やはり税金を使ってそれを整備していくというのがもう公共事業の宿命だろうというふうに思いますから、そこら辺のところを私企業と比較するというのが本当に妥当なのかというのは、ちょっと疑問が湧きます。
 そういう視点で見ると、今朝方の100億というのは、実際の赤字というのは27億なんだろうなというふうにまず理解したいと、自分としては。そうして見たときに、この27億の豊洲の赤字が全体の市場会計の中では、なべていくと数億円の経常損益としてなってしまうというあたりが、どこでそういうふうになるのかというのは、ちょっと仕組みがよくわからない。単純にこれだけの赤があるものがどうしたらそれが埋められていくというのがちょっと理解できないというのが一つです。
 それから、もう一つ申し上げたいのは、82億という豊洲の運営経費なんですが、これが築地では19億ということで、約4倍に膨れ上がっているわけですね。4倍の内訳をよく考えてみると、単純な施設の延べ床面積でいうと、たしか先ほどの分析で1.8倍というような報告があったと思うんですが、約2倍になっていると。その分を差し引いて考えると、約2倍とか、2.4倍ぐらいのフロア単価での費用が余計にかかっているという計算になります。これはどうなのかなというふうに自分で考えてみると、やはり豊洲が閉鎖型になった点で、よりハイスペックな施設であると。それを整えるための設備も余計にかかっているというようなことで、やはりそういうものを運営するための費用がかかっているということだと思います。ということで、今後こういう市場をハイスペック化していくということが求められるという、先ほど座長もおっしゃいましたが、そういうことを考えると、今後老朽化したものをハイスペック化していったときに、もともとの経費以上の経費がかかってくるということがある程度市民の理解、都民の理解としてなければ、やはりこういうものが次々と投資ができなくなるんじゃないかというのは感じています。
 そういう意味で、都民としては、単に税金が使われるということじゃなくて、果たしてそういう税金の使われ方が本当に有効な使われ方なのかどうかというのは、やはり議会を通してチェックしていただきたいですし、そういう観点でこの費用が膨らんでいるということを理解したいなというふうに思いました。ちょっとその辺だけ。

○小島座長 何かコメント。
 お願いします。

○財務課長 まず、他市場の話なんですが、これはあくまで今回の前提による試算なんですが、各市場の各場の整備改修費ということで、年間50億円ということを一応のせております。これはいわゆる建設改良費でして、新しく施設を整備するという、資産計上されるような施設を整備するというような事業でございますので、ちょっとこの50億円のうちで、これをどういうふうに各場使っていくかというようなことは、また今後、整備計画を策定していく中で決まっていくんでしょうが、その中で機能アップを図っていくということで、一応収支の試算上の考え方としては、他市場にもそれなりの投資をするというようなことを踏まえて、既存の市場の機能アップも図るということを想定して収支は作っているというのが一つです。
 あと、雑収益の話がございましたが、これは私どもの会計の特徴ですが、雑収益のほとんどは光熱水費の業界分を都が立てかえていた分が都の方に収入されるというものがほとんどでございまして、実際に私どもの収入の構成は、市場使用料とそういった光熱費の立てかえ分の雑収益と一般会計からいただいている補助金がほとんどでございまして、あと、残り、もちろん企業努力でいろんな収益を上げていかなくちゃいけないというのはそのとおりなんですが、なかなかドラスティックにどんと新たな収益を上げるというのは難しいという中でも、いろいろな工夫は今後していかなくちゃいけないと思いますので、そういったものは、先生方からいろいろ御教示いただきながら、頑張っていきたいなと思っております。
 あと、豊洲市場、減価償却抜きの収支の関係なんですが、こちら、減価償却を除きますと、例えば大田市場の収支なんかを見ますと、物凄く収支がよくなります。そういった意味では、減価償却なしで本当に中央卸売市場の11市場というんでしょうか、全体の1日当たりの運営、1日とか、1年とか、運営経費みたいな形で見ますと、全体でいくと、豊洲のマイナス分が希釈されるというようなことに結果的になっているというようなことで、それがこの収支にあらわれていると、数字としては一応あらわれているというふうなことでございます。

○小島座長 何か減価償却を考えなくても、経営は大丈夫だという議論になってくると、何かずっと例えば60年たって、もう耐用年数来ましたよねという、いわゆるね、俗にね。そこでは税金でつくるんですかね。企業会計だから、税金を投入しないで回していくというのが原則だから、それでいいんだということになると、税金投入を前提としてないですかね。

○菊森委員 それでいいんだということは決してないと私は思います。やはり先ほど来申し上げているように、毎年20億の、少なくとも、一般会計補助金というのを投入しているという大前提がこのシミュレーションにはあるわけですし、恐らくそれ以上に赤字が出てくる、収支が合わなくなってくる、赤字が5億から、例えば15億とか、20億とかに万が一なってくるということは当然考えられるわけですよね。というのは、それは営業収益のところの数値がちょっと減るだけで随分変わってくる可能性もあると。そういったものにどういうふうに対応していけるかというときに、やっぱり一般財源からだけ投入してというのは、ちょっとあり得ないだろうと。やっぱり市場は市場の努力をして、その赤字幅をできるだけ縮小できるところは縮小していくということがもう大前提になっていかないと、都民の賛同も業界の賛同も得られないのではないだろうかというふうに私は思うんですね。
 一番大事なところは、収支をいかに健全に保つ努力をするかということではないかと思います。税金投入というのは、できるうちはいいですが、東京都さんは十分それ、できる可能性、今のところはあると思いますが、ただ、それをやっぱり合意してくれないと、これもできないわけですので、非常にそこは気をつけて経営努力を続けていく必要はあろうと思います。

○小島座長 そのほか、いかがでしょうか。
 井上先生、どうぞ。

○井上委員 時間も大分迫っているので、ちょっと単純な質問だけなんですが、特別利益のところで744億円を5年間ということで、これ、単純に計算すると3,720億円。土地、築地の跡地処分収入が4,386億円ということで、この差分が結局売却に伴ういろんなコストを見ていると、単純にそう理解すればよろしいでしょうか。

○財務課長 差額は簿価でございまして、簿価を除いた本当の利益分です。築地の土地の土壌汚染対策が必要な可能性があるとか、あとは、埋文でしたっけ、埋蔵文化財の調査が必要であるとかというようなことも踏まえまして、200億円のコスト削減を一応見込んで、残った収益をこちらに特別利益で計上しているという形をとらせていただいております。

○小島座長 計算が合わないということですか、数字が。

○井上委員 いや、違う数字が出ているので、どうなのかなと……。

○小島座長 よろしいですか。いかがでしょう。

○森高委員 事業継続は非常にある意味では厳しいのかなという印象を持ちましたが、豊洲というのは非常に公益性の高い施設であるんですが、今施設使用料がメーンの収益で、あとは、だから、維持管理でどれだけコストダウンを図るかということだけではなくて、先ほどもお話ありましたけども、やはり民間的な経営の視点って非常に大事で、例えば今、市場関係者が使用される施設でありますけども、例えば見学者通路も整備されていて、一般の方も来られるわけですよね。その一般の方をもっと積極的に動員して、その中で、東京都が独自で何らかの事業ができないかということは、法律的に難しいのかどうかもしれませが、そういうことはこれから検討できるんでしょうかね。というのが私の質問です。

○小島座長 どなたがお答えいただけますか。私が最初に出した民営化に対して、民営的な手法を導入することについて、東京都はどう考えているのかという答えもあわせてお願いしたいと思いますが。

○市場政策課長 市場政策課長の笹森と申します。よろしくお願いします。
 まず、座長の民間の経営視点というところについて、今までどうだったのかというところをお話をさせていただきたいと思います。
 御案内かと思いますが、豊洲市場については、過去、PFIの事業で整備をしていこうということで始まっております。ただ、土壌汚染対策工事と建築の工事が輻輳するということで、そこの部分のVFM、バリュー・フォー・マネーが見込めないということで、直営の方式にして、やり方もしっかりもっと経費を見直しながら、直営に切りかえたということで、PFIではそういうことをやったことがあります。
 あとは、通常の維持管理という考え方で、警備委託ですとか、清掃ですとか、そういう外部委託にできる、専門の業者に外部委託できるものについては、これまでも可能な限り委託をしてきて、経営という視点になるかちょっとわかりませんが、そういう自らの努力ということもやってきたというのがあります。
 あとは、指定管理の制度についてなんですが、過去、既に導入がされてます大阪の例を情報収集ということもこれはしております。我々の中でもいろいろ考えてはおりましたが、基本的に、まず、国の方で業務規程例というものが示されております。そちらの方で、指定管理者が行う業務、行える業務というものが例示されておりまして、その中には仲卸業者さんの業務の許可ですとか、関連事業者さんの業務の許可といった、市場取引の業務という部分については、これは指定管理者ではなくて、開設者の方できちっとやりなさいと。それ以外の施設管理という面は、これは指定管理でもできますよねというところで例示がされているというところがあります。先ほど申し上げたとおり、我々東京都としても可能な限り外部委託をしてきているというところと、今申し上げた業務規程例で指定管理者ができる業務の範囲というのがなかなか広がらない、大きくないということを考えると、その導入、指定管理の導入のメリットというのは小さいのではないかなということを考えております。
 森高先生のお話で、なるべく収入を増やせないのかというところでございますが、なかなか収入という面では、条例の中で収入をするものというのが決まってございますので、その中でやってはおりますが、また別途、新たな収入を確保というのは、これから考えていかなければいけない課題なのかもしれませんが、今現状ではちょっと縛りがなかなかありますので、難しいというのが今のところのお答えでございます。

○小島座長 はい、ありがとうございました。
 なかなか今までの議論もそうですし、まだ議論を詰めていかなきゃいけない部分があります。先ほどの森山委員の話ではありますが、全体的に使用指定している面積が築地と豊洲があまり変わらない。しかし、豊洲というのは、築地の2倍弱あるわけですよね。そうすると、その他は何なんだろうというと、そのほかは、共有部分であるとか、東京都が持つということですよね。東京都が持つということは、市場会計全体で見るということなわけですから、先ほど言ったような議論になっていく。そうすると、とにかく豊洲の業者さんが潰れちゃいけないから、できるだけ使用指定するところは狭くして、それで、市場会計全体で見られる部分を多くするって、そうしないと業者さんも潰れちゃう。だから、物凄く大きな経費の赤字部分が、豊洲に移った場合の業者が潰れないように、どこかに転嫁しなきゃいけないという。その転嫁の先が他の10の市場に行っているんじゃないんですかという、そういうふうにこの数字が読めるというのが先ほどの指摘なんですよね。そのままどんどんとやっていったら、先ほどのランニングコストというのを見せていただきましたが、本当にもろに被せていったら、やっぱり潰れちゃうんですよね、きっとね。だから、そういう構造になっている。そういう意味では、他の10の市場に支えられた豊洲の市場ということが言えるんだろうなという気がするんですよ。

   ウ その他
○小島座長 もう一つ、ちょっと時間がオーバーしてしまって申しわけないんですが、閉鎖型の売場の設計を行う上で配慮した事項というのを出していただきました。前回の宿題ですが、これを説明していただきたいと思います。ちょっと時間がオーバーして申し訳ありません。

○建設技術担当課長 それでは、最後についております資料4の方をご覧いただきたいと思います。
(資料4 2ページ)
 今お話しいただいたとおり、前回のPTのときに、断熱なり、空調などの考え方については、簡単な御説明をしたところですが、本日は資料を御用意して御説明させていただきたいと思います。
 こちらにございますとおり、まず、断熱について、少し建物ごとに、ちょっと考え方が違いますので、御用意しております。青果棟ですとか、水産仲卸売場棟については、それぞれ設定温度、基本は22度、あるいは25度、それから、水産卸売場棟については、10.5度の低温を可能とするという前提にしておりますので、それぞれ断熱の仕様も異なるというところでございます。
 具体的に、上段のこちらでございますが、耐火断熱鋼板パネルということで、これを使用することによって、黒字で書いてありますが、平成25年度省エネルギー基準に基づく事務所などの、これは事務所をどうして引用しているかといいますと、事務所というのは室内設定温度、夏季が26度、冬季が22度となっておりますので、こちらを使って、それを上回る仕様となっているというような御説明でございます。それから、こちらの10.5度につきましては、この耐火断熱鋼板パネルに加えまして、冷蔵庫断熱パネルというような形で、その内側にもう一個設定しているというような使い方になっておりまして、これを、この断熱パネルを使うときに、じゃあ、費用対効果をどういうふうに考えたのかというような御質問も前回ございましたが、ここにありますとおり、まず、10.5度まで冷却できる構造とするという目的とともに、地震時の建物変形への追従を可能とするというようなところも必要になってまいりますので、そのときの冷蔵庫断熱パネルの仕様というのがここにございます。
 こちらにありますとおり、一番薄い仕様で42ミリで、マイナス5度以上というようなものでございますので、これが厚くなれば高くなります。それから、10.5度に一番近いのがマイナス5度というところですので、この42ミリのものを採用しましたというようなところで、確保するべき温度に合わせて効率的な仕様を用意したというようなところでございます。
(資料4 3ページ)
 もう1点、断熱以外でどのような考え方で設計をしたかというところで、事例としては、水産卸売場棟の1階の部分の温度管理のイメージを御用意してございます。
 考え方としましては、ここ、真ん中に、まず、建物中央部に売り場を用意して、その外周に通路を回しているというようなゾーニングをすることによって、外部からの熱をそんなに伝えないように、低く温度を設定する売場に伝えないようなゾーニングで効率的な温度管理をしましょうというような考え方が一つでございます。
 それから、ここにマグロなどの大物売場ですとか、エビ売場、15から20度、あるいはこっちは10.5度というところは赤く囲っておりますが、こちらにつきましては、発泡スチロールの中に氷を入れて、入れた状態で温度管理ができないというようなものにつきましては、特に低温管理をするというところで、外周を冷蔵庫パネルでさらに区画をして、搬出入口については、オーバーヘッドドアなどで保冷効果を高めているというような設計上の考え方をしております。
(資料4 4ページ)
 その他、空調ですとか、電気設備についても、省エネという観点で配慮したというところを今日事例で用意してございます。
 空調設備についてですが、商品の積み上げ高さより少し高い位置で温度管理をする、居住域吹出空調システムというようなものですとか、風量を調整できる可変風量装置などを導入するというような工夫、それから、換気設備でございますが、外気の温度が室温より低い場合に、外気を積極的に室内に導入して冷房に利用する外気冷房システム、エネルギー管理システムを導入することによって、省エネルギーに配慮した運転とすると。
 それから、電気設備においても、LED照明を採用して高効率、あるいはメンテナンス性の配慮を行うとともに、照明のスケジュール運転、スイッチの細分化などにより、省エネの運用を行うというような形で売場の設計をしております。
 説明は以上でございます。

○小島座長 ありがとうございました。
 先生方、何かコメントございますか。
 ないようです。どうもありがとうございました。
 それでは、次回ですが、月1回と、こういうペースで進んでおります。次回は、築地市場の補修、リノベーションも含んでということでございますし、3月は、井上先生、時松先生に、地震、液状化、そういう問題、それと土壌の関係ですね、そのことをテーマにしたいと思います。そして、4月なんですが、専門家会議が少し遅れるような、2月が一回飛んでるということもあります。出てくれば、それへの対応ですが、そうでなければ、随分いろんなことが積み残されておりますので、4月の段階に余裕があれば、詰めなければいけない問題を詰めていきたいと。今日の議論も実はほんの一端でございますので、もう一度詰めてみたいというふうには思っております。スケジュールを見ながら、また御相談をさせていただきたいんですが、今の状況だと、4月にそれができそうかなというふうに思いますので、梶田先生、また菊森先生、よろしくお願いいたします。皆様もよろしくお願いいたします。

 4.閉会
○小島座長 それでは、10分ほど延びましたが、きょうはこれで終わりたいと思いますが、事務局から何かございますでしょうか。

○事務局 小島座長、どうもありがとうございました。
 本日の議題は以上となります。限られた時間ではありましたが、豊洲市場や事業者の事業継続性などについて検討することができました。
 最後に、事務局より事務的な連絡をさせていただきます。
 本日の会議の議事録ですが、準備が整い次第、都庁のホームページに掲載いたしますので、あらかじめ御了承ください。
 以上をもちまして、第5回市場問題プロジェクトチーム会議を閉会いたします。どうもありがとうございました。

19時11分閉会

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