市場問題プロジェクトチームによる築地市場内の事業者へのヒアリング議事録

平成28年11月15日(火曜)
築地市場2階第4会議室

午後1時02分開会

○小島座長 「市場問題プロジェクトチームによる築地市場内での事業者へのヒアリング」を開催したいと思います。
 まず、お配りしてある資料の確認をしたいと思います。
 よろしくお願いします。

○事務局(池上) 本日お手元にお配りしている資料は、まず式次第、裏面にプロジェクトチームの委員名簿が記載してあるものが1枚。パワーポイントの資料をホッチキスどめにしたものが一つ。また、両面になっているアンケート用紙を付けております。
 配布している資料は以上ですが、不足がございましたらおっしゃってください。

○小島座長 よろしいでしょうか。
 では、始めさせていただきます。
 本日は、急なことにもかかわりませず、皆様おいでいただきまして、どうもありがとうございました。
 青果の方々には、今日は大きな行事があり、日程が合わず、申し訳ないことをしました。
 私どもが皆様方のお声を直接聞く機会を設けさせていただいたのは初めてのことです。専門家会議のほうは、化学物質のリスクコミュニケーションということで、最初から皆様方のお話を聞かせていただいていますが、私ども市場PTは少し役割が違いますので、その市場PTとはどういう仕事をするのかということ、本日ご意見をお聞きしたいということについて、最初に説明させていただきます。
 まず、市場プロジェクトチームのメンバーを紹介したいと思います。
 私は、座長を務めます小島と申します。よろしくお願いいたします。
 続いて、菊森さんです。
 佐藤さんです。
 時松先生です。
 森高先生です。
 森山さんです。
 今日は2名が欠席していますが、残りのメンバーでお話を聞かせていただきたいと思います。
 まず経過についてです。
(資料3ページ参照)
 今年8月31日、小池知事の記者会見で、延期を決めたときのお話です。小池都政は「都民ファースト」です。「一度決めたことだから」、「もう作ってしまったのだから」、「既定路線だから」、だから何も考えなくていいという都政は行わない、これまでの決定等で「都民ファースト」に基づいていないものは、都民目線で情報を公開し、経緯を明らかにする。都民の利益を第一に考え、時に政策を変更するということを話しています。
(資料4ページ参照)
 そして、プロジェクトチームの設置について、この段階でお話しされています。プロジェクトチームの役割として、「(1)土壌汚染の安全性」。「(2)豊洲新市場の施設」、これを可能な限り安全で働きやすいものにする。「(3)豊洲新市場の事業の検討」、事業の継続性、予算の適正性を調査する。「(4)新たな移転時期」は、知事が判断されることですので、プロジェクトチームの検討を受けて判断されます。「(5)支援措置」は、中央卸売市場の運営は都庁の方々がされていますので、市場プロジェクトチームの役割は、(1)、(2)、(3)になります。
(資料5ページ参照)
 これを明確にしたものがプロジェクトチームの設置要綱です。私どもの役割は、(1)、(2)、(3)のことについて検討し、その結果を知事に報告することです。
(資料6ページ参照)
 市場問題プロジェクトチームの課題をもう少し説明します。
 まず、「1. 土壌汚染の安全性」として、(1)として「2年間の地下水モニタリングの結果の確認・評価」、(2)として「その他」ということでした。しかし、その後、豊洲の建物の地下ピットに盛り土がなかったことが判明しました。そのことの影響は、行政手続的にはどういうことかと申しますと、わかりやすく言うと、専門家会議の時点に時計の針が戻ったということです。ですから、もう一度専門家会議の開催をし、対策の提言をいただき、前回、環境アセスメントは盛り土ありで進めていましたから、盛り土なしの場合はどうなるかという、この一連の手続きを再び踏んでいるところです。
 この問題については、市場問題PTは、専門家会議のセカンドオピニオン、専門家会議の報告書がまとまった段階でそれを評価することになります。
(資料7ページ参照)
 このことを11月4日の知事の記者会見では、ステップ1、ステップ2、ステップ3、ステップ4という形で説明されています。環境アセスメントは、事業の着手前に行うものですから、今回は、専門家会議が提言される対策について、アセスメントの可否をアセス審議会でご判断いただくことになります。当然、アセスの趣旨から、アセスメントの前に知事が判断することはありませんので、知事の判断はその後になるという行政手続き上の説明をしています。
 その間について、市場業者への支援・補償、その間の豊洲新市場の維持費のさらなる削減、環状2号線地下化の代替措置、築地の補修についてお話をされています。
(資料8ページ参照)
 11月4日の小池知事の会見の中で、ステップ4「農林水産大臣への認可手続」のところで、最後に知事が判断しなければいけないことは、東京都として、安全性の確保など適切な場所での開設、業務の適正かつ健全な運営の確保を確認した上で行うわけですから、市場問題PTの役割は、まさにこの判断についての検討材料を報告することになります。
(資料9ページ参照)
 豊洲新市場の施設について、もう少し細かく説明します。
 「(1)施設の安全性」の1)には「建物の構造計算」と書いてありますが、構造安全性ということで前回PTで議論しました。次回は、「2)建物の設備等」、「(2)施設の機能」として「「1)交通アクセス」、「2)市場内の動線」、「3)市場内の各機能のスペース」、主に物流の動きについて検討することとしておりますが、本日ご意見をお伺いしたいことはこの点にとどまらず、豊洲新市場の施設、例えばコールドチェーンであるとか働きやすい施設かどうか等についてご意見をお聞きしたいと思います。
 PTは、そのほか、建設費の適正性、築地市場の現状・応急措置、これは補修につながるかと思いますが、それらについても検討したいと考えております。
(資料10ページ参照)
 10ページは、市場の、いわゆるお金の話についても作業を進めております。
(資料11ページ参照)
 さて、このPTの役割についてです。築地から豊洲へ移った後はどうなるかということです。今、並行してオリンピック・パラリンピックの施設整備の話があります。オリンピック・パラリンピックの組織委員会の仕事は、オリンピック・パラリンピックを成功させるということです。1か月程度のオリンピック・パラリンピックが成功すれば、組織委員会は解散します。しかし、整備した施設をどのように運営していくかは東京都のその後の仕事です。つまり、オリンピック・パラリンピックが終わったら、よかったねということではなくて、その後の施設をどう運営していくかが今検討されて、そして、どのように施設を整備していけばいいかという検討をしています。
 豊洲も同じです。豊洲に移転して終わりではありません。豊洲新市場がうまく機能するかどうかが大きな問題です。ゴールは、都民の安全で安心な食の提供を安定的に供給できる中央卸売市場の機能・ブランドを確保することと考えています。そのための調査検討を進めていくわけです。
(資料12ページ参照)
 少しくだけた絵が載っていますが、ある意味では、分家住宅から近代的なマンションに移るというときに、私どもは何を考えるか。その建物を見て、建物が新しくて良いな、全館冷暖房完備だし、セキュリティもいいなと。しかし、ちょっと待てよ、ここは仕事をしやすいところだろうか、機能は充実しているかということを考えますし、最終的には懐具合を考えます。家賃はいくらだろうか、水光熱費・警備費はいくらか。修繕のための積立金はいくらになるのだろうか。こういうことを考えて、最終的に引っ越すかどうかを判断するのが通常の転居です。
 当然、市場の移転についてもこういうことを考えなければなりません。
(資料13ページ参照)
 13ページをご覧ください。少し古いものですが、「疑問解消BOOK」から転載した、築地の当時の状況が載っています。平成19年ですから随分古いのですが、こういう水産物、成果物の物流、物を動かす。そして、今回のテーマとしている車ですが、1日の入場車両が、平成14年ですから随分前ですが、約1万9,000台でした。
(資料14ページ参照)
 豊洲市場の施設概要です。豊洲市場は広くなっています。市場全体では、街区面積は築地市場の1.7倍、施設規模も築地市場の1.7倍です。それが右上の赤い枠囲みの中に記載してあります。
(資料15ページ参照)
 そして、豊洲新市場にどのくらいの車が来るかについて、「豊洲新市場実施計画のまとめ」を参考に出させていただきました。これは平成17年9月のものです。これを見ると、水産物部における豊洲市場の自動車搬出入台数は、下の「街区別側面」を見ると、卸・転配送は、7街区ではピークで189台。1分間に3.1台です。仲卸の6街区では、339台、1分間に5.6台という計算になっています。これが、実際に今、皆様がお使いの築地市場での感覚と比べて、合っているものかどうかというご意見もいただきたいと思っています。
(資料16ページ参照)
 これは、その元データですので省略します。
(資料17ページ参照)
 前回PTで予告しました、PTとして何が検討課題かということの一つです。まず第1が、水産仲卸売場入り口のヘアピンカーブのところです。ピーク時に、この道路を車が入ったり出たりする。このときに、安全で円滑な運行ができるかどうかです。
(資料18ページ参照)
 第2に、水産仲卸売場棟内のスロープです。勾配は10%ですが、随分と長いスロープです。
(資料19ページ参照)
 そして、そのスロープの先もヘアピンカーブになっていまして、上りが2車線、下りが1車線ありますが、ピーク時には多くのターレが動いているおり、このカーブを安全かつ円滑に曲がりきることができるだろうかということも、実際にターレを運転して、あるいは、フォークリフトもあるかもしれませんが、実際に運転される方々がどうお感じになるかという実際の感覚をお聞きしたいと思いました。
 マンションを見る場合、現代は男女平等かもしれませんが、旦那さんが台所の設計が云々と言っても始まらないわけで、実際に台所で料理をする奥さんの意見を聞かないとわからない。同様に、実際にターレを動かしたり、自動車を運転される方々のご意見はどうだろうかということをお聞きしたいと思います。
(資料20ページ参照)
 もう一つ。左側は、これも「疑問解消BOOK」からです。なぜ、築地の再整備がだめなのかということで出てくるのは、重層化すると不都合が生じる。1点目は物流効率の著しい低下、2点目はコストの増大ということを言っていらっしゃいます。豊洲市場はどうかときいうと、豊洲市場も重層化されています。ということは、ここで指摘したことは豊洲市場にも当てはまりますので、場内物流が築地に比べてどのくらい時間がかかるのか、これは場内に滞留する車がどのくらいかということにかかわってまいります。例えば、7街区の4階から6街区の4階までターレで荷物を運ぶとどのくらいの時間がかかるか、現在、築地市場ではどうなのか、などです。
(資料21ページ参照)
 私どもがもう一つ検討しなければならないことは、買い回りの動線はどうなのかということです。過去の経緯を調べると、左上の図の基本計画では、水産仲卸は7街区にあって、6街区の水産卸、5街区の青果の中間にありました。これが実施計画のまとめの段階でひっくり返りまして、水産仲卸が6街区、水産卸が7街区となりました。このことによって、設計上、水産と青果の買い回りをどうするのか、その動線はどうなるのか、あるいは、桟橋を使って卸のほうに荷物を入れるということで、6街区に桟橋がありますが、桟橋はそのまま使って整備しています。これはどのように活用されるのかということを検討したいと考えています。
(資料22ページ参照)
 22ページをご覧ください。先日の知事の記者会見で明らかにされていますが、建物を設計する場合、通常、ライフサイクルコストというものを出します。第1に建設費、償却まで四十数年かかるとすると、その間に建物・設備を替えなければいけません。建物・設備の維持管理費用がいくらになるのか、そして、日々のランニングコストがいくらになるのかということです。
 建設費は2,752億円と出ていますが、建物・設備の維持管理費用は東京都が積算するということで、まだわかっていません。これらの費用は、市場会計は独立採算が基本ですので、使用料の積算に反映することになります。また、日々のランニングコストは、これは確定値ではなく、平成27年度決算は見込みの段階ですが、警備、設備保守、電気・水道などを入れて1日当たり430万円です。豊洲新市場はいくらかということで、これも概算値ですが、1日当たり2,100万円ですので、概ね5倍です。これは利用者に負担していただかなければなりません。
 こういうことで、先ほど12ページの絵で示しましたが、こういう諸元が、今、明らかになってきております。
(資料23ページ参照)
 23ページをご覧ください。減価償却等で使用料に反映していく建物の値段は、4年間で建設費が突出して増加しています。これが問題であることは、一つには、その経過がどうなのかということがありますが、この費用は最終的には業者の皆様使用料に反映するということで、この建物の高騰が問題だということです。
(資料24ページ参照)
 前回、専門家会議に出席させていただきました。何人かの方々が築地に残りたいというご発言がありました。では、築地はどうなのかということの経過を見てまいりますと、かつての築地再整備計画、平成2年の中央卸売市場のパンフレットを見ると、こういう絵があります。歌舞伎座のタワーのようなものがあったりします。こういうことで、事業費として3,400億円かかるという計画でした。
(資料25ページ参照)
 当時の豊洲新市場と現在地再整備の比較があります。この中で、築地市場跡地の売却収入については注意が必要ということが記載されています。これは、それを過大見積もりすると、残りの部分が使用料の増大につながってくる、業者負担になるということで注意を促しています。
(資料26ページ参照)
 そのときの資料です。これも「疑問解消BOOK」からです。なぜ築地の再整備が否定されたかについて、左側の赤い四角の中に、工期の遅れ、業界調整の難航、整備費の増大ということが挙げられています。
(資料27ページ参照)
 左下に絵がありますが、再整備をするには種地が必要ということがあります。これを要約すると、右上に記載されていますが、種地が確保できない、時間と費用がかかる、業界調整が難航、これが当時の説明です。築地に残る場合には、この問題を解決しなければならないわけです。
(資料28ページ参照)
 次に、築地市場の補修ということを知事がおっしゃいました。これは、築地市場も豊洲市場も都の行政財産であり、家主としての責任があります。補修に関しては、検討事項として、屋根の雨漏り、排水溝の目詰まり、海水ろ過装置、道路のでこぼこ、電気配線、トイレ、ターレの不法投棄、自転車駐車場の整備などいろいろあるかと思います。どのようなものがあるかを見て、計画的に対応することが効率的だろうと思っています。
 最も大きな問題は、PTの中で構造の問題を議論した際に、築地の耐震の問題も大きな過大であるという、中でのご意見があります。これも検討事項です。
 以上、PTが一体何を考えているのかということの説明です。
(資料29ページ参照)
 最後に、「実態に即してご意見をお聞きしたい事柄」ということで、要望書などをいただいておりまして、そこからも例示させていただきました。「施設の安全性・機能性」ということで、建物の設備、交通アクセス、場内動線、店舗や冷蔵庫等の配置、海水のお話もありましたので、具体的なお話、ご意見をお聞きしたいと思います。
 以上、PTの紹介とPTの役割、知事への報告書をつくらなければいけないことと、検討として何を考えているかということについて説明申し上げました。
 今、私がお話をした件についてのご質問でもよろしいですし、私どもとしては、実際に働いている方々のご意見をお聞きしたいということです。
 本日は、青果のほうで行事があって早く退席されなければいけないという方がいらっしゃると聞いています。どなたでしょうか。
 では、最初にお願いします。

○伊藤氏(水産物卸売業者協会) 私は1時半には出なければいけないものですから。
 私は卸業者の一人で、卸協会の会長をしている伊藤と申します。
 幾つかお尋ねしたいことがあります。1番に、今、先生からお話しいただいたことは、概略よくわかりました。先生方のプロジェクトチームが知事に答申なさるのは、大体いつごろを想定なさっていらっしゃるのでしょうか。
 2番目に、資料の後半に、いろいろな使い勝手のことが載っていますが、仲卸さんの側でご覧になって、車のあがきや買い回りということが記載されていますが、私ども卸から見て、あるいは、全体を見て、ここでは問題点にほとんど触れられていません。私は、今一番感じていることは、豊洲市場の設計自体が基本的になっていない、いわゆる物量と入出荷の車、それぞれの台数や時間、大きさ、また、物量にしても、取り扱う品目それぞれの内容の個性がかなり変わっていることもあります。そういう中で、この設計自体が、本来、この市場が求める機動力というか、物流に対する配慮がほとんど不足していると思います。
 例えば7街区で申し上げると、物の出入りの窓口であるバースが設けられていますが、このバースの数が圧倒的に不足しています。1階、3階、また、4階の転配送センターですが、それらを見て、3階は予想されるものでほぼうまくいくかと思いますが、1階については圧倒的に不足しています。物流がどう動くかという、これは予想ですが、それらも我々の勘では、ここでお求めになる仲卸さんたちの物流動線も考えた上で、全体的には、7街区から外へ出るものがかなり多いと見ています。それら全体を想定した中で、バースが圧倒的に不足しています。
 これは7街区の協議会でもさんざん検討していまして、車の配置、時間別、そういうものの検討を今していますけれども、とてもではないけれども、このバースだけではほとんど頼りにならない。これを何回転すればいいのか。例えば、何時間で済ませればいいのか。そういうことを今検討していますが、圧倒的に不足しています。
 そういうことを考えると、まずみんなが考えつくことは、外にある駐車場を使うことです。しかし、駐車場は、6街区は駐車場に屋根をかけてあります。そして、これを積込み駐車場ということで用途を変えています。ところが、7街区は、全部に屋根がかかっていません。3階はある程度ありますが、1階と4階はほとんど青天井です。これでは、雨のことだけを考えても、全く不便です。また、日当たり等を考えれば、こんなことでいいのかと大変心配です。
 その上、当時の東京都の方針として、1階の駐車場で積み下ろしすることはまかりならぬという大方針がありました。しかし、3階と4階はいいと。なぜそうなのかと聞いたら、1階は目立つからと。人目につく場所で積み下ろしをされては市場の格好が悪いということが理由でした。
 しかし、検討した結果、全部の車がうまく配置できないわけです。それで、私ども何人かで、当時の市場長のところへ行きまして、これではとてもではないけれども、無理だと。市場として仕事にならないと申し上げて、これは都議会その他にもお伺いを立ててくださった結果として出てきた答えが、11月7日が開場だから、12月いっぱい、2か月間だけは特別に1階のある部分を積み下ろしに使ってよろしい、これは特別許可だという言い方でしたが、そういうことはあるのでしょうか。
 私は、バースを増やしていただくことが当然の要求ですが、それはなかなか無理だと思います。それであれば、少なくとも、6街区並みに駐車場に屋根をかけていただきたい。これは最低のお願いです。
 ところが、建築の専門家に聞くと、4階の駐車場には屋根はかけられないそうです。なぜかと聞いたら、建物の強度がそれに耐えられないから無理だと。だから、4階は青天井でも仕方がないということです。しかし、ここも集配の車の規模がかなり多いものですから、これら全部の収容は恐らく無理だろう、幾らかははみ出してしまうだろう、それをどうするのかなどいろいろな問題があります。
 そういう点で、豊洲市場の設計自体が、本当の意味での効率的な物流が考えられていない建物になっている。それをいかにカバーするか、あるいは、ソフト面で、私どもの使い方でどのようにしてこれをカバーできるかということを、もう何か月もかけて検討しています。皆さんで検討していて、開場の延期が決まってからもまだ検討会は続いていますが、いまだに結論が出ていません。答えが出ません。全部を詳細に、この車はこの時間、このように使おう、ここはここで行ってもらおうということで検討していますが、いまだに答えが出ない。ということは、基本的に設計の問題と、東京都の考え方、市場の使い方、これらについて硬直した、あるいは、世間体だけを考えた、全くつまらない考え方だということで、これに対しては絶対に応じられない。放っておくと無政府状態になりかねないものですから、それを大変心配しています。
 もう一つ。先ほど、コールドチェーンという言葉がありましたが、この市場はコールドチェーンにはなっていません。なぜかというと、東京都が用意したのは地域冷暖房です。したがって、23度から25度の温度しか確保できません。これは冷房の温度です。青果には良いかもしれませんが、水産の本来の機能、商品の特徴から考えて、この温度では不足です。
 私どもが考えたのは、海外では、5度や3度という例もありますが、我々としては、少なくとも10度に持っていかなければいけないだろうということで、いくらお願いしてもだめでした。そこまで言うのであれば民間でやれということで、1階も、3階も、4階も、それぞれの業者負担でこの設備を整えたところです。したがって、7街区については、この面ではある程度コールドが確保できますが、先ほど申しましたように、積込み場が、例えば6街区で屋根をかけたといっても、この場所は常温です。したがって、コールドチェーンではありません。
 今、私が申し上げているのは、クールな売場としか言えない。売場から外に出ると常温です。したがって、コールドチェーンではありません。そういう設備だということを申し上げておきたいと思います。
 とりあえず、私からは以上です。

○小島座長 ありがとうございました。
 まず第1点の時期ですが、先ほど申し上げましたように、市場PTは専門家会議の報告書に対してセカンドオピニオンを述べますので、ステップで申し上げますと、専門家会議の報告書が取りまとめられた後になります。専門家会議がいつ報告書を取りまとめられるかにかかっていますが、少なくともその後ですので、プラス1か月くらいを、それまでに必要な我々の検討が済んでいる場合は、最後に残ったその問題のセカンドオピニオンを述べるということですので、おおむねそういう計算になろうかと思います。
 物流のお話については、まさに私どもが次回、日建設計や東京都から、どのくらいの台数で、どういう設計をしているのかと。もちろん、市場の設計ですので、お話しになったことを踏まえて設計をすることが基本ですから、そこを聞いてまいりたいと考えています。
 コールドチェーンについては、次回になりますが、民間の会社では、おっしゃったコールドチェーンが商売上実現している施設もあると聞いております。それと比べると、今おっしゃったようなクールな売場というご意見もうなずけると思います。
 では、本日は皆さんのご意見をお聞きしたいと思いますが、早めに退室しなければいけない方はほかにいらっしゃいますか。
 それでは、どなたでも結構ですので、こういう問題がある、実際に使ってみる、習熟訓練などをした体験から、こういうものでなければ危険であるとか、こうしてほしいなどのご意見があればお聞きしたいと思います。

○大川氏(買参共同組合) 築地の買参組合の大川と申します。
 今日のこの機会を本当にありがとうございます。ただ、皆様方は建築関係の専門家の方ですので、我々の組合のほうから少し説明させていただきたいと思います。
 私たち買参組合は、売買参加権を持って、卸並びに仲卸から仕入れを行う業者の団体です。現在、組合員数は270者、昨年、卸からの仕入額は約1,300億円弱で、その他仲卸の皆さんからも多くの仕入れをさせていただいています。組合員の構成は、スーパー、量販店、飲食チェーン、加工業者、場外仲卸など様々な業態が集まる組合です。いわゆる買出人です。
 過去においても、現在においても、場内事業者に関しては、その声や意見が取り上げられます。東京都に対して、今まで、市場における買出人の意見や要望についてもしっかり耳を傾けていただきたいと常々要望してまいりましたが、後回しにされることが多く、ハードを整備すれば、当事者同士で話し合えという姿勢でした。今日の事業者ヒアリングもそうです。買出人は「その他」に分類されます。市場に買いに来る人間が「その他」になるような扱いは、非常におかしいと思っております。
 今回、施設の機能と安全性に、PTが、「所掌事務」においても「市場の在り方に関する事項」という項目がありますので、幾つか併せて質問させていただきたいと思います。
 豊洲市場は、我々の希望としては、安心・安全な市場に多くの魚が集荷されること、そして、迅速に搬出でき、かつ、コストのかからない市場であればいいのです。ご存じのとおり、小売業や飲食店においてはチェーンストア化が進み、一事業者が多くのトラックを有し、なおかつ、その大半が輸送業者です。我々の組合員数は270者ですが、トラックの台数は800台近くに上ります。なおかつ、搬出の時間帯がほぼ重なり、ピークの4時から7時台には駐車スペースの不足が起こる可能性があります。また、7街区においては、屋根のないスペースが多くあり、現在は、待機スペースから使用バースへ車を回転させながら積込みをするという、過去に前例のない取組を行う予定です。
 卸売市場の特性から、8時を過ぎれば混雑は緩和されます。取扱高や市場規模が縮小傾向ですが、末端の事業者の業態変化や特性から考えれば、ハード面における改善の余地は大いにあると考えます。
 次に、現在、買出人においては、仕入れを行う人は公共交通機関の営業外の時間帯に来場します。乗用車などで市場に来ています。搬出用のトラックはそのほとんどが輸送業者であって、仕入れを行う者を乗せてきてはくれません。買出人の駐車スペースが不足しています。現在は、築地周辺のコインパーキングや路上駐車などでしのいでいますが、豊洲においてはそのようなスペースはないように感じます。また、買出人の搬出車両スペースについては、全て有料です。我々も、魚を仕入れてお金を払い、またそのスペースに料金を払うことに関して、様々な意見がありますけれども、市場を構成する責任ある団体として、ある程度いたし方ないと思っていますが、豊洲市場の持続的な運営において、いささか不安があります。
 つまり、多くの買出人が集まれば、1台当たりの負担は減少しますが、スペースが足りなくなる。事業者数が減少したり、そのコスト嫌って買出人が減少したら、残った買出人が全て負担するかなど、開設者である東京都はどのような方向になろうとも、近い将来起こり得るこれらの課題に関して、どのように考えているかをお示しいただきたい。先ほど市場会計の話がありましたが、「利用者」とは、そこにいる事業者のことなのか、買出人も含まれるのか、そこら辺についても、買出人もお金を払うことを頭に入れておいていただければと思います。
 質問を整理すると、先ほどの伊藤会長と若干重なりますが、駐車スペースの改善や拡大については可能なのか。併せて買出人駐車場もご検討いただきたい。また、買出人が払う使用料については、現在、東京都からの要望は固定額で平米当たりでお支払いすることになっていますが、我々の努力もむなしく事業者の減少が起こった場合はどのようにするつもりなのか。持続可能な卸売市場の開設者として、将来の展望についてです。
 以上が質問です。重ねてお願いしますが、買出人の声に今後も耳を傾けていただければと思います。
 以上です。

○小島座長 ありがとうございました。
 ほかにどうぞ。

○川島氏(飲食業協同組合) 飲食業協同組合の川島と申します。
 私ども飲食業協同組合は、本来的には、築地市場で働く方々、そしてまた、買出しに来てくださる方々のために飲食を提供する食堂の集まりです。ただ、最近は、いろいろな形で築地市場が注目される中で、観光客が非常に多くなりました。日本中は当たり前で、世界中から、築地の魚を食べられる最も身近な食堂としてお客さんを集めています。
 そうした中で、私どもは豊洲市場でどのような形で皆さんに食を提供していけるのかということで、5街区、6街区、7街区に豊洲市場は分かれるというので、飲食もその3か所に配置できるようにしたいということでいろいろと希望を出してまいりました。3年前には、これから豊洲市場の設計が始まるという中で、どの場所で、どのような形で飲食が提供していけばいいのかということで、コンサルも依頼しました。そのコンサルとの相談の中で、私ども役員は、現場で働く方々や東京都の方と折衝することがなかなか難しい面がありますので、コンサルを挟んで、建築のこともいろいろ相談してまいりました。
 そして、昨年の時期においては、11月7日が開場だというので、それには内装・設備等を準備していかなければいけない。それはスケルトンで、この場所ですよと抽選を行い、我々一軒一軒の場所が決まったわけです。その内装を行うのは個人のお店です。そして、11月7日ですから、7月、8月の時点で内装作業を始め、8月の終わりごろには、内装や設備に関して五分方出来上がってしまっている。現状を知るために、我々組合の現状がどうなっているのかということでアンケートを行いました。そうすると、7割方は既に出来上がっているということでした。8月31日の都知事の延期という発言があり、そこで作業をストップした業者もいますが、その後も東京都が、途中であれば作業を進めてほしいということで、内装等が出来上がったお店が7割くらいあります。そういうことで出来上がったものが、11月7日にオープンできない。例えば、普通の新築の家でも、出来上がったままで置いておけば償却状況が発生します。新しい建物内での湿気で壁にカビが生えるなどの問題もこれから出てきます。
 また、我々の規模ですから、金額的には2,000万円前後の投資の中で、融資をいただき、それがそろそろ返済が始まる時期が来ます。利子だけではなくて、元金から返済していかなければいけない。先日、東京都の方とお話して、開場までは据え置きにしてほしいということを、東京都から銀行へ言ってくださいという話の中で、それは個人の契約だから、個人で状況の変更の手続きをしてくださいということでした。
 我々はずうっと東京都の言うとおりにしてきて、その中で進行してきているにもかかわらずストップがかかってしまい、これからどうしたらいいのかという問題があります。いろいろな形でお調べになって、だめなのか、不可能の可能性が強いのか、それとも、移転するということであれば、移転するのはいつなのか。我々業者にとっては、先が見えないので計画が立てられないわけです。今までは11月7日から逆算して、ここからここまでで出来上がっていれば順調に引っ越しできる、皆さんがんばりましょうということで号令をかけていた。ところが、先が見えなくなってしまった。どうなんだと言われても、みんなぼうっとするだけです。
 最近になってうちのダクトが壊れてしまい、空気が回らないので扉を開けっぱなしにして営業していますが、そういうことで11月7日までと我慢していたものが、修理が発生してくるわけです。そこでお金がかかる。豊洲にお金をかけて、またこっちでもお金がかかる。それについてはどうしてくれるのかという問題がたくさんあります。
 その辺を考慮していただいて、できるだけ早く結論を出していただきたいということが、飲食業協同組合の意見です。よろしくお願いします。

○小島座長 ありがとうございました。
 PTで対応する事柄と、東京都が進めている補償スキームのお話がありました。補償のスキームにかかわることは、事務局から担当にお伝えいたします。
 タイミングについては、先ほどお話ししたとおりです。市場の継続性、お金の話ですが、日本全国いろいろな開発があり、建物は建てたけれども、テナントが減ってくるので、残ったテナントの負担がどんどん大きくなってきて、結局、テナントがいなくなったという事例がつい最近も北のほうでありました。そういうことになってしまうと、そもそも市場がなくなってしまうことになりますので、市場の経営安定性は重要な課題だと思います。移転してみたら消滅したというわけにはいかない、こういうことだろうと思って、事前にしっかりした計算をしておかなければいけないということが一つの課題です。
 ほかにいかがでしょうか。

○伊藤氏(水産仲卸・東卸組合理事) 水産仲卸の団体である東卸組合の理事をしている伊藤と申します。
 私は、市場再整備問題については、昭和の時代からずっとかかわってまいりました。特に、昭和63年の築地市場再整備基本計画を立てたころの役員を務めておりまして、この基本計画の説明に各業界をずうっと回った経験があります。そして、その後、築地市場再開発特別委員会という組合の中の会議の座長を長期にわたって務めさせていただきました。そして、その基本計画に沿って現在再整備の段取りを、ずうっとお付き合いをし、座長からもお話がありましたが、まずは種地を確保しなければいけないということで、市場の中心部に空間を広く設けようということから、市場周辺にずっと仮設工事を担当してきました。
 そういう中で、最終的には、平成8年、基本計画の変更があり、その後この移転に話が移るわけですが、その辺は省かせていただくとして、今回、このPTの使命は、知事の諮問機関と位置づけてよろしいのでしょうか。そして、土壌汚染に関しても、セカンドオピニオンを構築する使命を帯びて、現在、我々とのかかわりを持ってくださっていると思います。
 先ほどもご質問がありましたが、私どもは、現在、移転が延びた、時期が決まらない、その前に移転するのかしないのかも明確ではない中で、大変なリスクを背負っています。私どもの体質は零細で、一時的にでも影響が変更になったということで大変なリスクを背負っております。したがって、今、強い関心があるのは、私どもに対する支援の問題です。
 しかし、この支援の問題をどなたと話したらいいのか。東京都の支援対策チームなのか、皆さんのようなプロジェクトチームなのか、あるいは、都議会の経済・港湾委員会なのか、あるいは、都議会の中にもプロジェクトチームができており、こうしたところとの関連が全く見えてきません。そして、私どもは、ここに至るまでに30年以上、東京都の皆さん、設計会社の皆さんといろいろな議論を尽くしてきました。今日も問題提起された内容は全てその中に含まれています。そして、その中でいろいろな議論をしながら到達したのがここです。もちろん、時期的な問題で、十二分に理解できない部分もありましたが、そういうプロセスを経てここに至ったわけです。したがって、今、セカンドオピニオンとしてこの問題を整理し、現在の施設や構造、公共交通機関の隘路はあるのか、ないのか。安全性は確保できているのかどうか。全て今まで議論した過程です。したがって、その問題に対して意見を求められるならば、私の個人的な意見かもしれませんが、今回、市場長をはじめ新市場整備部長などの更迭がありました。この人たちを呼んで、私どもも同席させてもらって、どういうプロセスでこの答えに到達したのか、これを聞けば一目瞭然です。
 もう一つ申し上げたいことは、私ども東卸組合は600弱の組織です。私が理事長を務めていたころは1,000者を超える事業所がありました。そうしたものが全部意見集約してここに来ているわけです。したがって、いろいろとご意見をお聞きするのであれば、その過程を歩んできた組合の執行部から聞くべきです。この作業を怠って、簡単に現在の市場を判断することは、おやめ願いたいと思います。
 私が一番求めたいのは、今日はこういう席を設けてくださいましたが、今回が初めてですね。初めてのこのPTを頼りにして、これからも我々のいろいろな難題、これから発生するであろう問題を討議してよろしいのかどうか。私は今までずうっと市場当局と議論してまいりました。ですから、そうした窓口がどこなのか全く明確ではないわけです。これが明確にならないと各論に入れません。ここら辺を一時も早く整理なさって、我々にお示し願いたい。そして、前向きに進めないと、我々は体力的にももちません。どうかよろしくお願いしたいと思います。

○小島座長 ありがとうございました。
 補償の問題は、支援室ではなくて、東京都の中央卸売市場ですね。チームがあると思いますが、今回、補償委員会を設置していると聞いていますので、その補償委員会が担当することになると聞いております。

○伊藤氏(水産仲卸・東卸組合理事) 今まで私どもは、支援担当部長である長田部長とのいろいろな会話はしてまいりました。さらに、全体的な話については調整部長とも議論させてもらいました。個別の支援等については、長田部長を中心にお話をさせていただいたのですが、これからも、そこときちんと議論を交わし、筋を通していけばよろしいと考えていいですか。

○事務局 東京都の執行機関である中央卸売市場はそのまま変わりませんので、新しい委員会にもお伺い立てながら、きちんと責任をもって対応いたします。

○伊藤氏(水産仲卸・東卸組合理事) それはPTですか。

○事務局 PTではなく、東京都中央卸売市場が執行機関になります。

○小島座長 それから、セカンドオピニオンというのは、専門家会議が検討している土壌汚染についてのものですね。前回、専門家会議でも平田座長がおっしゃっておられた、地震や液状化対策は、専門家会議にはその専門家がいませんので、私どもが担当するか、あるいは、専門家会議と話をしないと。土壌については専門家会議で対応されますので、お話をしながら、地震や液状化対策はこちらでも議論することになると思います。少しわかりにくいかもしれませんが、役割分担しております。
 また、私どもの仕事は、先ほどおっしゃった諮問機関が適切かどうかはわかりませんが、法律的なものではありません。ただ、知事から求められている設置要綱では、検討事項についてとりまとめて知事に報告することが私どもの仕事です。判断そのものは、知事が何回もおっしゃっておられるように、総合的に知事が判断されるということですから、私どもの報告書がそのまま実現するわけでもありません。私は国の役人を務めていたことがありますが、審議会から答申をいただいたらそのとおりになるということでもありません。知事は知事、大臣は大臣で判断されることがありますので、一つのアドバイスという位置づけになるかと思います。

○浦和氏(東京都水産物卸売業者協会) 東京都水産物卸売業者協会の浦和と申します。先生、いつもどうもありがとうございます。
 その件についてですが、知事がPTの意見を聞いて判断をするというのは、大きな問題については、当然、そうかと思います。しかし、今まで我々が意思決定してきた機能は、新市場建設懇談会・協議会があって、業界全体の周知をしながら決定してきたと思います。それについて、今後、スロープの角度やいろいろな細かいことにこれから対応していくと思いますが、それら全てを知事の判断で進めていくとすると、新市場整備部はどうなるのでしょうか。そして、これから我々の判断、決定する機関はどのようになっていくのかがいまひとつわかりません。その辺ははっきりして、先ほど川島理事長のお話もありましたが、店舗のつくりいろいろと細かな話もしていくと思いますが、そのときに、答申をして知事に上がること、現場それぞれ持分の機能がありますから、そちらで判断して決定していかなければならないこと、こうしたことをきちんと決めていかないと、我々が持っていく先が非常に難しいのではないかと考えています。
 座長、その辺はいかがでしょうか。

○小島座長 行政手続きとして、権限が下りているものは権限が下りており、市場長が決められること、課長さん方が決められることがありますから、今おっしゃった、箸の上げ下ろしはどうするかというような、道路幅をどうするか、スロープの傾斜はどうするのかということを知事が判断するわけではありません。しかし、そこで事故が起きるような構造でいいのかという議論になると、これは現場で決めることではないだろうと思います。行政財産の管理者としての責任が生じますので、事柄の軽重によって判断することが変わってくると思います。それはケース・バイ・ケースです。これは、担当していることが極めて重大なことであるということで知事の判断を仰ぐこともありましょうし、あるいは、そういう情報を聞いて、これは本当に大丈夫かと。人の命にかかわることは、やはり最終的に責任者が判断しなければいけないことだと思います。これは一つの例ですが、全てが全て知事が判断するわけではありませんが、かといって重大なことについて、権限が下りているから大丈夫だということでもないと思います。

○浦和氏(東京都水産物卸売業者協会) その交通整理は誰がするのでしょうか。

○小島座長 基本的には、権限関係で委任されている部分がありますから、市場長が判断することと行政ルールとして決まっています。課長が判断することは普通はないと思います。権限はそこまでは下りないのが普通だと思います。東京都ではどうかわかりませんが、現場の係長さんは事実上の判断をされると思いますが、権限があるわけではありません。行政ルールとしてはそのようになっています。

○椎名氏(輸送協力会) 輸送協力会の椎名と申します。私どもは、北海道から九州まで全国の産地出荷者の方の荷物をお預かりして築地に運んでくるトラック事業者の集まりです。同時に、築地から地方市場への転送、仲卸のバースからも、量販店、大型飲食チェーン店への配送も承っています。保有台数2,000台弱で、毎日、築地市場へ全国からやって来るトラック事業者です。
 私ども、輸送の立場から申し上げさせていただきます。まず、築地市場は、汐留から貨車で運ばれることを前提に整備された市場ですから、トラック事業者にとっては使いづらい市場です。しかしながら、80年という築地の歴史の中で、何とか皆様方のご協力をいただいて、遅滞なく仕事を行うことができたことも、ある意味、築地が平面だったからです。築地は狭いと申し上げてよろしいかと思いますが、豊洲市場も、1.7倍とはいっても、2号線と315号線で分断されています。しかも、重層構造ということで、狭いと言われる築地市場で平面で行われていることを、6街区、7街区、青果の5街区に分けるとなると、非常に非効率的な面が多々出てきます。
 というのは、現代は貨車の時代とは違いまして、産地から届いた品物がそのまま卸さん、仲卸さんを通って小売りの魚商さんというルートだけではなくて、転配送を含めて、市場におけるハブ機能がかなり大きくなってきています。それを考えると、分断された市場は非常に非効率的です。先ほど伊藤会長が、コールドチェーンではないとおっしゃいましたが、7街区は、産地からトラックでデジタル温度管理をされて、きちんとコールドチェーン化された品物を運び入れる入り口部分ですので、ここは我々も10℃という温度帯で管理できるような建物を自前で整備して、コールドチェーン化を図っています。ただし、仲卸さんの6街区は25℃の地冷ということで、入り口と出口で温度管理に多少の差があるといっても、大型の量販店等に対応するために、10℃は、ある程度必要な温度帯であると思っています。
 また、その温度帯を維持するためには、バースあるいはドックシェルターという機能が必要になります。そうなると、築地市場でも皆さんがご覧になられているように、ここにも「横開き」という言葉が使われていますが、そうした全面を開放して荷を降ろすことは、コールドチェーン化の観点から申し上げると不可能です。やはり後ろからドックシェルターあるいはバースに着けていただいて、そのままコールドチェーンを引き継ぐような輸送になるかと思います。
 当然、そこでは時間がかかります。今しているような平面での仕事とは違い、三方から降ろすのではなく、後ろの一番狭いところから降ろすわけですので、我々事業者の努力もかなり必要になります。そのために、ある程度時間がかかることを計算すると、7街区、6街区では、搬出のピーク時には、バースも足りない。先ほど伊藤会長がおっしゃっていましたが、特に7街区は1階の待機駐車場に屋根がありませんので、溢れてしまった車がそこで仕事をせざるを得ない状況になるのではないかということを大変懸念しております。
 市場当局がどこまでコールドチェーン化を真剣に考えられて守ろうとなさるのか、それによっても我々の仕事の仕方はかなり違ってきます。少なくとも7街区においては、絶対にコールドチェーン化を死守しようということであれば、待機駐車場での仕事は不可能になります。屋根をかけたとしても、少し空間があいてしまうので、そこはある程度許容していただくしかないのかなと考えておりますが、少なくとも、炎天下あるいは雨天、降雪、そうした事情を考えると、7街区の場合は、バース、ドックシェルターだけでは対応しきれない部分の弊害が出てくるかと思っています。
 現場から出た意見をかいつまんで申し上げます。
 ロードヒーティング効果――北海道や東北から冬に来るトラックは、築地に着いた時点でも屋根に雪が相当積もっています。豊洲にはたくさんのスロープがあるので、トラックの屋根から雪が落ちてしまうということもあります。そうした際に、その雪をどうするかということもかなり大きな問題になってくると思います。一応その対策は講じられていますが、実際にどのくらいの雪を想定しているか、また、かなり大雪だった場合はどうするかというようなことも懸念材料としてあります。
 また、ターレスロープの洗浄・清掃方法について、散水栓、排水溝が全くありません。このため、どのようにして掃除をするのかということも問題になっています。
 コールドチェーンの観点から、バース、ドックシェルターを使うとなると、両隣との幅が狭いために、扉を開くことによって30cmほど増幅されるため、隣との幅が狭くなりまして、隣接時に事故が起きる可能性があります。まっすぐにバックできればいいが、前方に待機駐車場があるため、これは非常に難しい。安全面を考慮すると誘導員が必要であって、経費も発生する。接車までに時間がかかり、渋滞の原因となる。バース周辺に散水栓、排水溝がない。これもターレスロープ同様です。また、積込駐車場に関して、数が圧倒的に不足している。現状で想定すると、積込駐車場としても使用せざるを得ないのではないか。7街区4階には屋根がない部分がかなりあります。このため、降雪時や雨天の際に何か問題が起きるのではないかと懸念しております。
 4番目に、315号線高架下の外周道路は、一部制限高が3.5mであり、通行できない車両があります。ここの表現次第では、きちんと掲示しないと事故の原因になる可能性、渋滞の原因となる可能性があります。これは3.5m以上には変えられないと聞いていますので、3.5mというのは厳しい数字であると私どもは認識しております。
 もう一つ。これは豊洲の市場内ではありませんが、315号線に関しては、左折イン・左折アウトが原則になっていまして、右折ができません。これは、東京都の権限ではなく、警視庁及び関係する様々な行政が絡んでくる問題ですので、簡単に解決できるとは思っていませんが、市場のスムーズな入退場を考えると、我々輸送業者にとっては、左折イン・左折アウトだけではなく、右折イン・右折アウトもできることが望ましいと考えております。
 以上です。

○小島座長 今の4番目の外周道路で通行できないというのは、どこでしょうか。

○椎名氏(輸送協力会) 6街区と7街区の間を通る道路の一部、正門あたりに高さが3.5m制限となっているところがありまして、走行実験をした際に、そこは無理だということで、そこは気をつけなければいけない場所かと思っています。建物の外の外周道路です。

○小島座長 わかりました。ありがとうございました。

○伊藤氏(水産仲卸・東卸組合理事長) 水産仲卸組合の東卸組合の理事長の伊藤でございます。今日はありがとうございます。
 今までいろいろな団体の代表の方がお話をされました。私は仲卸の立場、そして、6街区に物流検討の協議会を設置して、そこの代表もしていますので、その辺からお話をさせていただきます。安全性など詳細な部分に触れるかどうかわかりませんが、少しお話をさせていただきたいと思います。
 まず、皆さん、いろいろなご意見がありまして、使い勝手、いろいろな問題点などをお述べになっております。私どもにも当然ありますので、それはまた触れさせていただきますが、この問題はどこかでスケジュールを切って対応しないと、どこまでいってもいろいろな意見が出てくると思います。私は、6街区の中でも調整していまして、皆さんそれぞれいろいろな言い分があります。当然、水産仲卸としてもあります。ただ、これを優先してしまうと協議がまとまらない。その中で、今まで築地で商売をされている皆さんが、豊洲に行ってもスムーズにできるようにということで調整してまいりました。結果的には、6街区はアナログで対応しようということで、従来の人的配置を、この際、効率的にしなければいけませんが、それは新市場に移ってから数年の様々な経験を経て、最終的にはデジタル化したいと考えています。しかし、移転当初は無理だろうということと、そこに生業を持たれている方々がいらして、そういう方たちの調整もできませんので、そこはよくお話をさせていただいた上で新市場に移ろうということで進めてまいりました。問題点を一つ一つ挙げればキリがありませんが、それはそれぞれのお立場からすれば当然だと思います。しかしながら、それはどこかで調整しなければいけない。その間、東京都が調整していましたが、それはそれで東京都も大変だったかと思います。
 もう一つは、東卸組合です。先生方にも、私ども組合員の意見を本当に丁寧に聞いていただいて、本当にありがたいと思っております。私どもは、現在550ほどの組合員がいます。それぞれ、マグロを取り扱う、寿司ダネを取り扱う、干物を取り扱う、13の業態に分かれています。それぞれの方がそれぞれの立場で、私はこうだ、私はこうだということをずっと積み重ねてきまして今日(こんにち)に至っております。様々な課題を乗り越えてまとめられてきたと思っています。
 私自身はもともと移転には反対で、築地で営業できればということで、築地での現在地再整備協議に参加してまいりました。しかしながら、最終的には、どうしても無理だということで断念した一人です。したがって、築地への思いは当然、捨てられないものがありますが、今、市場を取り巻く環境は非常に厳しく、特に仲卸を取り巻く環境は大変厳しく、近々には卸売市場法の改正が示唆されています。その中で水産仲卸の位置づけはさらに厳しくなると考えております。したがって、市場の再整備は喫緊の課題で、できるだけ早くそこに到達しなければならない。そして、先生がおっしゃるように、そこから様々な課題がありますが、まずはそこに行かないと、現在の世の中の流通から取り残されるという危機感を持っています。
 そのような中で、例えば、お店が狭い、2階が高い、いろいろなことがありました。500有余の事業所それぞれの意見を全部聞いて、最終的にはどこかで落とさなければいけませんから、最終的には現在の形になりました。組合員の方にはご不満をお持ちの方もいらっしゃいますが、全ての人の意見を聞いて、全ての人の意見にすることはできませんので、このような形になりました。
 私は平成25年1月から理事長を務めさせていただいていますが、平成23年に新市場の実施設計が取りまとめられました。その際、当時の執行ですが、私どもの執行部と東京都で合意した経緯があり、私もそれを受けて、できるだけ良い市場をつくろうと邁進してまいりました。例えば、店舗面積についても、当時、柱の躯体がもう決まりますということで、私たちもそれを受けて、間口3mということは受け入れました。その後、できるだけ使いやすいお店にしようということで、様々な角度から検討して、最終的には現在の形になりました。もちろん、全ての人が狭いと思っていますが、全ての人がこれでしようがないと思っていることも事実だと思います。
 先生方のご尽力で、これがさらに使いやすいものになるよう、切に望んでやみません。それまで、数年をかけて、店舗の面積一つをとっても様々な角度から検討し、組合で一つ一つの議論をし、決定、議論、決定、議論、決定、これを積み重ねて現在に至ったことは、よくご理解いただきたいと思います。
 また、そのようなことで、店舗を一つ例に挙げましたが、いろいろなことで、業界として、組合として、皆さんの意見を集約して、どなたかの意見が通ればどなたかの意見が通らないことを丁寧にまとめながら進めてきましたので、今後においては、是非、業界の、今までの様々な決定のプロセス、内容について、先生方にも是非ご理解いただき、今後の検討の指針にしていただきたいと思っております。
 最後に、新市場に安全性を求めることは当然です。汚染の問題もそうですし、施設の問題もそうです。しかしながら、現在の築地市場は大変老朽化しております。また、交通事故も多く、平成26年度は年間410件以上の交通事故が起きております。うち人身事故が152件です。この現状を捉えていただき、できるだけ安全な新市場をつくっていただきたい。しかながら、現在の築地市場の事故という危険な点にも目を向けていただいて、できるだけ早い時期に結論を出していただき、安全な新市場をお願いしたいと思います。
 以上です。

○小島座長 ありがとうございました。
 ほかにご意見をどうぞ。

○橋下氏(仲卸) 仲卸の橋下と申します。私は理事でも何でもなく一般の組合員です。
 先ほどの説明の中で、コストが5倍くらいかかるのではないかというお話がありましたが、一般組合員の方はそういう詳しい情報は知りません。今まで、細かい情報が下になかなか下りてきませんでした。ですから、小池知事がストップをかけられた段階で、うちに来るお客様や周りの仲買さんみんな、ほっとしたよという声を多く聞かれました。それは、豊洲に移ったらお金が幾らかかるのかなど、そういうことがあまり知らされないままに移転だけが決まったような感じがします。ですから、ここで立ち止まって、みんながある程度納得した上でないと、こんなはずじゃなかったということが向こうに移ってからも起きるのではないかという懸念があります。
 私は、2008年から、専門家会議や技術者会議、今行われている専門家会議とずうっと傍聴してきましたが、地下水管理システムがあって、201か所をずっとモニタリングしていかなければいけないとか、この間は、地下空間で水銀が検出されたため、換気をどうしようかとか、そういうお話を聞いて、果たしてこれが生鮮市場でいいのだろうかという疑問を持っています。ですから、一度立ち止まって、一度決めたことだから、もうつくってしまったからというところを、小池知事を信じて、「都民ファースト」で対応していただきたいと思います。
 今日もお客様が見えましたが、小売屋さんで、確かに、東京都が決めたら私たちはそれに従わざるを得ないのですが、私たちはお客様を相手に商売していますから、お客様に安心して来ていただける市場じゃないと。お客様も、その先に一般消費者のお客様を抱えていますから、もしも豊洲新市場で何かあった場合は、みんながだめになるということがあります。ですから、今日来たお客様から、豊洲新市場がこんな状況では魚を買えないよと言われたよという声を聞かれましたので、ここまで広がった、世界中にまで広がっている風評被害を――移るとなったらかなり難しいのではないかと思います。ですから、一度立ち止まって、結果的に、もう大丈夫になりましたから、皆さん移ってくださいと言われたときに、本当にそれで商売がやっていけるだろうかというのが、仲卸さんの大半の意見であることも知っておいていただきたいと思います。

○小島座長 ありがとうございました。
 ほかにどうぞ。

○原氏(関連事業者等協議会) 関連事業者等協議会の原と申します。
 場内で包装資材等の物販をしている会社です。場内の動線についてお話します。
 小池都知事が就任する前の段階ですが、6月から8月くらいまで、場内の外の部分をターレで走れないのでしょうか。東京都の方にも、ターレで走れないと市場は回らないという声を出していたのですが、やはりだめだと。問題として、私なりの観点ですが、2点あると思っています。一つは、コスト増と、あとは情報が錯綜していたのではないかということです。コストの増大については、例えば自社だと、倉庫から6街区の入り口までトラックか何かで持っていきます。その後にターレでお客様のところにまた運びます。そうすると、人も2人必要だし、物を運ぶものも二つ必要になるかもしれない。その部分でコストが増大するのではないかと考えています。
 2点目は、情報が錯綜していることです。例えば、屋根がある部分はターレで走っていとか、築地でも既に走っていますが、電気自動車であれば外と中が自由だと。もし、そういう基準であれば、先ほど、コールドチェーンなどのお話が出てきたところと矛盾があって、なぜターレはだめで電気自動車は大丈夫なのか。そうした部分の矛盾点について、私自身の中ではあまり納得できませんでした。私としては築地に残りたいですが、仮に延期になるとして、開場が近づいたころにまた同じような議論が起こらないように検討していただきたいと思っています。
 以上です。

○小島座長 ありがとうございました。
 後ろの方、どうぞ。

○井野氏(関連事業者) 関連事業者の井野と申します。
 施設計画検討に用いている時間別と台数統計に関しての質問があります。ご説明いただいたときもおっしゃったのですが、平成17年や平成15年など、10年以上前のデータを用いて統計を出していらっしゃると思います。これを、再度、現在の築地の商流に合わせて統計を取り直すことは検討されていますか。
 なぜならば、商流というものは年々変わっていますし、私たちのお客様である買出人の皆様などが、築地よりも使い勝手が悪い、じゃ、別の市場で仕入れようとなってしまうことが一番怖いと思っています。せっかく移転するのであれば、そういう方々が、豊洲は動きやすい、仕入れやすいと思っていただけるような市場になるよう、目指していただきたいと思っています。少なくとも、10年前のデータを眺めて検討するよりも、現状、何時に、どういう大きさのトラックが築地に入ってきて、どのくらい滞留して出て行くのかということを、現在のデータを取得し直したほうが参考になるのではないかと思い、ご質問させていただきました。

○椎名氏(輸送協力会) 最新のデータをということですが、これは、7街区協議会、6街区協議会――青果さんのほうは詳細を存じませんが、卸さん、買参さん、魚商さん、私ども輸送も含めて、最新のデータで割付を今行っています。入荷のほうは、地方によって入ってくる時間にかなり差がありますので、ピーク時といってもそれほどの混乱は生じないと考えていますが、出荷が3時から6時のピーク帯に集中しますので、この時間帯で、買参さん、卸さんを含めて、時間軸、トラックの大きさを含めて、詳細に割付をしてみているところです。まだ完成形には至っていませんが、データとして先生方にご提出することは、ある程度はできると思います。6街区のほうは詳細には詰まっていませんが、出荷車両、入荷車両等の情報はある程度持っていますので、新たに調査を行う必要はないのではないかと考えております。

○小島座長 ありがとうございます。
 資料でお示したものは、公表資料で作成したものですが、設計時に日建設計がベースにした数字や、今おっしゃっていただいたような新しい直近のデータをいただければ、豊洲市場においての車の流れをさらに整理できるのではないかと思います。今おっしゃった、自動車だけではなく、いろいろな乗り物でいらっしゃいます。入り口のところも、トラックが来て、バスが来て、バスから降りる歩行者がいて、自転車がいて、バイクがいて、どういうイメージになるのかということを図に落としながら、渋滞しないのか、あるいは、入ってくる車と出る車が錯綜するのは何時ごろなのか、そういう議論をしていまして、それも、基本的にはベースになるデータが決め手ですので、いただければ非常にありがたいと思います。
 事務局からまた連絡させていただきますので、是非いただきたいと思います。
 ほかにどうぞ。

○中川(買参組合) 買参組合の中川と申します。
 今、輸送協からもお話がありましたが、いろいろデータを落として割付けもしていますが、市場の作業自体、イレギュラーなものが非常に多いわけです。そういうことを考えていただきたいということが一つ。また、市場自体のスピード、そのどちらが優先ですかと私が問いただした際に、やはり安心・安全です、だから閉鎖型にしますというお話をいただいたことを、今でも覚えています。
 市場に入る荷物は、現在はいろいろな流通の部分の技術も発展しているので、氷温、スチロールを入れるなど、全てがコールドチェーンの中で輸送しなくても、常温でも十分対応できる状態にもなっていると思います。また、市場に入る荷物自体も、常温で流通するものもあれば、氷温のものもあれば、冷凍のものもあるわけですから、全てをコールドチェーンの中で落とし込むことはないと。市場に入ったものを、我々買参組合が買い受けをした段階で、市場の品物の所有権は我々に移るわけですから、東京都がどこまでコールドチェーンを担保するのかと。市場に入るまでは担保するけれども、それからは買受人さん方が自分たちの責任で管理してくださいというお話であれば、では、買い受けた方が、大手のスーパーチェーンであれば、バースを使って、またはドックシェルターを使って、自分たちはコールドチェーンを担保しながら商品を運びたい、また、ほかの方は、我々が買った商品は別にコールドチェーンではなくていい、常温でいいからターレが外に出てすぐに積んで帰りたい、いろいろな方がいらっしゃる。そういう意味でも、先ほど伊藤会長もおっしゃっていましたが、屋根をつけていただいて、ターレが外に出られる形を是非考えていただきたいとういことをお願いしたいと思います。
 それと、こういうPTの方もいらっしゃいますが、移転に賛成の方もいれば反対の方もいて、いろいろな方がいらっしゃるわけです。いろいろとシミュレーションされる際に、例えばターレがスロープを回れるか、回れないかという実験をされた際に、ゆっくり回る方、これは回れないと速く回る方、いろいろな方がいらっしゃるので、一方を聞いて沙汰するなではないですが、いろいろな方の意見を聞いていただいて、公平な判断をしていただきたいと思っています。よろしくお願いします。

○小島座長 ありがとうございました。
 そのほかにどうぞ。

○関戸(仲買) 仲買の関戸と申します。よろしくお願いします。
 資料の15ページの「水産物部における豊洲市場の自動車搬入台数」の部分ですが、仲卸売場677台というのは6街区のことかと思っています。1分で11.2台と書いてあると思いますが、今月の初めころに、弊社独自で、はっきりしたことを知りたいということで、習熟を行いました。4トントラック2台、3トン車が3台、2トン車が1台、乗用車のバンが6台で行いました。6街区の入り口を入って突き当たりのヘアピンのところで、ない知恵を絞ったのですが、本当の動きは1日に677台も入ってくるわけですが、少ない11台で、どういう車の走らせ方をしたら実際に近い車の流れの予測ができるだろうかということで行いました。10分間で21台。3レーンあるので、20台、21台、23台で通ったのですが、大体21台です。そうすると、6街区の立体の上の駐車場からみんな下りてくると、1時間でこれだとすると120台ですから、ここのヘアピンのところは、車の出入りをさばききることができない。弊社の習熟ではそういう結論を出しました。これは当然無理だろうと、かかわったうちの社員が全員、無理だと。
 もう一つ、2号線からの出入口があるのですが、そこから来た車も、そのヘアピンの箇所で入り口からの車と合流するので、実際に走ってみるともっと効率の悪い、通過台数が減るのではないかと思いました。
 あと、荷物を積んでターレを5台走らせました。1トンの荷物、500kgの荷物、また、弊社は練り物屋で日販品屋ですので、ダンボール箱に入ったものが非常に多いのですが、その荷物をターレ1台で走らせました。そうしたら、下から上がってくると、当然ラップをしなければ荷物が落ちる。路面に丸いスリップどめが刻まれていますが、そこででこぼこして、荷物が乾いている箱だと特に落ちました。走っているうちに路面が削れてくるわけですから、落ちる頻度はもっと高くなるのではないかと思いました。
 また、ヘアピンの箇所ですが、3台一度に走るのは無理で、上から1台下りてきて、下から2台進んだ場合、上りが2車線になるわけですが、少し遅れたターレは遠慮しないとぶつかります。あと、横2列で走ると、長いスロープを走っていくと、パレットで積んだ場合、普通のパレットを積んだとき、レーンとレーンの幅が狭いですからこすり合いますね。築地の場合、一日にターレが2,000台走っている現実がありますから、そこでは事故が起きるのではないかと、弊社の習熟では結論が出ました。
 築地にも、新立体というスロープがありますが、それは新立体の2階に荷物を持っていく仲買さんだけであって、それ以外は全部平面の上で水平移動しているだけです。しかし、豊洲の場合は、全部が立体構造ですから、全部がスロープを通らなければならないということで、かなり事故の確率が高まると思います。先ほども伊藤理事長が、築地でも事故が起きるとおっしゃっていましたが、たぶん新立体のスロープのところだと思います。豊洲の場合はスロープが全部ですから、先ほど伊藤理事長がおっしゃった数字の数倍の事故が起きるのではないかと思いました。
 落ちないようにということで荷物にラップするという方法もありますが、弊社では今、1本909円のラップを使っています。6本入りのものを1週間で10箱です。それを、仲買さん全部がそういう形で物を運んでいると、コストもすごくかかるし、ごみもたくさん出ると思います。そうした面でも、実際に豊洲を使うのであれば、現実的なものを、もっと現場に視点を置いて具体的な部分まで考えるべきではないかと思いました。
 今も、新立体のスロープを上がっていくときに、なまやさんなどは発泡スチロールできれいに積み上げられますが、荷台と運転台の間の背もたれのような部分があって、それよりも高く積む人たちみんな逆走行していきます。そうすると、前が見えないわけですから、そこでも事故が起きるだろうと思いました。
 私の場合は築地で49年、商売をさせていただいていますので、ターレやフォークリフトにはかなり慣れていますけれども、築地に入ったばかりの運搬さんたちも、当然、スロープを進むわけですから、そういう事故もかなり考えられると思います。
 また別の話ですが、市場というものはもともと物流ですから、風通しが良くなければいけないと思います。ですから水平構造でなければいけないと思うのですが、豊洲市場は立体構造で、私どもの業界では、階下から階上へ物移動する際には、1.5倍のコストがかかると言われています。それはどういうことかというと、今まで、市場の中の配達員さんが2人で回している会社は1.5倍ですから3人になります。そうすると、1人分の人件費、年間300万円、400万円の人件費がアップする。先ほど申し上げたラップ代や、増えるターレのリース量も含めるので、仲買さんには、経営に対する相当な負担増になるのではないかと思います。
 それから、6街区と5街区の行き来の不自由さですが、弊社では、日販品で、お客さんに八百屋さんが多くいます。年に2回くらい、水曜日、水産は営業しているけれども、青果は営業していないという日がありまして、その日はうちは売上が半分になります。それほど水産と青果のつながりがあるわけです。それを考えたら、現状の豊洲の、ターレから車に乗り換えて、橋をくぐって、もう一回積み替えるという方法は、僕ら業者にしてみると、コストもかかるし、考えられない発想だと思います。非効率です。
 スロープの車線の狭さですが、当初、7街区は上り下り2車線でしたので幅が広い。ところが、6街区は往復3車線になっているので狭いわけですが、これはたしか、僕がワーキングチームにいた4年くらい前に、都からお尋ねがありまして、僕らも、遅い車があるから、上りをもう1車線増やしてくれという話をして、それが通った結果だと思います。その発言者は、もう1本車線を増やすのであれば、通路幅も広げてくれという話をしたつもりだと思いますが、単に一つの車線の幅を細くして、線を1本余分に引いただけという感じにしか受け取れません。ですから、本当に使い勝手、効率の悪い動線だと思っています。
 何年も前から関東大震災が起きると言われていまして、今日も、水銀が出ていると新聞に載っていましたが、それによって2年、3年と延びるのであれば、せめて耐震補強の工事をしていただけたらと思います。そして、雨漏りする天井の箇所、路面がでこぼこなところを直していただければ、我々も安心して築地で商売ができるのかなと思います。現状、できた豊洲の市場をもう一度検証し直すのであれば、そういうプロセスを経て、僕らが納得したような感じで進めていただけたらありがたいと思います。
 結局、現状は保留になっていますが、家賃のことは薄々は聞いていましたが、温度管理に関する電気代やいろいろなコストのことも、はっきりと僕らには示されていませんでした。それで、弊社のように弱小な仲買に温度管理の費用として、今の家賃より幾ら増えると急に言われても、なかなか対処しきれない部分があります。いくらコールドチェーンといっても、ああいう通路部分や、ここまで冷やさなくてもいいのではないか、もう少しコストカットできるのではないかという施設もあると思います。例えば7街区の卸売場ですが、天井が高いとそれだけ容積が増えるわけですから、当然、電気代もかかります。豊洲を進めるならば、コストがかからない、我々がついていけるような市場の施設を整備していただけるようにお願いしたいと思います。

○小島座長 どうもありがとうございました。
 そろそろ予定の時間になりますので、ご意見がある方は手を挙げていただけますか。
 では、この二人で終わりたいと思います。

○北田氏(東卸組合) 私は、東卸組合で仲卸として衛生委員会の委員長を務めさせていただいています。築地市場協会でも衛生委員長を務めさせていただいていますが、今回、土壌汚染の問題で移転を延期したということは、都知事が食の安心・安全を第一に考えてのご判断だと伺っています。私は築地市場でもう三十数年仕事をしていますので、築地の現状はよくわかっているつもりです。豊洲新市場も、昨日も見てきましたが、両方を比較してお話しさせていただくとすると、食の安心・安全のかかるファクターは、例えば、今お話が出ていたコールドチェーン、防虫・防鳥の問題などいろいろあると思います。土壌汚染の問題は、それこそ山ほどある問題の中の一つであって、築地と豊洲とどちらが安心・安全なのかと言われれば、誰が見ても豊洲のほうが安全だと判断すると思います。
 豊洲市場に行った際に、これだけ風評被害があったので、例えば、大手スーパーが買い出しに行かないと言っているというような話も聞きますが、私もイトーヨーカドーやセブンイレブンなどと取引をしていますけど、そういう話は聞いたことがありません。どんな大手の業界でも、大手企業であれば、それぞれに品管という部門があって、食の安全についてきちんと検証します。彼らが判断したら、たぶん、私が今言ったような判断になると思います。
 食の安心・安全にかかわることは、まず、今回、立派な建物をつくりましたけれども、建物や設備だけではなくて、何より大事なことは、そこで働く人たちの意識だと思います。今、築地市場がどうかというと、仲卸もそうですが、くわえタバコでターレを運転していたり、必ずしも意識が高いとは言えない現状があります。しかし、豊洲に移ったら、例えば喫煙のルールはきちんと実践しようというような前向きな話がようやく歩き始めたところです。
 これが、万一、移転が延期であるとか――延期ならしようがないかもしれませんが、築地でこのまま何年も営業するということになったら、せっかくそういう気になった気持ちが切れてしまうことが恐ろしいと思っています。ですので、一刻も早く、移転するのか、もしくはここで続けるのか、判断をしていただくことをお願いいたします。
 業者の中でも、例えばホテル納めであるとか、かなり高度な要求をされる会社と取引をされている仲卸の中には、既に、HACCPやHFC-21000などを進めている会社も現にあります。そうした会社は、設備的に築地では無理ですから、豊洲へ移った場合のことで対応しているので、是非、そうした努力を無駄にしないようにお願いしたいと思います。
 もう一つ。私にはもう一つの役職がありまして、加工パッケージ棟を使わせていただく加工協議会の会長を務めさせていただいています。加工パッケージ棟は、かなり高度な建物を整備していただいて、やろうと思えばHACCPも取得できるような立派な建物を整備していただきました。これについては、二十数社の会社がありますが、いろいろな業者がいろいろな仕事をしていまして、その取りまとめは非常に苦労したのですが、ようやく取りまとめができて、建物が建った、設備もできたという段階でこういう状態になってしまったので、我々としては、はしごを外されて非常に困っています。加工パッケージ棟の場合は、民間側の設備投資の割合が非常に大きいです。小さな業者であっても数千万円の単位で、防熱や空調などの工事は既に終わっています。これから支払いもしなければいけない時期ですが、既に移転が不透明ということで銀行融資が受けられないとか、あるいは、それを理由にしてリースが受けられないといった業者が発生しています。
 ですので、この対策はどこにお願いすればいいのか、先ほど少し説明を聞きましたが、よくわかりません。ですので、これをまずはっきりしていただきたいと思います。
 以上です。

○中澤氏(東京中央市場労働組合) 東京中央市場労働組合の中澤と申します。よろしくお願いします。
 今日、議論を伺いまして、どういう会議になるのかわからなかったのですが、今日は偉い方々がたくさんおいでいただきまして、私も知らなかったような話が随分聞けて、とてもよかったと思っています。
 本来であれば、こういう議論は、先ほど中央魚類の方がおっしゃったように、新市場建設協議会で10年前にしなければいけなかった議論を、今ここで議論しているということだと思います。では、実際に行われていた新市場建設協議会ではどのような議論がされていたかをずっとたどってくると、平成17年の実施計画のまとめ、ここまではまともな議論になっていますが、そこから後がほとんどまともな議論にならないわけです。私たちが傍聴に行っても、議事録を追いかけても、一体、どこで何が決まったのかさっぱりわからない。
 今日は業界の代表格の方がいらしているのでこういう話になっていますけれども、ほとんどの人は、こういう内容を全く知りません。今日、会議があることを知らない人もたくさんいます。今日の会議の席も、傍聴席が半分抽選、半分は業界の方で占めているので、一般の事業者の方で抽選に外れた人がたくさんいるという状況になっています。
 私は、移転はもうやめるべきだという観点でずっと発言してきました。もちろん、移転すべきだという方がいることは当然だと思います。農林水産省も、これまで再三にわたって東京都に要請し、指導していますが、関係者の十分な合意形成がなければ、こういう大きな計画はできないと国も言っているわけです。ですから、こういうオープンな議論を行い、十分な合意形成のもとに移転をするかしないかを判断すべきだと思います。少なくとも、少なくとも、私の周囲の仲卸の事業者、買出人の方、トラック運転手の方などは、延期されてほっとしています。
 たくさんのマスコミの方が私のところに取材においでになりますが、延期して困っている人はいないかということで――もちろん、困っていることはありますけれども、無理やり移転を強行して混乱するよりは、はるかに良かったという人がほとんどだと思います。それをまず申し上げたいと思います。
 今日、青で囲った29ページの部分が伺いたいことでしたが、これは、私たちが東京都に伺いたいことそのものです。私は、昨日初めて豊洲新市場の中をぐるりと6街区、7街区を回ったのですが、ほとんどの人は、一回見たくらいのことです。ですから、ターレのスロープがどうなのかということも、少し傾斜がきつくて、しかも、バックで上れないので、私たちの労働組合もみんなターレ乗りですが、バックで上ってもヘアピンカーブは曲がれないし、どうするのかなという点があります。また、数も足りないということがありますけれども、それ以前に、最低限の情報がみんなにない状況です。ですから、是非、公開の説明会を開いていただいて、議論の土台をつくっていくところから始めなければいけないのではないかと思います。
 それから、前回のプロジェクトチームの件で申し上げたいのですが、床積載荷重の問題を最初に提起したのは私です。700kg/㎡では足りないのではないかと。日建設計から示された荷捌きスペースの絵を見ると、誰がどう見てもフォークリフトが必要な絵になっていますが、そこにターレを置いて計算しています。そこに、今、築地市場で使っているフォークリフトを置いて、等荷重の1.2を掛けて計算すると、700kgを超えてしまいます。ですから、これは改めて検証をお願いしたいと思います。
 以上です。

○小島座長 では、本当に最後としてお願いします。

○吉田(卸売会社) 卸売会社の吉田と申します。
 配られた資料の22ページで、簡単にお願いしたいことがあります。22ページの右側に「ランニングコスト」、「1日当たりの築地・豊洲市場維持管理経費」という記載があります。真ん中の欄が「築地(27年決算)」、右側が「開場後」。950万円から始まって、光熱水費が1,150万円。合計2,100万円かかるという見通し、それを大きな矢印で下に「利用者が負担」と書いてあります。この2,100万円という数値は、実は我々は初めてお聞きした数字、見た数字です。これは多分東京都の方々がまとめてPTに出した数字だと思いますが、我々としては、これは初めて見る数字です。つまり、何を申し上げたいかというと、正直申し上げて、こういうことが過去に多々ありました。東京都からいろいろな数字が来て、これはこうなる、どうしてという説明がありました。
 これだけの資料ですが、数字がひとり歩きすると困ります。我々業者としては、決してお金を払わないとか、まけろとか、そういうことを申し上げているわけではなくて、納得できるもの、必要なものは我々が負担します。豊洲に移ったら経費が増えると言われていますが、これも、血のにじむこともありますが、我々自身の物流の合理化等も含めて、負担するものは負担する覚悟はあります。ただ、こういう形で突然数字が出て、これは負担するものだよと。ところが、事後、業者がゴネて負担しないと言っているというトーンになると、これは本末転倒のことです。ですから、こういう数字をお出しになるのは結構ですが、納得性があるもの、あるいは、未定、交渉する、こういう前提でこれからの記載をお願いしたいと思います。こういうお願いを最後に申し上げたいと思います。

○小島座長 22ページの2,100万円という数字は、11月4日の知事の記者会見で出された数字をそのまま持ってきています。
 光熱水費、警備費は、条例によって利用者が負担することになっていますので、これはネゴシエーションすることではありません。数字が幾らかということは、さらに精査をして、できるだけ低くすることが必要だと思いますが、これらの費用は利用者が負担することが条例規則で決まっています。
 左側は独立採算ということですので、費用が幾らということは、通常、建設費と、その間の修繕費は、建物を建築する際に出していくものです。マンションに入る場合もそうですが、設備は劣化します、修繕も必要です。その建物に入るときは、そのときの値段だけではなくて、将来幾らかかるか、積立てしなければいけないのだろうということを考えて、家というものは買っていくもの、建てていくものです。ですから、そういう全体のコストが幾らかかるかということは、当然、設計の際にはしているだろうと聞いています。

○伊藤氏(東卸組合理事長) 私が認識しているのは少し違います。

○小島座長 法令の解釈に間違いがありますか。

○伊藤氏 法令の解釈ではなくて、私どもが聞いている話として、施設使用料については、卸売市場の施設使用料の在り方検討会があって、そこで議論されていて、東京都の11市場は同じ料金です。付加価値の部分については、それぞれ負担してくださいと理解しています。例えば、大田市場が建設された際に、大田市場の建設費は大田市場に入る人が持ったのではなくて、11市場で負担しているという認識ですので、そこはもう一度ご確認いただきたいと思います。

○小島座長 今の使用料は、面積割、売上のところですね。いわゆる水光熱費のことではないですね。
 使用料は左のほうです。右のランニングコストには、いわゆる貸し賃は入っていません。水光熱費や警備費などですから、これは条例上、そういうことになっています。

○伊藤氏 建物は違うと思います。

○小島座長 いわゆる地割のものは違って、地割のものは左の、いわゆる使用料ですね。電気代や水光熱費等は、実際に使われる方が払う。法令でそのように決まっています。実際の水光熱費や警備費が、今の積算では2,100万円ということです。

○伊藤氏 私は建設費も含むというように聞いたのですが、顧問がおっしゃったのは、建設費は含まないということですね。

○小島座長 市場会計は独立ですので、減価償却の形で長い年月にわたって建設費を償却していかなければいけません。同時に、その間に設備が更新されていきます。普通のマンションでもそうですが、そういうお金も積み立てているはずです。そういうものが、使用料の積算に反映していくということです。

○伊藤氏 11市場で負担することになると思います。ですから、私どもも高いコストは望んでいません。というのは、これから市場の再整備をする方にも同じ考えが適用されることは大変よろしくないのではないかということと、豊洲新市場はお金がかかっているので、それを今の仕組みの中で皆さんに負担していただくわけですので、築地市場だけではなて、大田市場も、千住(足立)市場も、ほかの市場も負担することになるので、そこはできるだけコストをかけないでお願いしたいと思っています。

○小島座長 理解は同じだと思います。その積算等々について、まだ課題として私どもでは考えていまして、全体の市場会計がどのようになっていくのか、豊洲新市場ができたことによって市場会計が良くなっていくのか、あるいは、市場会計が傾いていくのか、そういうことも含めて検討する。エビデンスが必要ですので、どのようになっていくのか、これによってほかも一緒に傾いては困りますので、そういうことも含めて計算しようということです。
 今日はいろいろとありがとうございました。専門委員の皆さんから一言ずつ感想をお願いします。

○菊森専門委員 菊森でございます。
 私はどちらかというと、経済や経営、市場自体の収支が今後どのように見えてくるかということや、将来の水産品の流通がどの程度変わっていき、また、青果品の流通がどのようになるのか、今後、人口が減少し、あるいは、一部には商売が増える部分もあるかもしれませんが、そうした環境の変化を踏まえて、どのような収支を計算すればいいのかということについての主な検討をさせていただくことを予定していまして、もう作業に入っています。
 今日は、各業種の方々からのお話を直に聞けて、私は、今日は非常に有益だったと思います。私はふだんは長崎市にいますが、長崎県の水産品の3割近くは築地で取引されていると、地元の市場の経営者から聞いていますので、私自身の問題でもあると考えています。是非、皆さん方と、良い市場にするためにはどうしたらいいかということを意見交換させていただきながら作業を進めてまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いします。

○時松専門委員 今日は、皆さんからいろいろなご意見を伺って、非常に参考になりました。今後のプロジェクトチームの中で、今日伺ったご意見がうまく反映できるように努力していきたいと思います。よろしくお願いします。

○森高専門委員 築地のいろいろなお話を聞かせていただきまして、どなたかが築地市場の建物の耐震性の話をおっしゃっていましたが、これは東京都からいろいろな資料が出ていまして、平成18年に築地市場の施設は耐震診断されています。その結果、補強が必要であるということで、既に補強された建物もありますが、まだ耐震基準を満たしていない建物もあります。この理由は、やはり使い勝手上補強できないと聞きました。耐震診断をして耐震補強したとしても、建物がつぶれないように補強しているだけで、例えば、今懸念されている首都直下型地震が起きたら、その建物は地震の後でも使えるかどうかという議論はされていないと思います。ですから、地震防災、地震リスクマネジメントという観点では、こういう課題があることを皆さんで改めてもう一度協議していきたいと思います。
 豊洲新市場の構造安全性は、第2回の市場問題プロジェクトチームの会議で既に決着がついています。通常の建物よりもワンランク上の耐震安全性が確保されていると私は判断しました。
 以上です。

○佐藤専門委員 今日は、皆様の生のご意見を伺って大変参考になったというか、私自身、勉強になりました。ありがとうございます。
 設計を行う際に、利用する方々のお声を聞かないと、設計はそもそもできないと思っています。今回、まさかそういう声を聞かずに設計したとは絶対に思わないですし、日建設計は東京都を通して利用者の方のお話を聞きながら設計してこられただろうと思います。ただ、その際に全ての方々のご意見を聞いているわけではないこともわかります。
 ということで、個々の業者の方々のご不満ももちろんあろうかと思いますが、先ほど代表の方々がいろいろおっしゃっていたように、不満はありつつも、これがまとまった形なのだろうと理解しました。ただ、これから先まだ皆さんがお使いになる上で、いろいろなご不便なこと、使いながらそれをこなしていかなければいけないようなことは多々あるのではないかと思っています。そこまでは、私ども設計に携わっている立場としてはなかなか克服できないようなこともありますが、先ほど、築地市場のブランドは、使う方々が支えてこのブランドができていることは、本当に強く感じました。私どものほうで豊洲新市場の安全性を証明するというか、そうした上で、皆様方の努力で、今後、豊洲のブランドを築いていっていただけたら一番よろしいのではないかと、今はそのように感じています。

○森山専門委員 それぞれの委員の先生方とほぼ同じ、やはり、今日、直接お話を聞けて、特に最後に少し議論がありました、豊洲の問題がほかの11市場全体に影響があるというお話があったように、この問題はまだまだ多くの方々に知っていただく必要があるし、多くの人に理解していただいた上でいろいろな意見を取り交わさなければいけないとも思っています。
 こちらにもなるべく足を運びまして、また、いろいろと皆さんに教えていただきたいこともありますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○小島座長 本日は、長時間にわたりましてありがとうございました。
 お手元にアンケート用紙がありますので、言い足りなかったこと、こういう点が問題だ、そのような事柄について事務局までお寄せいただければ幸いに存じます。
 本日はどうもありがとうございました。


午後3時24分閉会

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